表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラヴィンティリスの白き魔王ですが、ユリハーレムに龍王や宇宙戦艦がいる件について語りますね。  作者: 烏葉星乃


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/108

第91話 太陽系クルーズ 前編

 十月になった。

 私がこの世界に転移してから、そろそろ九ヵ月。お腹もかなり膨らんでおり、実はなんと双子。そういえば前世でも最初の子は双子だったんだよね。

 鬼人族の妊娠期間は十三ヵ月なので、出産まであと二ヵ月ほどだ。

 ちなみにキョウカは今月出産予定。先月は一緒にマタニティ誌の表紙になったり、インタビュー記事も載ったよ。


 さて、近況を報告しよう。まずエデンの件だけれど、しらふじが輸送船代わりに大戦艦を一隻貸出し、日本皇国とメアリカ王国の二国と惑星エデンがこっそり交流を始めた。

 エデンの欲する地球の食料品や農産、畜産にまつわる品々を送り、エデン側からは代金代わりに莫大な量の金やレアメタルと、進んだ技術支援をしてもらう事となった。

 ただ、現状地球側の技術力が低すぎて、高度な技術を渡されても理解不能状態なのだ。その為、まずは技術水準の引き上げが課題となった。

 そして二国共同で、三十年以内に軌道エレベーターと宇宙ターミナルを建造する事を目標としたようだ。エデンは長距離ワープ技術の確立と大気圏内を航行可能な汎用型宇宙船の開発を目標としたとの事。


 私はというと、お土産の資金稼ぎの為に、地球人が知りたいであろう異世界の諸々を写真集にして発売した。第一巻の白き魔王キキョウに始まり、異世界ラヴィンティリス、異世界の住人達、勇者とゴーレム、剣と魔法とドラゴン、戦闘空母しらふじ……という感じの内容で次々に発行し、全世界規模で販売している。

 使用してるデータは姿見画像以外、全てしらふじが趣味で撮影した画像だ。冒険者ギルドや巨大ダンジョン、龍の里や巨人の国など、私が行った事のない場所の画像も多く、帰ったら是非とも観光したい。

 


「うわ、でかっ!」

「うん、全長二千五百メートルもあるからね。でも移民船としては超小型だよ」

「しらゆり上部に見えてたガラスドームって、移民船の一部だったのね」

「ガラスじゃなくてクリアメタルだから。元々豪華客船だったのを徴発して移民用に仕立てたんだよ」

「移民船って割に豪華な感じがするのは、そういう事なのね。うん、これはいい」


 日本列島を眼下に、ケージ艦しらゆりの上部装甲が音も無く開き、ゆっくりと移民船さざんかが分離してゆく。移民船としてはかなり小型らしいが、コールドスリープ状態で最大二百万人を収容し、三百年以上の無補給航行が可能な高性能船である。プラネットイーターに襲われ母星を失った難民を救助して、安全圏や新天地へ送り届ける為に使用するそうだ。


 私は写真集企画の次に、この移民船さざんかを利用した太陽系観光事業を提案した。

「あれ本気だったの?」呆れてたしらふじだが、やっぱり面白そうだからと、全面的に協力してくれたのだ。さすが私の可愛いしらふじである。マジ感謝。

 

 さざんかは船体の六割以上がクリアメタル製の頑強なキャノピーで覆われており、ガラスのドームを組み合わせたような、美しく高級感のある外観をしている。元々豪華客船というだけあって、太陽系クルーズにはおあつらえ向きすぎだ。

 だが二百万人乗せての観光は無理なので、船内で働く従業員達も含め、二十五万人程度で運用する事とした。でもその人数って、うちの地元の人口の二倍以上だよ。


「でもさ、戦闘と移民はともかく、ボクに観光業のノウハウはないよ?」

「え……私もないよ?」

「「…………」」


 そこで、ダメ元で国内外の豪華客船を運航する企業数社に打診してみたところ、なんと全ての企業がこの企画に賛同し、協力してくれる事になったのだ。

 おかげで、早々に合弁会社が立ち上がり、諸々を丸投げする事に成功した。


「まさに渡りに宇宙船だねぇ」

「……」


 さざんか内部は多層構造で大きな吹き抜けもあり、驚くほど広々としている。なにせ全長二千メートル、幅四百メートルもの巨大なフロアが十二階層もあるのだ。

 だがこのままだとミッチリすぎて、宇宙を眺めるには死角が多く見晴らしもよろしくない。そこでフロアを半分に減らした。二十五万人乗せるならそれで十分だし、どの位置からも外が良く見えるよう、しらふじがフロア構造を調整してくれたのだ。


 それが終ると早速、メアリカ王国へさざんかを降ろし、観光船としての改修工事が始まった。最上階を富裕層向け豪華仕様にして、下層にショッピング街やレストラン街を配置した。そしてドーナツやホットドッグ、B級グルメなどを販売する露店を各層にたっくさん配置。誘致した企業の店舗数は千を超えており、もはやちょっとした町だ。船内で働く従業員だけでも二万人を超えている。

 これらの契約や管理は全部合弁会社『魔王観光』へ出向してきた各社の優秀な社員達がやってくれているのだ。

 ちなみに、私のお店である桔梗屋も出店している。玩具メーカーに発注して、私やしらふじのぬいぐるみやマスコット、小物なんかを中心に販売する事にしたのだ。しかもツアー限定品もある。来年には戦闘空母しらふじや白鬼のプラモデル、私のフル稼働フィギュアなんかも発売するらしい。それらはしらふじが取り仕切っているので、すべて事後報告祭である。

 桔梗屋の店舗が完成したと報告があったので、視察に行くと……なんかもうファンシー雑貨店にしか見えない。まぁ本国の店舗も道の駅みたいな感じだしね。

 ちなみに店頭で現物を購入できる品と、購入すると自宅へ配送してくれる品があるので、大きな荷物を持ち歩かずに、たくさんお買い物ができるのである。


「ちょ、なにこの魔王っちって……」

「たまごウオッチを参考にボクが作った、魔王キキョウを育ててラヴィンティリスを征服する携帯ゲームだよ」

「へー(棒)」

「領土が増えたり、魔王を放置してると、どんどんユリハーレムが増えていくの。ちなみにクロちゃんをはじめ、実在の人物が登場するよ」

「これ……売るの?」

「うん、来月から全国の玩具店やコンビニにも並ぶよ。このコズミックブルーはツアー限定品だよ。はい、どうぞ」

「わーい(棒)」


 さざんか内部の工事は二ヵ月程で全て終了した。小さな町を一つ造るような作業量であったが、皆さんすんごく頑張ってくれた。最速の日程で終わらせた場合、家族同伴の宇宙旅行のボーナスというニンジンをぶら下げたおかげだ。

 ちなみに豪華客船のような劇場やカジノは無い。提案はあったが、あくまで前人未到の宇宙を楽しむツアーだからね。四日間程のスケジュールで、結構足早で太陽系各惑星を巡り、イベントも盛りだくさんの予定からだ。ただし富裕層向けの最上階フロアにはプールがあったりする。

 

 さて、予想外に事業規模が大きくなってしまい、私が出産したら元の世界へ帰るので一年で終了というのは、たくさんお金も掛けて協賛してくれた人々に申し訳ない。そこで運航期間を三年間とし、地球の滞在を延長する事にした。予定では三千万人以上が太陽系クルーズを楽しめる事になる。クロちゃん、みんなゴメンね。お土産、期待していいよ。


 ちなみにツアー料金だが、未成年及び親子での参加の場合のみ、宇宙旅行とは思えない程お安く設定してる。抽選も未来ある子供達を優先する事とした。かわりに年齢枠のないセレブ向けの高級展望フロアは超高額。実はセレブ客の料金で一般客料金の穴埋めをしているのは内緒だ。ただしその分、優遇も多い。

 当然の如く抽選倍率はすさまじく、既に三年先まで予約は埋まっており、キャンセル待ちも膨大らしい。


 こうして、準備に七ヵ月ほど掛けて、魔王観光による太陽系クルーズが始まるのであった。関係者やマスコミ、天文学者や各国の為政者、協賛企業等の招待客を乗せたおひろめ航海後、記念すべき一回目のツアーは、世界中の魔力病の子供達とその家族を無料招待する事になった。魔力を吸い出す治療魔法陣が普及したとはいえ、完全な健康体になったとは言い難いのが現実。

 キョウカの強い要望で、そんな子供達に宇宙旅行をプレゼントする事となったのだ。


 招待した子供達とその家族が自宅前に現れた転送ゲートをくぐると、みんな面白くらい同じ表情をしている。

 目の前に停泊する宇宙船さざんかは、全長は二千五百メートル、幅、高さ共におよそ五百メートルという巨大宇宙船だ。

 子供達は目をキラキラ輝かせ、指定された巨大タラップに乗り、割り振られたフロアへと搭乗してゆく。

 搭乗時間の短縮の為、船内へ直接転送も検討したけれど、やはり宇宙船へ乗り込むというプロセスは外せないと、しらふじが力説したのだ。確かにいい想い出になるものね。搭乗前に記念撮影する家族も多く見られる。みんないい笑顔だ。


 私達はタラップのそばで列を作る招待客達を見守っていた。


「ねぇ、本当にそのお腹で参加する気? 今にも産まれそうなのに」

「大丈夫よ、魔力病の子供達のイベントに私が参加しないでどうするの」

「ママ、むりしないで」

「はーい」


 どうしてもこのツアーには参加したいというキョウカに、車椅子の使用と私の側にいる事を条件に参加を許可した。もし何かあっても、私の治癒魔法があるからね。

 元気に歩く子供達を感慨深げに見つめるキョウカ。

「ゆきのせんせ~っ!」そんな彼女に気付き、嬉しそうに手を振ってタラップを上がってゆく子供達。

 嬉しそうに手をひらひらさせているキョウカのそばに、しらふじがふわりと現れた。


「はぁ~やれやれだわ。結局、不正は千件を超えたよ。全部ユーラシア連邦ね」

「あの国の連中はどうしょうもないものね。しらふじちゃんお疲れ様」

「うん、無理矢理ボクの転送ゲートに入ろうとしたから、そいつら近所のスーパーに転送してやったよ」

「それは愉快ね。行き先が水底じゃない分、すごく良心的だわ」


 今回このツアーに招待したのは、世界中の魔力病の子およそ五万人とその家族だ。

 そんな一家を脅し、自分の家族と入れ替わろうとしたのは、ユーラシア連邦の権力者達であった。


「楽しみにしてた子供達には申し訳ないけど、脅された一家は別の機会にねじ込む事にするよ……あちゃー」

「どしたの?」

「日本でも不正を検出したよ。魔力病じゃない子を連れてゲートを潜った家族がいるね」

「まさかと思うけれど、それって石橋家じゃない?」

「御名答、よくわかったね」


 しらふじが不正家族の情報をポップさせると、キョウカがガックリとうなだれ、そして怒りをあらわにした。


「あんクソ共が……しらふじちゃん、ちょっといい?」


 読んでくれて、ありがとうございます。(キキョウ)

 しっかし大きな宇宙船だわ。全長二キロもある各フロアに、だいたい四

~五万人が乗ってる感じね。

 これだけの人数の食事を賄うレストランやフードコートはすごく大きいけど、時間帯によっては大混雑するの。それを嫌って屋台のホットドックとかドーナツで済ませちゃう人も多いのよね。なのできちんと栄養を摂れるよう、丼ものやラーメンの屋台も用意したわ。

 宇宙まで来てラーメンはどうかと思ったけど、中々に乙で人気があるようよ。

 栄養と言えば、実は宇宙食も船内で販売してるの。

 ツアー中の食費をたった千円で済ませられるという、とんでも食品よ。

 カ□リーメイトみたいな感じの固形食で、このさざんか内部のプラントで生産されてるんだけど、実はお土産として一番売れてるのがコレなのよね。

 栄養価がすごく高くて、一食分で一日の栄養を賄えるらしいわ。

 これをツアーガイドを担当してる天文家達が好んで食べてるのよね。

 彼らは食事代無料なのに……

 ちなみに原材料は……内緒です。

 天文家「うん、この味だーっ!」

 えっ? なんでバレた!

 もぐもぐもぐ……いやぁ、絶対わからないって。

 ひいらぎ「チーズ味美味しいよ」

 うん、美味しいねぇ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ