産まれた
うん。やはり孫は大人になっても可愛いものだな。しかし、どうしたのだろうか。先程から、驚愕の表情で固まり、こちらを凝視しているのう。
おや、周りの奴等も同様じゃな。
ティシィも来てるのか...お、おい、何故、ティシィまで固まっている。何かおかしいのか?転生することは伝えただろう。体が何かおかしいのか?どれ.....ん?...ん!?...のわあぁぁぁぁあ!!!!!
王の叫びは、新たに生まれた"王女"の赤ん坊の産声として、王城の一室に響き渡った。
それからは、慌ただしかった。ティシィは急ぎ神に事情を聞きに行き、その答えを持ってきた。
「200回目の転生だったので『記念に性別を転換してみた』だそうです.....」
あのクソ神が!何が記念に性別を転換してみただ!どうするのだ!儂も家族もどうすればいいのか困惑してるではないか!神め!呪ってやる!!!!
そして、そんな騒動から15年が経ち、生まれてしまったものは仕方がないので、王女として生活している。ティシィには、『ヒルシュ様可愛い!!!』と抱き締められてばっかりだ。
ヒルシュとは、儂の最初の名前で、ティシィは儂が転生して、違う名が与えられても、ずっとそう呼んでくれている。
因みに、今生では、リーフィアと言う名を孫夫婦に貰った。
そして、この国では、15歳で社交界デビューとなる。これは王族も同じで、儂も今日、今生での記念すべきデビュタントとなる。
儂が転生し続けてるのは、世界の共通認識みたいなものだから、今までは特に問題はなかったのだが、今回のデビュタントは儂の容姿も相まって、少々...いや、かなり混乱しそうじゃな。
因みに、容姿じゃが、ティシィ譲りの銀髪に孫の瞳と同じ金色の瞳で、まあ...出てるとこは出てるな.....姿見を前にして自分の事をこう言うのもなんじゃが、まあ、美人だなぁ。
アホな男共がたくさん釣れそうじゃな...釣れた奴は処刑してしまおうか.....
侍女達にドレスを着せてもらいながら、心の内で考え事をしていた王は、その心の声が独り言として侍女達に聞かれてるとは思わずに、侍女達は、クスクスと気付かれないように笑っていた。