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作者: マスライト
掲載日:2026/02/10

 私は中学の頃の思いをするのはもう嫌だった。


 中学二年生の夏、私は仲が良かった友達を交通事故で亡くした。あれは二人で学校で帰っている途中だった。

「凛ちゃん、今日も一緒に遊ばない?」

いつもの帰り道でふと彩音に遊びに誘われた。

「いいよ、どこで遊ぶの?」

「えっとねぇ〜。モールのゲームセンター行こうと思ってるだけど。」

「それは名案だね。」

いつものように二人で遊びの計画を立てる。

 歩いて帰っている途中の信号で足を止める。信号が青になって歩きだす。そのときだった。交差点から曲がりきれなかった車がこっち側に突っ込んできた。

「彩音、あぶないっ!」

時間が止まった気がした後すぐに大きな音がなった。信じれなかった。

「彩音っ!」

車がぶつかったところにすぐに向かう。そこには倒れている彩音の姿があった。

「彩音、大丈夫?」

彩音に話しかけるが反応はなかった。

「彩音、彩音、彩音。」

何度も叫ぶけど反応がなかった。そのとき感じてしまった。彩音が死ぬかもしれない。

 救急車が来たのは早かった。見ていた人の誰かが呼んでくれたのだろう。でも私は、信じれないという思いが強くてまわりの音が聞こえなかった。救急隊の人に話しかけられてやっと正気を取り戻した。救急隊の人に言われるがままに彩音と救急車に乗った。


 病院に着いた頃にはもう手遅れだった。救急隊が着いた頃でももう手遅れだったかもしれない。病院に運ばれはしたが、病院の人から聞いたのは彩音はなくなったということだった。その後すぐに彩音の両親がかけつけてきた。

「凛ちゃん、彩音は?」

私の顔を見て悟ったのか

「そうか、彩音は…。」

彩音の両親は泣いていた。一人娘を亡くしたんだ、当然だろう。私は頭がずっと混乱していた。彩音が死んでしまったのでことがいまだに信じれなくなっている。そこからは私は彩音の両親に事故の状況を話した。

 私はもっとも親しかった友達を亡くした。これから生きていく世界に彩音の姿はない。ニュースとかでしか見なかった身近な人を亡くす苦しみをこの瞬間初めて知った。こんなことになるなんて予想して過ごしたことがあるだろうか。今までこんなことを考えて過ごしたことがなかった。それは今までに甘えていたということになるのだろうか。さも当然のように過ごしていた日常がこんなに一緒で壊されるということを知った。私は車が来ているときに声を上げることしかできなかった。私がもしあの時、早く動くことができたら彩音は助かっていたのだろうか。私たちがもうちょっとでも歩くのが遅ければよかったのか。それとももっと学校を遅く出ていれば良かったのか。私には分からない。それはもう彩音はこの世には存在しないからだろう。ここからは私一人で生きていくしかない。

「そんなのもう無理だよ…。」

私は彩音といたからの日常であって、彩音がいなくなったら私の日常は消えてなくなるだろう。それだけ私の中で彩音は大切な人だった。

「彩音、私はこれからどうすればいい?何を目標にして生きたらいいの?私がこの世の中にある意味はあるの?」

そう問いかけたところで返ってこないことは分かっていたけど、問い続けた。私はこの世の中で生きて行けるのだろうか。彩音なしで生きて行けるのだろうか。私はつらくて学校に行くのをやめた。



 私があの事故以来、ずっと自分の部屋で過ごしていた。どれだけ経っても彩音が死んだことを信じることができなかった。彩音は死んだということが頭では分かっているのに心に重りのように彩音が生きていると信じ込んでいた。まわりの人間は「もう大丈夫」とか言って、来る時間を平気に過ごしている。みんなはどうして割り切れるんだろう。そんなことを思いながら生活する。

 スマホをさわっていると「人は変わる」という言葉が大きく書いてあるサイトが目に入った。そのときはなぜか「人は変わる」という言葉が深く感じられた。私は変わった。彩音がいなくなってから私は変わってしまった。それでもまた私は変わらなければいけない。私は拳を強く握りしめた。私は変わるんだ。彩音のことを忘れたいわけじゃない。それでもこのままの生活を続けることはそれこそ私が終わるじゃないかと思ったからだ。だけど、休んでいた学校に明日から行くのは気が引けた。私を知らないところに行こう。高校に行こう。そのためには高校に行くために今までしてなかった勉強をしよう。それから中学校には行かなかったが家の中で勉強をした。急に変わったから、私の親もびっくりしていたけど、「私は変わりたい」って言って、遠くの高校に行きたいという趣旨を伝えたら、「お前がしたいことが見つかったならよかった」と応援してくれた。私は高校に行くために勉強をした。




 私は受かった。第一志望の烏山高校に合格した。ここで私は変われたんだと思った。変われたからこそ自分の目標を達成できたんだ。それがうれしかった。

 入学式の日、私は親に「入学式に行ってくる」と言って、早く外に出た。思いの外早く学校に着いたので入学式の時間まで時間を潰そうと思ったけど、とくにすることがなかったので高校の体育館前の石垣のような場所で座ってぼーっとしていた。すると

「君、一年生?」

急に話しかけられたからびっくりした。

「はい、入学式の時間より早く来ちゃって。」

「良かった。私も一年生なんだよね。緊張して早く来ちゃって。同じ人いて良かった。」

この人も一年生なんだとは思わなくてびっくりした。

「私は三嶋優香。よろしくね。」

「私は相模凛です。よろしくお願いします。」

「そんなかしこまらないでいいよ。同級生なんだから。」

三嶋さんは話しやすい雰囲気をまとっていた。久しぶりに家族以外と話したからちゃんと喋れているかはよく分からなかった。

「ありがとう、三嶋さん。」

「気にしないで。それに私、相模さんと仲良くなりたいな。」

笑顔で言ってくれるので私は嬉しくなって

「私も仲良くなりたいです。」

純粋に仲の良い友達はほしい。でも、私は彩音のことを思い出してしまう。また、仲良くなった友達をなくしてしまうんじゃないか。そう思ってしまう。でも、これも乗り越えるために高校に行くことを決めたんだから、私自信を勇気づける。

 それからは三嶋さんと話しながら入学式の時間になるまで待った。入学式の時間になると

「ごめん、相模さん。私の親がそろそろ入学式に来そうだから行くね。入学式終わったらまた話そ。」

「うん、ありがとう。」

三嶋さんは手を振りながら校門のほうへと走っていった。そろそろ入学式がはじまるから体育館に向かった。

 入学式が終わると、私はホッとしたのか肩の重荷が外れたような気がした。ふぅーと落ち着いて体育館をでた。ここが私がこれから通う学校。私の高校生活が始まる。ただ家にこもるだけでは私は変わることができないと自分で決めたことをちゃんと進めていると分かったら安心する。私は前に進んでよかったなと。私が決めたことは間違っていなかった。そう思いながら校門まで歩いていると、

「相模さん。」

と後ろから声をかけられた。

「あっ!三嶋さん。」

「家どこらへん?一緒に帰りたいなと思って。」

「いいの?親と帰ると思ってた。」

「いや、私が友達と帰りたいって言って先に帰ってもらった。」

三嶋さんは優しいと思った。会って一日も間もない私と友達になってくれた。それに応えようと思った。

「でも、私の家は山針駅の近くだから、遠いよ。」

そう言うと、三嶋さんはびっくりした顔で

「マジで?私も山針駅の近くだよ。」

「ほんとに?」

そんな奇跡ってあるんだとびっくりした。

「じゃあ一緒に学校も行けるじゃん。」

「そうだね。」

三嶋さんは見るからに嬉しそうにしていた。そんな姿を見ていると私まで嬉しく思えてきた。高校になって友達を作ることができるか分からなかったけど、入学式の前にできたというところで自分の変わりようにまた驚く。


 クラスが決まる日、また私は学校に早く来ていた。高校では三年間同じ先生が担任になる。どれだけ自分に合う先生がつくかによって今後の生活の仕方が変わってくる。そう思い悩んでいると

「わぁっ!」

と後ろから突然声をかけられてびっくりする。後ろを振り向くと三嶋さんの姿がそこにはあった。

「三嶋さん。」

「相模さん、今日一緒に行こうと思ってたのに。」

「ごめん、いつもより早く起きちゃって。そしたら早く学校に来ることになっちゃったんだ。」

「それなら連絡してよ。あっ!てか連絡先交換してないじゃん。交換しようよ。」

「あっ、うん。」

するとすぐにスマホを開けて、メールをつなごうとする。そのとき、彩音の連絡先を見た途端、心が押しつぶされるような痛みがした。私は家族と彩音以外の連絡先を持っていなかった。そして今私は新しい友達とメールをつなごうとしている。それは彩音のことを忘れようとしているからではないのか。と。それでも私は一度乗り越えると決めた目標に負けるのが嫌だったので気にしないように、

「これメールの連絡先。」

と言われて出されたバーコードをスマホで読み取る。するとスマホの画面に「登録完了」の文字が見えて安心する。ちゃんと乗り越えれた。

「改めてよろしくね。」

そう言いながら三嶋さんはメールでスタンプを送り、ニコッとこっちをみて笑う。私も笑顔で応える。そして送られたスタンプを送り返す。そんなこんなで私のメールの連絡先には「三嶋さん」が増えた。それから一緒にクラスの張り紙を見に行く。私は「相模」だから、上のほうを確認していると一年四組の十一番のところに名前が書いてあった。

「三嶋さん、私一年四組だったよ。」

「相模さん、私も一年四組だった。」

二人とも同じクラスで良かったと安堵した。二人で教室に向かう。

「同じクラスでよかったね。」

「うん。」

私たちは話しながら教室に入る。名簿番号が遠いから席は近くなかったけど、荷物を置くとすぐに三嶋さんは私の席までやってきた。

「相模さん、席が遠いよ〜。」

「まぁ、名簿番号だしね。これも始めだけだよ。」

「そうかな〜。」

「そうだって。」

よほど、三嶋さんは悔しかったようだ。私も知ってる人が近くにいてくれたほうが嬉しいけど、名簿番号なら仕方がない。それでも私のほうに来てくれる三嶋さんはやっぱり優しい。そう思った。



 わずかに間に半年が経った。もう半年たったのかと感じたのはホームルームのときだった。ふいにカレンダーが見えたときに気がついた。もう十月になった。先生が

「もうそろそろ、学祭なので何をするかを決めます。」

学際は夢が広がる。生徒が営業するいろんなお店が学校内にできる。みんなが意見を言っている間に一人で思いにふけていると、気がついたときにはもう決まっていた。私のクラスはたこ焼き屋をするらしい。役割決めが始まったので、私は役割が書いてある黒板を見ながら咲の席に向かう。

「咲、何する予定?」

咲とは、三嶋咲のことである。この半年間でもっと仲良くなることができた。

「凛は何したいかとか決めてるの?」

「ううん、とくに決めてない。」

「じゃあさ、一緒にたこ焼きを焼かない?」

「咲、焼いたことあるの?」

「えっ、ないよ。」

「たこ焼きって結構難しいよ。」

「そうなんだ。でもやってみたいから凛、一緒にやらない?」

「別に何するとかの予定なかったからいいよ。」

「よかった〜。」

咲と話した結果、たこ焼きの厨房のほうに決まった。

 学祭の日まであと十日ほどだったため、たこ焼きを焼く練習はほとんどできなかったが、咲と休みの日に集まって練習したりした。

 そして迎えた学祭の日、私と咲は一緒に学校に向かう。

「今日は学祭。いろんな食べ物が〜。」

そうニコニコした顔で咲は言う。

「楽しみだね。」

「うん、めっちゃ楽しみ。」

そんな会話をしているの学校に着く。クラスの人が準備している人が見えたので

「咲、早く行って手伝おうか。」

「うん、そうだね。早く行かないと。」

駆け足で教室まで向かう。すると教室は店っていうかんじになっていた。テーブルやイスが並んでいて、準備早いなと思った。そこから咲と私は教室の仕事の手伝いをしたり、たこ焼きを作るためのタネの部分を作ったりと仕事に勤しんだ。そうした準備が終わったぐらいに校内放送が流れた。

「烏山高校学校祭。スタート!」

その声を待っていたかのように学校に人が流れてくる。その音を片耳で聞きながら、目の前のたこ焼きに集中する。なんやかんやでたこ焼きは売れて、前半の仕事が終わった。私と咲は後半は学祭をまわる予定だったので咲と一緒に教室をでる。

「凛、どこに行こうか?」

「まあ、はじめは食べ物じゃない。」

そんな会話をしながら、いろんな店に行った。写真を撮ったり、焼きそば食べたり、メイドカフェに行ったりと忙しいうちに学祭は終わった。学祭が終わると学級委員長が

「このあと、打ち上げをしようと思っているんですが参加できない人はいますか?」

まわりをみても手を挙げてる人はいないので全員参加という形になった。教室の片付けをして、委員長が予約していた、食べ放題の店に行く。それからみんなでご飯を食べながら学祭の振り返りをした。


 打ち上げが解散されると、私と咲は駅に向かう。私は幸福の思いいっぱいで思いをはせていた。そんなとき、嫌な予感が胸によぎった。それでも気のせいだろうという軽い思いで振り払った。後ろからクラクションが鳴る。ハッとなり、後ろを見る。すると車がこちらに向かってくる。ぶーーんと暗いにクラクションの音だけが鳴り響く。轟音とともにまわりを見渡す。隣にいたはずの咲がいない。思い出す。彩音の姿を。それでもまだ生きてると信じて車の方向に向かう。そこには血だらけで倒れている咲の姿があった。急いで電話をして救急車を呼ぶ。それから咲に近づいて声をかける。返ってこない声にゾッとする。二年前と同じ感覚だ。私は泣き叫んだ。

「咲、咲、咲!」

それでも声は返ってこない。私は泣き崩れる。ああ、また私はまわりの人をなくすんだ。

 それから、救急車が来たときには咲は息すらもしてなかった。救急車に咲と一緒に乗って、病院に向かう。病院に着くと救急車の要請を受けた医師たちがやってきて咲を運んでいく。手術室前まで行くと

医師たちによって手術室に連れて行かれる。私はこれ以上近づくことができない。病院からの電話がかかってきて咲の両親が息を切らしながらやってきた。そのとき、手術室の扉が開いた。私は医師たちを見た。結果は聞きたくなかった。医師たちの顔を見れば分かる。

「残念ながら…」

もうやめてくれ。お願いだから。二年前と同じ。また私は友達をなくす。


 病院からの帰り道、私は放心していた。私はなぜ身近な人はこんなにもはやくいなくなってしまうのか。友達がなくなることはつらかった。それを乗り越えるために高校で友達を作ろうと思っていた矢先がこれだ。私はどうしたら良かったのだろう。高校に行かなければ良かったのか。高校に行こうと決めたことは間違いだったのか。私はそう思いたくなかった。でもそう思うしかない。私はあのまま、家にこもって一生過ごしていれば、こんな思いをすることはなかったのかもしれない。何もかもが嫌になった。友達はなくすのに私は生きているのか。私にはもう分からない。なんで私だけ生き残ったのか。どうせなら、私を巻き込んでほしかった。そうすればこんな思いをしなかった。涙は出続けた。どれだけ今私が醜い姿であろうとどうでも良かった。もういいや。こんな世界に生きている意味がない。私は歩きだす。


私は落ちる。私には何も残っていない。私の大切な人を失うばかりの私はもういなくなる。











    さよなら、私


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