第83話 一方その頃です
龍王ファフニールと相打ちとなり、キキョウが消えた。
家族も恋人達も盛大に狼狽えた。特に恋人になりたてのアスフィーは崩れ落ち……いや、崩れ落ちたのは翡翠の破片か。アスフィーが感情を抑える為、ハンマーの強打さえ弾く翡翠の原石を素手でバキバキと握り潰したのである。
しかし、ノエルが健在な事でキキョウが無事なのは明白。およそ半日後、ノエルと異世界にいるキキョウとの間に念話がつながった事で、みんな安堵し、キキョウの無事を喜んだ。
家族達が落ち着きを取り戻した頃合いを見計らい、ノエルが全員を館ホールに招集した。この全員にはハイベルやソウイチ達も含まれる。
ホールに向うと、そこには以前キキョウに外での着用を禁じられた踊り子服姿のノエルが待っていた。
ちなみに、パレオの下はノーパンだ。この娘、キキョウが居ない事をこれ幸いに、フリーダムする気、満々である。
「さて、あるじ様はこちらの事を頼むと言ってたです。誰か代理として国民の前に立つ必要があるですよ。魔王っ子達、次期魔王候補なのですから、どちらか代理をしてはどうです?」
「「え……無理です」」
「即答ですか……人気のキキョウれいでぃおの継続もして欲しいですが」
二人がお互いの顔を見合わせるとブンブン横に振った。
「「むりムリ絶対無理ぃ~っ!」」
「ん~、クロミエルどうするです?」
「龍王の能力は魔王の上位互換です。我らの念話スキルに乗せてあげれば、魔王でなくとも国民へ念話を飛ばせますよ」
「ああ、そうでしたね。じゃあ、みんな代わりばんこで、れいでぃおするですか。大勢いるし、週一ぐらいで」
「「「ええええええ」」」
この場のキキョウハーレムメンバーと家族達が毎週、れいでぃおのパーソナリティーをする事となった。これが放送事故満載で爆笑の湖となるのは、もう少し先の事。
「それとノエル、あなたが魔王代理をなさい。キキョウ様と直にやり取り出来るのですから。それと、当然ベルテとアリアンは代理補佐ですよ。これを機に経験を積むのです」
「えぇ~っ」三人の不満そうな声がハモった。
「や・れ!」
「「「はい……」」」
「それとノエル。キキョウ様の代理なのですから、必ずパンツを穿きなさい」
「うぇぇ……仕方ないですね。魔王代理権限でノーパンを国民の義務にするですか……」
「すんな!」今度はこの場の全員がハモった。
二日後、魔王の間にて特別御前会議が招集された。みな既にキキョウがこの世界に居ない事を知らされており、魔王の間は重々しい空気に支配されていた。
そんな中を不思議な紋様の布地をヒラヒラさせた、龍装姿のノエルが玉座に就き、ニチアサ魔法少女っぽい魔装姿のベルテとアリアンロッドが、緊張気味にその左右に立った。ちなみに学園の表彰式を除き、アリアンがこのような場に現れるのは初めてになる。
「郷魔国魔王代理ノエルです。そしてベルテとアリアンロッド。二人は次期魔王候補ですから、みなよしなにです。既に聞いてる者も多いと思うですが、我らがあるじ様は、狂乱した龍王ファフニールと相打ちとなり、生まれ育った異世界へ飛ばされたです。しかし、あちらで先王キョウカ様と合流され、不自由なく暮らしてるですよ」
ノエルからもたらされた情報に、皆が安堵の表情を見せた。特にキョウカの名が出たとことでムキマがクネりながら奇声をあげた。
「現在、あるじ様は龍王リヴァイアサンとの間に授かった子を宿してる為、出産したのちに帰ってくるですよ。それと二日に一度、短時間ですがわっちと念話が通じるので、お伺いを立てる事が可能です」
『二年後を目安に、異世界の土産を沢山持って、赤ちゃんと帰るよ~』
臣下と国民へ向けたキキョウの伝言を伝えると、歓声が沸き起こるのだった。
その後、ノエル魔王代行への質問タイムとなったのだが……
「陛下の健康の加護は消えてしまうのでしょうか。海外から治療目的で国民になる者が増加しておるのです」
「問題ないです。わっちは龍王なので、魔王の能力はそのまま引き継げているですよ」
「え……ノエル殿……いえ、ノエル様は龍王なのですか?」
「わっちは、龍王バハムートですよ。聞いてないです?」
ノエルが可愛らしく頭をコテンとすると、有名お笑い倶楽部の如く、臣下一同の絶叫ツッコミがハモった。
美しい幼女と少女の姿を使い分け、いつもギリッギリを攻めた衣装のノエル。
彼女が四翼を持つ超位龍である事は、この場の誰もが知っている事だ。しかし、まさか城の地下に封印されていた龍王がしれっとこんな所に居るとは……しかも、こんな痴女っ子が龍王バハムートだとは、誰にも想像できないのは当然であろう。
今日の服装も正式な龍装ではあるが、とても服に見えないし、平気で脚を開くのでエロパンツもよく見え、臣下達も目のやり場に困っている。若い近衛騎士達も頬を赤らめ、チラチラチラ見している。
「あのう、失礼とは重々承知の上で……狂乱は大丈夫なのですか? 龍王ファフニールも狂乱したそうで、我らとても不安なのです。今日はお見えになりませんが、リヴァイアサン様もいらっしゃいますし」
「不安に思うのは仕方ないです。わっちも前科持ちゆえに、何を言っても信じられないでしょう。しかしです。わっちが二度と狂乱しないと信じてる、キキョウ陛下の事を信じて欲しいですよ」
とても真剣に臣下達を諭すノエルの言葉に「微妙に惜しい」シルヴィアが呟いた。
「ではまず、龍王ファフニール狂乱による被害状況を報告するです。アリアン」
「はい。最も被害の大きい人類帝国ですが、帝都の九割が消滅。およそ三百万人の帝国民が失われた模様です。商いで渡航した我が国の民、数十名が巻き込まれた可能性が高く、現在調査中です」
敵国認定しているとはいえ人類帝国の被害の大きさに、臣下達が驚きを隠せない。帝国に桔梗屋は無いが、我が国の民も商取引などで滞在してるのだ。
「ベルテ」
「はい。帝都を消滅させたファフニールは人類帝国から移動、海を渡り上陸したセドリック王国を陸路で横断しました。いくつかの村をかすめましたが人的被害はないそうです。そして郷魔国内へ侵入、秘境グンマール地方でキキョウ陛下がファフニールを討ち取りました。この地の人的被害の報告はありません」
「わっ我が国が決戦の地とは……」
「ファフニールの目的地は魔都ミモリだったです。身重だというのに、あるじ様は身を挺し、お前達を護ったのです。いっぱい感謝するですよ?」
臣下達が一斉に跪き、深く頭を垂れた。
その後、被災地への支援の議題へと移り、首都と統治機構を失った人類帝国へ前皇帝セバスチャンを送り込み、魔王キキョウの名の下、大規模な支援をする事が決定した。セバスチャン合意の上である。
この隙を狙って仲の悪い周辺諸国が侵攻し、帝国の国土を切り取りにかかるだろうが、郷魔国が支援に名乗り出れば、諸国をけん制し、無用な争いを抑える事が出来るだろう。
案の定、郷魔国の支援表明により周辺諸国が侵攻する事はなかった。
しかし、国内の反帝国勢力が国盗りに動き、その年の夏までに帝国は三国に分裂した。
一国目は、郷魔国が後ろ盾となり、セバスチャンが王となったアーデルハイド王国。
二国目は、反帝国、反人族至上主義を掲げた勢力による、アルバレス民主共和国。
三国目は、しぶとく生き残っていた皇帝ヘンリーによる、ネオ人類帝国。
郷魔国はキキョウの指示で、アルバレス民主共和国とネオ人類帝国にも人道支援を行ったが、最も国家規模の小さいネオ人類帝国皇帝ヘンリーは、帝国の混乱も分断もすべて魔王キキョウの陰謀だと、支援を受けながらも内外に騒ぎ立てるのであった。
時を戻そう。キキョウがラヴィンティリスから消えて、ひと月程経った頃。
「ノエルちゃん、いい?」
「今夜は、アスフィーですか」
むぎゅ~っ、すぅ~はぁ~すぅ~はぁ~……最近、昼夜問わずハーレムメンバーがこんな風に、わっちに抱き着き、胸や股間に顔をうずめ体臭を嗅ぎにくるです。
ちなみに、股間や尻に顔をうずめ嗅ぎたがるのは、クロを筆頭に人族以外の娘達が多いですね。
「このまま抱き枕にしていい?」
「もうすぐ成人なのに、甘えん坊さんですね。なんならエッチするです?」
「する」
わっちはあるじ様の血肉で受肉した為、体臭もよく似ているです。
なのでみんなこうして、わっちをあるじ様の代用品にして、寂しさを紛らわせたり、精神の均衡を保つのです。わっちもイヤではないので、分け隔てなく望まれるがまま、あるじ様の代わりをするのです。まぁ、クロ相手はちょっと苦手ですけど、ああ見えて結構可愛い所もあるですよ。
今、わっちは館四階のあるじ様があまり使わない、煌びやかな王侯貴族風の一室を寝床にしているです。おや、今夜も誰か甘えん坊か寂しん坊が来たですね。
「ノエルちゃ~ん、一緒に寝ていい?」
「今夜はユキですか。甘えん坊さんですね」
大きな花柄のマイ枕を抱えたユキが、わっちのベッドに飛び込んできたです。顔付きは少々幼さを残しているですが、体はもう充分大人です。あのチビっこい頃が懐かしいですね。
「えへへ……くんくん、この匂いはクイントお姉さまが来てました?」
「さすがですね。手羽子はちょっぴり甘えて、自分の部屋に戻ったですよ」
「そうなんだ。そういえば、扉の横にあるお母さんぬいぐるみってなぁに?」
「符丁です。魔王姿は添い寝の日。ローブ姿はエッチ可の日です。ユキも性的にムラムラした時は、ローブの日に来るといいですよ」
「うっ……興味がない訳じゃないけど、そういうのは結婚するまでちょっと……」
「なるほど、結婚したい相手が出来たら、すぐ言うです」
「ベルテお姉さまとティメルお兄さまみたいな関係は、ちょっと憧れちゃうなぁ。ん~でも、ノエルちゃんが男の人だったら、すぐにでも結婚してもいい……」
「わっち、男にもなれるですよ?」
「なれるの!?」
「でもわっちは、痴女道を極めるのに忙しいので無理ですね」
「えー男の人の姿で、そうゆうのするのは?」
「ん~試した事があるですが、なんかこう……イマイチでした」
「じゃあ、私もノエルちゃんと一緒に痴女道を極めようかな」
「やめて……あるじ様に死を命じられてしまうです」
「じゃあ今度、学園で護衛してくれる時に執事服で男装してほしいな」
「ぐっ……ぬぬぬ……ぬぅ……仕方ないですね」
「やったぁ」
いつも読んでくれて、ありがとうです。(ノエル)
今夜はお前ですか……仕方ないですね。
さぁ、好きなところの臭いをくんくんするです。
ペロペロするも、ピュッピュするも自由ですよ。
え……このストッキングを穿いてほしい?
次にこのピンヒールを履いて、お前を罵りながら踏むですか?
難儀な性癖ですねぇ……親が知ったら泣くですよ。
鳴くのは自分だ? 筋金入りですね。このブヒ野郎!
明日の更新は21時を予定してます。




