プロローグー建国ー
世界が戦争の渦に呑まれ、多くの国が滅びていった。
そんな中、滅ぼされた小国の王子は『世界の淵』と呼ばれる未開の地へ、僅かな国民と騎士を連れて逃げ延び、大きな草原へ出た。そこにはほぼ同時に、滅ぼされた祖国と同盟を結んでいたエルフの国の王女が、王子と同じように僅かな国民と騎士を連れて現れた。
人間の王子とハイエルフの王女は元々、国同士の親交もあったので、幼い頃からの関係で、お互い愛し合っていた。そして、この世界の淵で再出発することを決めた。
それからは忙しなく日々は過ぎていき、城ができ、町ができ、海には港が出来た。
そして、たまに戦争から逃れるために迷い混んできた者達を迎え入れ、国は発展していった。
そして、国はいつしか世界でも一二を争うほどの大国へと成長し、世界が戦争に飽き、平和を取り戻してからは、大陸の統治者としての頭角を表し始めた。
それは初代国王と王妃による数々の政策による賜物であり、また、国民達による努力の結果でもあった。
しかし、国王は人間で、ハイエルフである王妃とは時間の在り方が全く違った。別れの時が近付きつつあることを悟った王は、神に『永遠に転生し続けて、王妃の元へ戻る』ことを望んだ。そして、王妃は神に『王の帰るべき場所であり続ける』ことを望んだ。
それは、神に『自ら命を絶つことを禁ずる』ことを条件に、聞き入れられ、2人は永遠に共に生きる事となった。
それが、現在、世界を統治するネーバーエンド王国であり、国が崇める聖女が初代王妃である。
そして、初代国王は何度も転生し続けている。