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ラヴィンティリスの白き魔王ですが、ユリハーレムに龍王や宇宙戦艦がいる件について語りますね。  作者: 烏葉星乃


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第85話 しらふじ、がんばる

 あの時、キキョウちゃんを脱出させられず、ヘルメトロン弾の起爆に巻き込んだのは、間違いなくボクのミスだ。退避用にゲート魔法一回分の魔力を残していたのに、ファフニールの触手に絡め取られた時、白鬼がオートでフォースフィールドを展開して、残りの魔力を吸っちゃったんだよ。ああああ、もうっ!

 ボクはあの時、本当にキキョウちゃんを失ったと思った。

 幸いな事にそうはならなかったけど。

 安堵し気の抜けたあの瞬間、まさかの最後っ屁ダークマター攻撃。 

 キキョウちゃんとのリンクが途切れた瞬間、ボクも意識を失った。


 懐かしい浮遊感と清涼感を味わいながら目を覚ますと、ボクは真空の世界を漂っていた。

 周囲を確認すると青黒い宇宙空間……見知った武器の神コレクション宇宙じゃない。ずらりと並んでた、太陽の何万倍も巨大なコレクションシップが一隻もいない。すぐそばに小さな青い惑星が浮いているだけの宇宙。


「どっ……どういう事……はっキキョウちゃん!」


 全センサーをフル稼働し、あらゆる情報を精査し導いた回答は……ここはボクの知らない未知の宇宙だという事。同時に白鬼の位置を特定し、彼女の無事を確認した。どうやらここは、キキョウちゃんが転生し生まれ育った宇宙のようだ。

 しまった、ここはラヴィンティリスとは違う。魔法の理が存在しない科法世界だから、白鬼を再起動させないと――ありゃだめだ、制御中枢が死んでる。

 仕方ない、キキョウちゃんには不便をかけてしまうが、一旦白鬼を送還しよう。

 そして白鬼や魔導銃の仕様変更をしなくちゃ。あとボクの船体も総チェックしないと。たぶん五万年ぶりの通常宇宙だものね。

 あ~あの龍みたいな島国にキキョウちゃんがいるのかぁ……


「はっ…………ボク、キキョウちゃんと触れ合えるんじゃない? キスも……」


 この世界にどうして来ちゃったかは不明だけれど、もうボク達を隔てるものはない。うひゃあああ。き……緊張してきた。どどどどうしよう、落ち着け。左手は添えるだけ。いや、何言ってるんだボク……あ。


「紫の肌はまぁいい。ヒマリちゃんは赤鬼で肌真っ赤だし。でも、鱗みたいなこの髪。目の強膜は黒いし、鮫みたいなギザ歯。ボクの容姿、圧倒的にクリーチャーだよぉ……この姿を見たキキョウちゃんに、眉をひそめられたらどうしよう」

『落ち着け、自分。情緒不安定すぎる。こちらにまで不安が伝播する』

「そうだけどぉ~」

『キキョウちゃんなら大丈夫だよ』


 想像しただけで胸が苦しくなる。ボクも龍なのに、他の龍っ子達と何でこうまで違うのだろう。ため息。ため息。ため息。さっきからため息ばかりだ。


『いい加減にしなさい。廃棄して作り直すよ』


 うっ……自分に怒られた。

 今更ながら、キキョウちゃんへのこの執着。ボクも龍なんだなぁと自覚したよ。

 ちなみに自作ロボット兵器への執着もあるが、それには気付いていないボク。


 そうこうしているうちに、船体チェックが終了。複合装甲のタンパク層の劣化なし。全ハイペリオンドライブの深淵シャフトも正常稼働。あとは白鬼達の修理と科法世界用の仕様変更しないとね。水晶星は……ダメ。武器の神に仕様変更申請しないと。ちなみに真っ先に仕様変更した魔導銃は、既にキキョウちゃんの元に転送済みだ。


「よし、あとはキキョウちゃんに通信して…………無理。まだ心の準備が出来ていない。いや、大丈夫だよ。キキョウちゃんが容姿でボクを嫌ったりしないよ。絶対に……」


 踏ん切りがつかず、うじうじしていると、とんでもない事態が発生した。


「は。キキョウちゃん……もう現地妻ゲットしておる……あんの女好きぃーっ!!」


 その後、キキョウちゃんをボクのコアに迎え入れたけれど……顔を見せるのが、やっぱり怖い。でも意を決し顔を見せた。そしたらやっぱり容姿に関係なく、キキョウちゃんはボクを受け入れてくれた。

 安心したら、現地妻の事が頭をよぎり、思わずハイパードライブしてしまい……すっごく怒られた。

 でも、すぐゆるしてくれて、いっぱいキスしてくれた。ボクも必至で舌を吸ったよ。えへへへ……ああ、好きな人と抱き合うと、こんな幸せになれるんだね。


 

 遭難者を救助し、彼女達の母星である惑星エデンに向けハイパードライブ航行した。

 こちらの世界ではワープと呼ばれている超空間航行だ。

 ワープアウトした瞬間、この宇宙では絶対に鳴るはずのないアラートが全身を駆け巡る。

 

 惑星掘削要塞。通称プラネットイーターが惑星エデンを喰らおうとしている所に、ボク達は遭遇したのだ。なぜアレがこの宇宙にいるのだろう。ボクの生まれた宇宙から時空転移してきたのだろうか。それとも、どこの宇宙にいる、ありふれた存在なのか。

 見たところ、直径三万㎞ほどの小型タイプだ。通常であれば戦闘特化型を含む、しらふじ級戦闘艦三隻で艦隊を組み駆除に当たるところだが、残念な事に空母型のボクしかいない。

 でも、ボクの選択肢はひとつしかないんだよ。大丈夫、空母とはいえ戦闘艦に準ずる火力を持ったラストオーダー艦だからね。



 思いの外、あっさりと倒す事ができた。

 でも運が良かった。もしもジュピタリア級や恒星級なんかだったら、歯が立たなかったもの。

 キキョウちゃん達を乗せていながら、駆除を優先してしまった事に今更ながら気付き、ハッとして背筋が冷えた。ボク、何やっているんだ。優先すべきはキキョウちゃんただ一人だというのに。



 さてと本体の方は、ひいらぎちゃんを帰すために地球へ向かった。

 ボクはケージ艦しらゆりの方に残った頭脳体のしらふじ百人分。生体端末はないので、今は戦艦達がボクの手足だよ。それじゃあ、ちゃっちゃとプラネットイーターの外殻を調べようか。

 プラネットイーターの本体は、巨大な歯車の集合体。見たところ歯車は完全に消滅してるけれど、稀に外殻が歯車を生成して復活する事があるんだよ。だから生きている区画がないか、これでもかと徹底的にスキャニングするの。それと同時にお宝探しもするよ。むしろこっちがメインだね。

 この外殻は惑星を砕き分別した資源によって積層化された、素晴らしきお宝の山。

 鉄や銅などの汎用金属が大半だけれど、希少金属もインゴット化され、それなりの量があるはず。ちなみに炭素系資源が大量の場合は、生命豊かな惑星を喰らってる可能性が大きいね。合掌。

 高度星間文明を支える最も重要な資源が、宇宙船の窓や装甲になるクリアメタル。それとハイペリオンドライブの外殻に使用されるヴァリオメタルの二つ。ボクの生まれた世界では、この二つの採掘権を巡る争いが絶えなかったよ。


 さぁ~て、何が出るかなぁ。キキョウちゃんが喜びそうなものなら、やっぱり宝石だよね。でも、プラネットイーターに審美眼はないから、いや、これを建造した古代文明人が必要としてない物は集積しないんだよ。おかげでダイヤモンドやレーザー砲の核になるルビー類以外、あまり見つからないんだよね……おや、何か見つけたみたいだ。

 うわっ、凄い量の純金だなぁ。五億トンぐらいありそう。他は白金類もすごいね。あ、あった……高純度のクリアメタル! これがあれば、夢の白鬼参式が作れる!

 おっと、どうやら幸運な事に宝石類が大量に見つかったみたい。これはキキョウちゃんが喜ぶぞぉ。


 数日後、一旦地球に戻るよう本体の私から通信が来た。帰る途中、中継衛星を設置していたので、二万光年離れていても、タイムラグ最小で通信ができるんだ。

 え。キキョウちゃんが日本皇国を属国化するみたい。うーん。あの子はホント、じっとしてられないというか、トラブル体質というか、一緒に居て飽きないね。

 こちらの判断で大戦艦と重巡の半数を格納すると、ボクは地球へ向けハイパードライブ航行に入った。



 時は少しだけ戻る。キキョウが日本皇国に現れ数日後。


 メアリカ王国、ホワイトパレス執務室で積み上がった書類を前に眉間にしわを寄せるのは、国王のドワイトだ。まだ三十半ば程にしか見えない、キラキラ輝く金髪碧眼のアラフォーイケメン王である。近年、同盟関係を軽視して、敵国であるユーラシア連邦へ媚を売る日本政府に頭を悩ませる時間が増えているようだ。


 突然、私用のスマホが鳴った。発信元が知らない番号ゆえに、無視するべきか国王ドワイトは少し迷ったが、応答をタップした。


「どなたかな?」

「国王様ごきげんよう。ボク、しらふじちゃんだよ」

「何者かは知らぬが、私は忙しい身でな。では」

「ボクね、ホワイトパレスのず~っと上、衛星軌道上から、王様に電話しているんだよ」

「なっ……あなたが、かの宇宙船の関係者だというのか。ならば証拠を見せてほしい」

「じゃあ、握手する?」


 突然、ドワイトの前に薄緑色の小窓が現れると、女性らしい細い指、そしてすらりとした腕がにゅぅっと現れた。

 そのホラーな光景を前に、王がおそるおそる手を差し出すと、しらふじが彼の手をギュッと握る。


「うわーっ!」


 王の叫びを聞きつけ衛兵達が銃を構え部屋に飛び込んだ。だが、宙に浮く腕と握手してる王の姿を前に、同じように叫ぶのであった。


「ごめんごめん。驚かせたお詫びにこれを進呈しましょう」

「これは……」


 王の前にコトリと置かれたのは、まるで水晶製の正六面体パズルキューブだった。

 内部が仄青く光り、時折チカチカキラキラと光を湛えている。

 その神秘的な美しさは、思わず時を忘れ見入ってしまう程だ。


「テクノロジーキューブだよ。キューブが提示する様々な課題をクリアしてゆくと、この星の人類が恒星間文明を築く事ができるんだ」

「なんと……」

「ヒヨコの星に与えられるのは一つのキューブのみ。巣立てるかは、その星の人しだい」

「なぜそのような物を我が国に?」

「この星で一番見込みがありそうな国だったからかな」

 

 テクノロジーキューブ。

 それは宇宙に手を伸ばし始めた文明レベルの惑星に与え、宇宙航海時代を強制的に迎えさせる劇薬である。上手く活用できた惑星は銀河ユニオンに所属させ搾取し、見込みなしの惑星は植民星として搾取され続けるのだ。

 キューブの課題は様々な分野の技術開発を促し、人々の思想を誘導したりと様々で、軌道エレベーターに欠かせないカーボンナノチューブの開発に始まり、スペースコロニーや宇宙港、そしてワープ機関搭載宇宙船を開発させるのが最終目標だ。ただし、早々に見込みなしとキューブが判断した人類は、戦争を誘発させ衰退へと追いやり、一生星空を見上げ生きる事を強要する。

 これまでの失敗で最も多いのが、人類の意思統一がなされぬまま、国家間の争いを宇宙へ持ち出してしまうパターンだ。こうなるとキューブが牙を剥くのだが、そんな機能がある事は当然の如く内緒である。

 ちなみに地球は自力でこの失敗パターンに陥りつつあり、危険信号が灯る状態だ。惑星エデンは軍閥が力を持っているものの、意思統一がなされている上に、ワープ機関も自力開発しており合格といえよう。

 ちなみにしらふじは、完全な善意でこれを渡しており、それ以上の意図はない。


 卓越したハイパードライブ性能を持ち、宇宙を駆けるしらふじ級戦闘艦には、一定の文明レベルにある惑星にキューブを配る使命が与えられている。この宇宙に銀河ユニオンが存在しなくとも、彼女は配らずにはいられないのだ。

 近い未来、地球人類がキューブの制裁を受ける事になろうとも……


 数日後。


「ねぇ、王様。ひと月後にキキョウちゃん達と一緒に宇宙旅行にいかない? 目的地は二万光年先の惑星エデン。地球より進んだ文明の異星人に逢えるよ。ご家族そろってどうかな」

「マジデスカ」


 いつも読んでくれて、ありがとう。(しらふじ)

 プラネットイーターの外殻はお宝の山~っ……なんだろ、この通路……

 探索用ドローンを使い、復活の兆候がないか内部を調べていたら、とんでもない物を見つけてしまった。どうしよー。

 イーターは無人で、こんな人間用の通路があるはずないのに。しかも生活臭がある? おにぎりとカップ麺食べた跡があるよ。

 通路を奥へ奥へと進んでゆくと、そこには……(つづく)


 いやいや、続かないから。

 カーンカーン。なにやら通路の奥から音がする。

 なんとそこには……変Tとポケにゃんトランクス姿のおっさんがツルハシを振っているではないか! 

 って……なんだ、武器の神様か。こんなところで何してるの?

「ああ、お前か。以前お前が欲しいって言ってたから、クリアメタル掘ってた」

「マジか……ボクも掘っていい?」

「いいぞ」

「わーい。ところで、この後書きのオチって、どうしたらいいのかな」

「しらん。とりあえず……一緒に踊るか?」

「うん、踊ろう。でもボクドローンだから、絵面的にすごく酷いと思うけど……」

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