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満月事件  作者: estimate
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第一話

 何の変哲もない、平日の朝だ。

 特にどうでもいい夢を見ていた。高校時代の友人たちとカラオケに行って、何故かいつもでない音域まですらすら歌える夢を見ていた。自分が歌う番になり、現実ならしないようなシャウトをかまそうと大きく息を吸った直後。

「ぐふ」

何かが自分の身体にのしかかり、吸った息を全部吐いて夢から覚めた。

「起っきろー。」

「………どけ。」

全力で身体を動かし上に横たわる物体を振り落す

「痛!もー酷ーい。」

「黙れ。」

俺はもう一度タオルケットをかけ直し二度寝に入った

「寝るなー、遅刻するー。」

「しねぇよ。」

「ぐぬぬぬぬ。」

そういって部屋から出て行った。ようやく諦めたか。目を瞑ったその時

ドタドタドタ

嫌な予感がした

「起っきろ―――――ー!!!」

「させるか!!」

ダイビングをかまされる前にベッドから退避する。俺の後ろで「グニャ」とベッドのサスペンションの嫌な音が聞こえた。

「起きた?」

「ああ、最悪の目覚めだ。」

「えへへー大成功。」

ベッドの上で笑うのを見て俺は殺意に近いものが湧いた

「ほら、早く顔洗って服着替えてって………」

視線が俺の下半身に向いた

「キャ――――!!変態!!」

俺の堪忍袋の緒が切れた

「勃ってねぇよ!!」

ベッドの上のソイツ目がけてダイビングニードロップをかました。油断した背中に入ったそれは相当効いたらしく、「ぐはっ」という声と共に床に崩れ落ちた。

「今日は俺は3限からだ。俺の貴重な睡眠を邪魔した罪は万死に値する。赦しを乞いたいなら今すぐ1万円を払え。」

「持ってないよそんな大金。」

ようやく隣に住む幼馴染演技を止め気持ち悪い甲高い声を地声に戻した高村がよっこらせと立ち上がった

「その代わり朝飯奢ってやるよ。マクドでいい?券余ってるから。」

「おう、それでいい。ああ、それと。」

「ん?」

「いい加減合鍵返せ。」

「良いけど、もう村井も作ったろうし、石橋先輩も持ってるよ。」

「お前らに常識はないのか。」

溜め息しか出なかった。

三日に一回、高村のバイトがある日の翌日の朝はいつもこのように起こされる。それが一年と半年続いてきた。その度に毎回思う。これが女であればと

「贅沢いうなよ。女もいやだぞ?俺の妹知ってるよな?」

お世辞にも可愛いと言えない、顔がとある将棋の竜王にクリソツな高村妹の写真を思い出した

「同年代の男と天秤にかけると微妙なとこだな。」

理想なのはアニメキャラである

「よし、早く行こうぜ。俺も腹減ってんだ。」

「今日は12時まで寝る気だったからクソ眠いんだが。」

「俺はバイト明けだぞ?後で部室で寝りゃいいだろ。」

「はいはい。」

ヤレヤレ系主人公になったつもりで台詞を吐いた後、俺は女でもなければ幼馴染でもない、ただの大学入ってからの友人高村と共に暑い暑い夏の朝に歩み出た

 大学までの道のりは、とあるラノベの表現を借りるなら、ちょっとしたハイキングコースであった。

マクドによるためだけにいつも使っている私鉄でなくJRを使い、高架下のマクドで朝マックを買うと、

「急ぐ必要はないだろ?」

とバスにも乗らずハイキングをスタートした。夏の朝日に照らされながらのハイキングは、山の裾だというのに風の一つも吹かないので部室に着く頃にはシャツが汗だくになっていた。

「おー。今日も仲良くアベック登校か。」

糞みたいな言葉で出迎えたのは俺たちが所属するオカルト研究会の部長、石橋雄二である

「暑さで理性飛びそうなんです、次言ったらぶん殴るかもしれません。」

「ああ、悪い悪い。まあまあ、これでも飲みなんせ。」

投げられたのはキンキンに冷えたスポーツドリンク。有りがたく頂くことにする

「そうそう、あの件だけど。」

「あの件?」

「夏休みの取材。君らは広島でいいよな?」

「ああ、アレですか。」

「いいのか新堂。マジで『満月事件』だぞ?」

高村がいつになく真剣に聞いてきた

「何心配してんだよ。広島行くって聞いてやった牡蠣食えるって一番喜んだのお前だろ。」

「そりゃそうだが、やっぱ辛いんじゃないかって。」

「大丈夫。俺には全く関係ない事件だ。」

実際そうだ。『満月事件』は俺が実際かかわった事件でもなんでもない。タツ兄もモモ姉も、俺の記憶の底の底で風化しかけている。

「じゃ、決まりで。須田ー?」

ソファに座ってDSで村の開発に興じていた須田さんがゆっくりとこっちを見た

「何か?」

「こいつらに軍資金。」

「ああ、ちょっと待ってて。」

DSを置くと鞄の中から財布を取り出し、そこから諭吉さんを数人平然と取り出した

「10万あれば足りるかな?」

「十分でございます。」

いつものことだから謙遜も出来ない。首を深々と垂れ丁重に10諭吉を頂いた

「取材頑張ってねー。」

そういって須田さんは村に戻りバナナを植える作業に戻るのだった

「『満月事件』の話、例年より売れるだろうから、写真とかも一杯取ってきてねー。」

「わかりましたー。」

こうして、俺は十数年ぶりに広島を訪れることとなった。何の変哲もない男だらけの寂しい旅行の結末は、この時点で予想出来る筈もなかった。






また妄想が湧き始めたので書き始めました。

妄想が湧き続く限り描いていきます。

一応の結末まで湧いているので、連載ストップはありません。

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