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ラヴィンティリスの白き魔王ですが、ユリハーレムに龍王や宇宙戦艦がいる件について語りますね。  作者: 烏葉星乃


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第87話 惑星エデン 前編

 ワープアウトすると、真っ青な水の星が現れた。

 まるで宇宙に浮かんだサファイアのよう。

 かなり離れた位置にプラネットイーターの残骸が浮いている。元が大きいだけあって、エデンの地上から見ると、地球の月の五倍ぐらいの大きさに見えるらしい。

 ただ見た目はあまりよろしくなく、情緒もへったくれもないのだ。オオクチボヤみたいなのが空に浮いてるなんて、むしろ怖すぎる。しらふじがいた世界では、表層をコロニー化して利用する事も少なくないそうで、災い転じて何とやらのような慣用句があるらしい。現在、ケージ艦しらゆりが停泊し、発見した黄金やレアメタルをどんどん運び出しているそうだ。

 

 惑星エデンに近付くと、指定された大気圏突入ルートの手前に宇宙軍がずらりと艦隊を配置して出迎えてくれた。各艦から艦長の立体映像が浮かび、ヤマト式敬礼で私達を歓迎の意を表してくれている。男女比は半々ぐらいだろうか。

 全長六百メートルはあろう、無骨で重厚感のある海洋航空母艦を模した、旗艦ターセルコルサを先頭に、ずらりと五十隻もの宇宙艦隊が並ぶ光景に、大人も子供も大はしゃぎだ。色は大半がグレー系で、どことなく地球の軍艦に近いデザインのように思える。何隻かカモフラ模様だけれど、宇宙でも有効なのだろうか。あ、ピンクが一隻いる。艦長さんがなんだかムキマっぽい……


「キキョウちゃんもアレやろう」

「ええっ?」


 そう言って、しらふじは艦首甲板上に大きな私の立体映像を投影したので、私はあわてて、右手をこめかみ付近に当てる日本式の敬礼で答礼した。そして笑顔で手を振ると、艦長さん達もニッコリ笑顔を返してくれた。

 ふう、ちょっと焦ったよ。白ローブは正装だけれど、事前に知ってれば、三年前の世界会議で披露したゴスロリ軍服着たのに。


 大気圏へ突入すると、真っ青な海と空がどこまでも広がっていた。ラヴィンティリスと違い、水平線が丸い。

 本来は赤道の衛星軌道上にあるターミナルコロニーに停泊して、起動エレベーターから地上へ向かうらしいけど、大気圏航行が可能ならぜひ降りてきて欲しいと、エデン最高評議会から熱望されたのだ。

 惑星エデンは水の星だ。地球もそう呼ばれているが、エデンの陸地は地球の四%にも満たない。恐らくは温暖化が進み、元々平坦な地形が災いし陸地の大半が水没してしまったのだろうと、地球人なら推察するだろう。

 だが実際は自然科学的な原因ではなく、龍の逆鱗に触れ水没させられたらしい。


 島が見える――と思ったら、どうやら海上都市のようだ。

 しかもいくつもの海上都市が連結して大きな島を形成している。そんな人工島で山の如くそびえ立ってるのは、ビルが乱立した多層構造の巨大な都市であった。

 山のような大都市がいくつも連なる様は、さながら山脈のよう。

 巨大ビルの森は複雑な立体交差の道路やモノレールで繋がり、そしてチューブ内を走る超高速列車が見える。


「見て、街が海中にもある」


 しらふじが都市構造をスキャンすると、なんと海中には海上都市の何倍もある巨大な都市が沈んでいた。それは海底都市ではなく、水没した都市である。

 

「これは……遠くない将来の地球のような、そんな未来感がありますね」


 芦田総理がボソリと呟いた。確かにそんな感じだ。種の起源が異なる惑星に来たはずなのに、タイムスリップして未来の地球を見てるような、そんな不思議な感覚がある。



「見てっ、来たよ!」

「うわぁ~、あれが異星人の宇宙……船……」

「で……でかぁ…………」


 全長五百メートル近い超大型貨客船や軍艦が多数停泊する、首都スターベックの海洋港。そこにはエデンを救ってくれた宇宙船を出迎えようと、多くの人々が集まり、今か今かと待ちわびていた。

 そんな彼らがポカンと空を見上げ、言葉を失ってしまう。

 その白い宇宙船の巨大さも然る事ながら、突如巨大猫耳妖精少女へと変形したのだから。

 しかも軽やかにクルリと回って、チョンとカーテシーを披露したのだから仕方あるまい。

 最高評議会が公開した映像により、異星人の宇宙船が変形するのは周知してた。だがまさか目の前で変形した宇宙船に挨拶されるとは思わず、みんな目を丸くして、口をポカーンである。

 だがすぐ大歓声が上がり、しらふじが巨大な腕をヒラヒラふると、大人も子供も笑顔で手をふり返すのだった。



 一か月前、突如観測された天体。それが母なるエデンへ急速に接近していると、宇宙省から報告が上がった。そして今、それが地上からも視認できる所まで近付いていた。なんだあれは……まるで巨大な掘削機ではないか。もっもしやあれは、このエデンを……

 

 エデン最高評議会議長である私、エテルナシグマは宇宙軍へ攻撃命令を下した。

 ビカビカと核ミサイルの爆発が夜の海上都市を昼間のように照らす。


『全核ミサイル攻撃効果なし。これより全艦特攻す! 母なるエデンに栄光あれ!』


 終わった……どうやら我が惑星、我が種族はここで終わるらしい。

 最後は大切な人達と迎えるべきであろう、私も愛する夫と娘の待つ家へ帰ろう。総司令部から全エデンの民達へそう告げようとした、その時――


『援軍です! 異星人の巨大戦艦が次々に敵を消滅させてゆきます!』

「なっ……なんと……」


 惑星エデンを飲み込める程の巨大な構造体が、異星人の攻撃で外殻だけになってゆくのが、地上からでもはっきりと視認できる。

「すっすごい……」どうやら敵を消滅させてゆく黒い塊はブラックホールらしい。

 我らは……我がエデンは救われたようだ。気が抜けて、床にへたり込んでしまい、私はしばらく動けなかった。総司令部の皆も救われた事に安堵し涙している。



「え……帰っちゃった? もう帰っちゃったの?」

「はい、何やら急用があるそうで、ひと月後に観光に来るのでよろしく~と……それと現在、プラネットイーターが復活しないか、残った無人艦隊が監視を始めたようです」 

「観光って……ブラックホールを操るような超文明の異星人に、エデンの何を観光してもらえばよいのだ。海と海上都市しかないのに……」

「ですが、もしも海の無い惑星からのお客様でしたら、十分魅力的ではありませんか?」

「確かに!」


 その後、戦闘空母しらふじ様とキキョウ艦長に救助された、ワープ実証艦テテオンのクルー達から情報がもたらされた。

 彼女達は別宇宙からの来訪者で、現在ここから二万光年離れた、地球という水と緑豊かな哺乳類型人類の惑星に滞在しているという。


「ダメじゃん……うちの星、海しかないじゃん!」

「エテルナ議長……じゃんじゃん出まくっておりますよ」

「仕方ないじゃん。それに私はタテマーハ出身だから、じゃんじゃん言っていいじゃん」

「またそんな子供みたい事を……(いい歳して)」

「何か言った?」


 そして、ひと月後。


「ようこそお出で下さいました。惑星エデン最高評議会議長のエテルナシグマと申します。観光先でご希望がございましたら、遠慮なくお申し出ください」


 色々考えたが、良い観光ルートを思い付けなかった。

 ああ、特に見る所はないな~などと言われたらどうしよう。

 それにしても、オウグ族のキキョウ艦長は宝石の如くの美しさだが、龍族のしらふじ様に至っては神がかっているではないか。

 

「あのチューブの中を走る未来列車に乗りたいです!」

「おやまのようなびるの、いちばんたかいとこきたい」

「起動エレベーター乗りたい!」

「宇宙空母ターセルコルサを是非見学したい!」

「この星の料理やデザート食べたい。あとお買い物したいわ!」


 え……そんなのでいいの? 艦長のキキョウ殿も子供達と一緒に列車や軌道エレベーターに乗りたいと言ってるし……あんな大昔に開発された乗り物でいいの? そうか、温故知新というのにちがいない。下船する時も転送という未知の技術を使っていたから、乗り物で移動する事が新鮮なのだろう。最新鋭軍艦であるターセルコルサの見学も骨董品を愛でるようなものか。なっとくなっとく。


 だが……一つだけ満足してもらえなかったものがあった。料理だ。エデンでトップクラスの人気店の料理を口にした皆さんの微妙な表情が胸に突き刺さった。

「なんとも言えない味ですね」この言葉は古来より、不味い物を遠回しに褒める定型文だ。まさか国賓に言わせてしまうとは、慚愧に堪えない

「おいひいよ」しかも幼女に気を使われる始末……うぬううう。種族が違うからとも思ったが、テテオン艦長のプリシラ少佐は、救助された時に振舞われた料理が素晴らしく美味しかったと興奮しながら語っていた。という事は味覚は同じはず……つまり。



 観光の合間にしらふじ様から、プラネットイーターの残骸についての報告を受けた。

 会議室には、我らエデン最高評議会と軍の主要メンバー。そして向かい合うようにキキョウ様としらふじ様。お二人が滞在中の惑星地球の二国家の王と首相が緊張気味に同席している。


「じゃあ報告するね。ボクがこの一ヵ月、プラネットイーターの外殻を監視した結果、完全に機能停止してる事を確認したよ」

「ありがたい事です。感謝します、しらふじ様」

「うん。さて、これはボクの所属してた組織での取り決めなんだけれど、プラネットイーターに襲われた惑星には、あの資源の塊である外殻の所有権が認められるの。そして撃破した勢力は、資源の半分までを報酬として得る事ができるのね。ボクはそれに習い、あの外殻の所有権を惑星エデン差し上げます」

「よろしいのですか? 我らは一方的に救っていただいたというのに」

「うん、いいよ。ボクとキキョウちゃんは別宇宙の住人だからね。でもレアメタルを全体の五%ぐらい、代金代わりにもらったよ」

「そっそんな少しでよろしいのですか?」

「しらふじ、何をゲットしたの?」

「まず純金のインゴットを一億トン」

「「いちおくぅっ!?」」


 この場の全員がハモった。何人か声が裏返っていた。


「うん、それでも埋蔵量の二割ぐらいだよ」

「マジか、じゃあまだ四億トンも残ってるのね?」

「金の埋蔵量に関しては、大当たりのプラネットイーターだね」


 皆、絶句している。エデンで出回っている金の総量は四十万トンに満たなかったはず。そんな量があると知られたら、金相場が大暴落する。ここにいる者達にインサイダーするなと厳命した。


「それと銀と白金を併せて三千万トン。クリアメタルを十万トンにその他もろもろ。あとは宝石の原石をそれなりにね」

「宝石! どんなのあった?」

「うお、さすがキキョウちゃん、宝石には食い付くねぇ。とりあえずいくつかカットしてみたよ」


 しらふじ様が目の前に転送させ、テーブルにゴトリと置いたのは、なんと直径五十センチはあろう、ダイヤモンドとルビーとエメラルド。そして惑星エデンのような、深く青いサファイアだった。しかも原石の持ち味を残すようにカットされており、まさに息を飲む美しさだ。うわーなんか手が震えるわ。


「まっマジか……これって国宝を遥かに超えて、人類の至宝レベルだよね」

「もっと大きいのもゴロゴロしてるよ。宝石も全体の三割ぐらい、種類満遍なくもらっておいたよ~」

「わぁい。でもこんな大きいと博物館で飾るか、勿体ないけど割るしかないよね」

「せっかくだし、これでティアラ作ってみたら?」

「えー、このサイズだと、くり抜いてアフロヘア―かな。あ、コイントス様なら絶対似合いそう!」

「あははは。あ、これは資源サンプルとして、エデンに差し上げますね」


 しらふじ様のお言葉に我らエデン勢、しばらく目が点であった……


 読んでくださり、ありがとうございます。(エテルナシグマ)

 私達は助けていただいた上に、すごい贈り物を頂戴しました。鉱物資源の塊であるプラネットイーターの残骸です。

 我々はその残骸に鉱物惑星メテオラと名付け、その地表にコロニーや造船所を建築する計画を立案しました。

 ちなみにサンプルとしていただいた、大きな宝石は国民に公開すべく準備中です。

 我が惑星エデンは、温暖化で海の水位が上がり、大半の陸地が水没してしまい、宝石の採掘が困難になってしまいましたから、このような天然の宝石は、本当に貴重なのです。

 じ……実は、先程、キキョウ様に宝石煌めく黄金のブレスレットを頂いてしまいました。女性の美しさと健康を維持する効果がある、魔法の腕輪だそうです。

 このような品が作れるとは、とんでもない科学力ですね。というか魔法ですか。

 解析したがりの科学省に知られたら、奪われて分解されかねません。絶対内緒にしますよ。

「見てましたよ、ほぅ……健康を維持できる魔法の腕輪ですか」

 ぐっ、秘書に見られてましたか。

「それさえあれば、議長の頻尿対策もばっちりですね」

 私、頻尿じゃないからーっ!

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