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闇属性魔法使いの初戦

「こっこここんなの…あんまりじゃねーか!!?」


俺、天宮天馬20歳、大学3年生。


魔法が使えるようになって5日目にして、戦場にいた。


何故こうなったのか遡ること5日前。


「チミの属性は闇属性!ヒーラーもアタッカーもタンクもぼちぼちできるし、結構いい属性ですよ〜?」


2055年、世界人口の半数以上が魔法使いとして活動している。軍人として各地で起こる紛争戦争で活躍するものもいれば、医者としてヒーリングで難病や大怪我を短期間に直してしまうものもいる。


今や魔法が扱えるのと扱えないとでは社会的地位に雲泥の差ができてきた。


「えマジすか?俺、戦争で人殺すのとか憧れてたんすよね〜。な・の・で、俺は前衛魔法使いになりたいです!」


魔法には属性があり、炎・雷・氷・斬・光・土・水、そして闇。特攻隊や前衛で活躍する魔法使いはほとんど炎・雷・氷・斬属性、そして衛生兵なんかは光・土・水属性だ。


こんな感じで中途半端に何でもできる奴よりはっきりと得意不得意がある方がなにかと扱いやすいのだ。


その点闇は大体のことはできるが、少しだけ力足らず。


つまり、ちょこっと器用貧乏なのだ。


「いいねいいね!じゃあ魔法使えるように5日間の訓練を受けてきてね!そしたら君は晴れて一人前魔法使いとして戦場でバリバリ働いて来てね〜!」


といった感じで中二病が抜けきってない夢見がちな俺はまんまと胡散臭いおっさんの口車に乗せられここに…バカか俺は。


てかなりたいものにこんなすぐなれるなんて誰がわかるんだよ!!


………そしてまさかの孤軍奮闘、これ手頃な捨て駒だと思われてるのでは?


ザッ…ザッ…キンッ


「なっなんだ今の歩く音と金属音…!?ここは戦場だぞ…?気配を殺しきれてない、というか俺がここに来たばかりだと感づいて油断してるのか…?…上等だ、さっきの音、ここらへんからか。先に仕掛けてぶっ殺してやる!"黒煙"!」


集中しろ集中しろ。黒煙は長くは持たない。…よし目標だ。目標を立てておこう。そうすれば少しは戦いにも気合を入れられる。


絶対ここを生き延びて役に立つって証明してやるんだ!


この5日間、ただダラダラ筋トレしたり勉強してたわけじゃない。寝る間を惜しんで闇魔法と向き合い学び続けた成果、今見せてやる!


ザッザッザッ


移動する音がはっきり聞こえる。敵はめちゃくちゃ油断してるようだ。これはチャンス、相手のいる位置さえ分かれば勝てる!


すると突然、ゴツい返しのついたぶっとい針が首めがけて飛んできた。既のところで避けたその針は木に刺さり、そして1秒後に突然木が爆散した。


「…なるほど、大体の立ち回りは覚えさせられているようだ。針を…首に突き刺したつもりだったんだが、ギリ躱したか。俺の魔法、"針糸振動"を…」


だっせぇ名前…いやそんな事考えてる場合じゃない。"声"が聴こえた…!?足音もする、だが何処にいるかわからない。


推測だが、魔法使いはこの近くにはおらず初撃に投げた針糸に足音や声の振動を伝わせて場所を誤認させている…?


針が飛んできた方角が変わっている。位置を変えながら投げてるな…とりあえず針を目で捕らえることに集中しろ…!飛んできた位置さえ分かれば勝てる…!


魔法戦が始まって約十分


ある程度攻撃のパターンが分かってきた。


「ここに来てパタっと立ち止まるっと…。」


………多分ここら辺にいれば…びびんなよ〜ここまで来てびびんなよ〜俺ぇ〜……!


瞬間、針が俺の腹に突き刺さった。


「……勝っった!!ビビり散らかして動かなかったのが仇となったな!魔法でハラワタをぐちゃぐちゃにしてやるよぉ!」


「………いや勝てないね……お前はもう心の底から俺に負けてるよ。」


針が刺さってるのもお構いなしに、俺は針がとんできた方向へ全力疾走した。


「うそだろ痛みを感じないのか!?いや、さっきから()()()()()のに何も起こらない!?」


魔法攻撃は質量を持っている。炎や雷も一瞬で燃え尽きるがほんの少しだけ重みがある。闇は全属性のなかで質量が土に次いで2番目に大きい。


さっき発動して地に落ちた黒煙を左腕に収束させて、


放つ!!


「"黒曜腕"!!」


相手の腹に命中し、腹ベコッとへこませながら吹き飛んだ。


「ごハッ!?ガ…。ハァ…ハァ何故だ…何故針が刺さったのに魔法が発動しない?針糸振動は伝導性の高い針糸を飛ばして対象に刺し、電雷腕で糸につながってる杖の先端を殴ることで衝撃を糸に伝わせて…」


「もういい分かった。次は俺が説明してやろう。」


俺は敵の御託を制止して説明を始めた。


「俺の闇は物質を真っ黒に染め上げれる。光を当てても全くテカらないほどな…腹を闇で固めて針をギリ受け止めれるクッションを作り、刺さった針と腹周りの服を真っ黒に染めて真正面から走れると、刺さってるか刺さってないかすぐには分からんだろ?」


「だがしかし、お前は確認もろくにせずパニクって攻撃し続けた。それが敗因だ。」


「そ、そんな…こんなところでぇ…チクショウ!!」


「お前、先にしかけてぶっ殺してやるての、まんまと信じたっぽいなぁ。頭の悪いガキだと油断しただろ?お陰で確殺と油断が混じった攻撃を受けれたよ…」


テロリストとか強盗とか暗殺者とかと相対する妄想ガキの頃にしててよかったぁ〜〜


      

      ――天宮天馬 一勝零敗――



「さぁ……尋問の時間だ!知ってることすべて吐いてもらう!例えばこの戦いって何なのかとか?」


「………は?お前、何も知らず、意味もなく、死ぬかもしれないのに、戦ってたのか……!?」


「え、え、えぇそうだけど……なんでだ?」


「………頭が、可笑しいんだ…この若さで……可哀想に!…!なぁ…お前さえ良ければバディを組まないか?向こうにはお前みたいなのが多分沢山いるんだろ?だったら!!反旗を翻すぜ俺はよぉ…!!」


「………へ??」





……かくして俺、天宮天馬20歳、人生初の魔法戦勝利の報酬として底なしの同情を敵にしてもらったのだった。

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