彼からの連絡を待つ
「…そろそろ塾が終わった頃かな?」
私はスマホで時刻を確認し、ベッドから起きる。
すでにLINEを送ってあり、
「終わった? 大丈夫?」
という内容のものだった。
本当は直に話したいのだけどなと、我慢しているのだが、ビデオ電話しようかどうしようか悩む。
彼に迷惑をかけたくないし、夜だから大きな声は出せないなと残念がる。
すると、ピコンと音が鳴った。
スマホを見てみれば、彼からの返事だった。
私は「キャー!!」と悲鳴を上げると、LINEを見てみる。
「大丈夫。これからコンビニに寄るところ」
「…そうなんだ。コンビニに寄るんだ」
私は独りごちると、ベッドに転がる。
彼と繋がっているのが、嬉しくてしょうがなかった。
少しでも離れたくない。
声を聞きたい、温もりが欲しい。
贅沢な要求かもしれないが、彼の全ては私のものだと、胸を張っていたかった。
「もしもし、どうしたの」
母親が悲鳴を聞いたのか、やって来たので、私はとっさに「何でもない。ちょっと良いことがあって」と答え、やり過ごす。
「…ふう。危ないところだった」
彼の存在はそれとなく母親には伝えてあるのだが、詳しくは内緒だった。
「もうコンビニに着いたかな?」
ベッドから降りると、机の椅子に座る。
鏡を手に取ると、髪の毛を整え、軽くメイクする。
お風呂はまだなので、私服のままだった。
全体的に、ピンクの多い部屋。
まるで人形がいそうな可愛い作りだが、私は気に入っていた。
そろそろ掃除しなくてはと思いつつ、彼からのLINEを見つめる。
スマホに向かって軽くキスをすると、また恥ずかしそうに悶絶するのだった。
彼はライオンに似ているから、夜が似合いそう。
そんなことを考えながら、後はやっぱりビデオ電話しようかどうしようか悩む。
まだコンビニにいるよねと想像し、もう少ししたら連絡してみようと考える。
それまで何をしていようと思うのだが、彼がいないと半分身体がもっていかれそうな喪失感があるのだった。
「早くコンビニから出ますように」
一応、親が部屋に入って来た時のために、勉強道具を机に並べていく。
本当は宿題も終わらせたし、予習、復習も片付けたのだが、学生らしく振る舞うつもりだった。
私の彼、私の彼、私の彼…。
もう中毒みたいなものだった。
甘くて逞しくて優しくて、あー、何て贅沢な存在なの!!
私は椅子にもたれ、1人ではしゃぐ。
そろそろいいかなと思い、ビデオ電話をする。
すると彼がすぐに顔を出してきた。
ライオンみたいに、鋭い目つきの彼。
そこがまたかっこいいんだが、何か焦っているような感じがした。
しかし私は彼に会えたことに興奮し、
「わー!! お疲れ様!!」
と言うと、彼が「ありがとうな」と照れくさそうに答えてくる。
私は思わず可愛いと密かに思っていると、別の誰かが映ってくる。
「誰?」
「俺の彼女。可愛いだろう?」
私は酷く動揺し、慌てて声をかける。
「誰かと一緒なの?」
「今、仲良くなったところ。いい奴だから警戒するな」
「うん」
私は彼には素直にしているので、幼稚園生みたいに答えた。
「俺の彼女。うさぎみたいに可愛いだろう?」
「そうだな。仲が良いのか?」
やっぱり誰かと一緒らしく、私は黙ることにした。
空気を読んで、ここは彼に任せたほうがいいと判断したのだった。
「大事にしてやれよ」
そう言うと、どうも別れたらしく、彼が私だけを見てくる。
「また後で連絡するから切るぞ」
私は仕方がなく、バイバイと手を振ると、電話を切った。
「もう!!」
悔しくて机を叩くが、スマホを凝視する。
「連絡、待とうっと」
そう言い、机に突っ伏すのだった。




