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4・好きになりそうな

女子の一番は、なつみだ。


「秋山なつみです。花園中学出身です。一応、申告しとくけど背は高いけどスポーツは大の苦手です。なので、体育祭とかでは身長だけで期待しないでね。」


明るく、言い終えると周りから「運動できそうに見えちゃうね(笑)」なんて、好意的なからかいの声が上がる。


なつみは、雰囲気がリーダーなんだよね。頼れる姐さん!って感じ。


話し方も、上手だし表情も明るい…だから、すぐに友達ができるんだ。


私の自慢の、親友。


隣の稔をチラリと見れば、彼もニコニコとなつみを見て拍手している。


そして、次は私の番だ。

緊張しながら、席を立つ。


隣で、稔が小さく「頑張れ。」とウィンクをする。


そんなことしたら、また顔が赤くなるじゃん!

「…佐伯みおりです。花園中学出身です。えっと、この高校は私の両親の母校で小さい頃から憧れていました。あ!私は、運動は得意なんで、体育祭はぜひ参加したいです!!」


最後の言葉に、前からなつみが「みおりは、足が速いのだけが特技だからね!」と言うとクラスの皆がどっと笑った。


あ、なんかいい感じ?


うん!仲よくできそうだ。



チャイムが鳴ると、自然と稔の周りに女子たちが集まってきた。みんな、「稔」と呼び捨てだ。後ろの、修也にも女子たちが話しかける。

二人でワンセットみたい…。


稔は、楽しそうに話しているけど修也は、微妙?女子と話すの得意じゃないのかな?

迷惑そうに(見える)、修也が気になる…。


女子たちの笑い声が大きくなるほど、気になる…。



あ…、だめだ。



「柴山君、さっき友達が探しているみたいだったよ。」


勇気をもって、嘘をついてみた。きっと、顔が赤いよね?


周りの女子たちが、ひそひそと目配せしている。空気が重いな。なつみ、助けて!と、思っても、なつみは麻子とお手洗いに行っている。

数秒がとっても、長く感じていたら稔が笑いながら声を出した。


「修也、みおりちゃんに案内してもらったら?」


ガタンと、椅子から立ち上がると「案内して。」と、私の頭をポンと叩いた。



足の長さが違うから、教室から出るのも私は小走り…。



廊下を出て、少ししてから「ごめん!柴山君。嘘ついたの。」と、声を掛けると振り向きながら「わかってるし」と、微かにほほ笑んだ。


「サンキュウな。俺、ああいうの苦手だから…。」


背伸びをしながら、柴山君がつぶやく。


「やっぱり?なんか、そんな感じがしたんだ(笑)」


二人で、顔を見合わせて笑った。


「佐伯、これからもよろしくな(笑)」


うん、と大きく頷いて私は一足先に教室に帰った。だって、一緒に帰るとおかしいじゃん?


教室に帰ると、稔はまだ女子たちと話している。


「あ、みおりちゃん!修也の案内ありがとうね。」ニコリという、プライスレスな笑顔が眩しいんですけど!


「全然、平気。」


「佐伯さん、顔が赤いよ~!」周りの女子たちが、クスクスと笑いだす。


余計に赤くなる顔を抑えきれず、何も言えないでいると、稔が机の上の教科書をパンっと、大きな音を出して置いた。


「彼女、それが普通だよ。いつも、そんな顔だって。」


笑顔だけど、どこか冷たい言い方に周りの女子たちが何も言えなくなったようだ。タイミングよく、チャイムを鳴り出したので気まずいまま解散になった。

隣の席の稔をチラリと見る。


だって、さっき助けてくれたんだよね?お礼を言った方がいいのかな?


そんなことを考えていると、稔が私の視線に気づいたようだ。


「別に、気にしない方がいいよ。誰だって、言われたくないことくらいあるんだからさ。」

「うん、ありがとう。」

「別に、修也を助けてくれたお礼と思って良いよ。」


最後は、笑顔で話せた。


ビビッと、桜の木の下では感じなかったけど、良い感じの男子とも仲よくなれそうだし…この学校に入学して本当に良かったな。

今日は、パパが帰ったらいっぱい報告することができたな。

私の話をしたら、パパも自分の学生時代の話をしてくれるかな?






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