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ラヴィンティリスの白き魔王ですが、ユリハーレムに龍王や宇宙戦艦がいる件について語りますね。  作者: 烏葉星乃


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第76話 龍王VS龍王

『あれはダメだ。イレイザーをフロア内で使用するなど言語道断。下手をすればこの第4423フロアの存続に関わる。方法は問わぬ。フロア構造体以外なら大きな被害も目を瞑る。早急に龍王ファフニールを殺処分するのだ』

「ラヴィちゃんがそこまで言うって事は、とんでもない事のようね……わかりました、私に出来る事ならやりましょう」

『頼む』


 私の返事に頷くと、世界神ラヴィンティリスはスッと消えた。

 いつになく切羽詰まった感じから、相当まずい事態なのだろう。

 するとクロが大きな顔をぬぅっと近付けてきた。大きなアイオライトの瞳が私の身を強く案じているのが伝わってくる。


「キキョウ様は、お腹に子がいるのですよ。ヘムエルヒリアは私とノエルでなんとかしますから、ここを離れてください」

「です」

「そうですよ、お姉さま。あとは私達に任せてください」


 黄金のアウレオラの飛行モードで、ふわりと白鬼の肩に乗るアスフィー。


「アスフィーリンク、あなたはキキョウ様の護衛をなさい」

「はい、クロ様」

「全員、キキョウ様と共にこの地を離れなさい。私達の攻撃に巻き込んでしまいます」


 そこに水晶星で、しらふじが割って入った。


「みんな注目。ファフニールを観察して気付いたんだけど、あの左右合計八つの瞳の色を見て」

「赤いのと黒いのがあるね。最初は全部赤だった気がするけど」

「そう、黒くなったのは核力砲放射後。それから丁度三分で三つが赤くなった。残りは五つだよ」

「つまり、全部赤くなると……まさか五分後にまたアレを撃てるって事?」

「うん、そう考えるのが妥当。急激に魔力が回復しているよ。まるでエネルギー充填する要塞砲みたい。あ、四つ目」

「うわ、時間がないね」


「では早急に退避を、私とノエルが龍魔法ドラゴカノーネを使用します」

「あい」

「龍王が本気でやり合う以上、どれだけ酷い反作用現象が起こるかわかりません。他大陸への影響もありえます。キキョウ様、すぐさまゲートで郷魔国へ退避してください」


 背筋が酷くゾワッとした。


「ちょっと待って。私、すごく嫌な予感がするの」

「その気になれば、大陸の形を変えるドラゴカノーネです。しかもノエルと放つのす。ファフニールなど跡形も残らず消えますよ」

「なんか嫌なフラグっぽいけど……わかった」


 嫌な予感が止まらないけれど、直感的なものなので、クロを説得できる材料がない。いざとなったら二人を転移させる準備はしておこう。そして、ドラゴカノーネが効かなかった時の事も考えないと。


『しらふじ、あのヘルなんとか弾は効果あると思う?』

『ん~情報不足だけど、ヘルメトロン弾が効果無いはずないと思うよ』

『一応準備してくれる?』『うん』


 クロとノエルの巨体が魔力充填中のファフニールの前に降り立った。


「クロちゃん……ノエル……治すの面倒だから、絶対ケガしちゃダメよ!」


 後ろ髪引かれながら私達はゲートで封印城城門前へと戻った。

 ほわぁんと大晦日の平和な匂いが漂ってくる。私不在でも、国民が二十四歳の誕生日を祝ってくれているのだ。

 国民達が大扉前の白鬼弐式の姿に気付き、城下から歓声が上がった。

 ああ……心が緩む。この大切な場所を絶対クレーターなどにさせるものか。

 クロ達の上空に水晶星を数機滞空させ、私達は二人の様子をじっと見守った。この映像は館でもライブ配信しながら、状況も伝えている。みんな心は同じだ。

 だが、いやな胸騒ぎが止まらない。


『二人ともがんばれ!』

「はい、お任せを」「がんばるです」

「では、やりますよ。ノエル」「あい、クロミエル」


 龍魔法ドラゴカノーネ。それは龍王だけが使用可能な無属性極大攻撃魔法だ。己の属性に関係なく、その圧倒的な破壊の一撃は山脈群をも一瞬で消し飛ばすという。

 二人は目標に向け、積層型巨大魔法陣を展開した。まるで大砲のようだ。

 この一撃で確実にファフニールを屠る為、二人は保有魔力の全てを充填してゆく。

 ゆっくりと回転する筒状魔法陣。その側面に浮かぶ魔力量を示すゲージが順々に点灯してゆき、全てが灯り魔力充填が完了した。

 前代未聞、龍王二柱によるドラゴカノーネ。青と白の巨龍が口を開き発射体制に移る。

 だが、同様にファフニールも核力砲こと“虚無なる光”の魔力充填を完了させていた。


「キャキャキャキャキャ」ファフニールが笑い、双方が魔法を放った。


 咆哮のようなドラゴカノーネと静かな虚無なる光。

 極大魔法同士がぶつかり、更にこれまで観測された事がないであろう規模の龍王同士の反作用現象により、かなりの高度で最大防御中だった水晶星達が瞬時に消し飛び、ライブ映像が途切れてしまった。

 最速でしらふじのバックアップが入るも衝撃の余波が荒れ狂い、すぐには水晶星を近付けられないでいた。

 およそ一分後、ようやく現場が映し出されると……なんとファフニールは健在であった。

 魔法同士がぶつかりあった付近の大地が深々とえぐられ、底が見えない。

 あたりはまるで大峡谷のような有様だ。

 その崖っぷちに、力尽き龍化の解けた二人が転がっていた。

 ふらふらしながらもクロが立ち上がる。よかった、無事のようだ。 

 なんと虚無なる光は、龍王二柱ぶんのドラゴカノーネを相殺したのだ。


「クロちゃんっ! ノエルっ!」


 そうこうしているうちに、ファフニールが再び魔力を充填させ始める。

 まずい、二人が殺されちゃう。私は衝動的に白鬼弐式でゲート転移した。

「え」腕にダッコちゃんの如く、カリンがしがみ付いている。何やってるの!?


 ゲートを抜けると目の前にいるはず二人が――あんな遠くに。

 なんとクロ達から一キロ近く離れているではないか。


「うそっ、どうして!?」

『ごめんっ、極大魔法のせいで、周囲の空間が歪んで座標が狂った!』


 ファフニールの視線が私を捕えた。しかし、私を無視するかのように、動けない二人へ向け攻撃態勢に移ったのだ。赤い目はまだ一つ。なのに歪むようにうねる光の玉が口元に発生している。どうやら低出力の核力砲を放つ気だ。おそらく今の無防備な二人では確実に殺される。しくった。この距離では遠すぎて二人を転移できないし、唯一効果のありそうなヘルメトロン砲弾だと、二人まで巻き込みかねない。


「大丈夫、私がやります」「カリン!?」


 カリンが巨大化しながら、アゲハ蝶のような光の四翅を展開。そして翅を中心に巨大なリング状の魔法陣が現れ、青や紫にグラデーションしながら強い光を発した。


「メトロンノヴァ!!」


 キュオン! カリンがファフニールを強く見据え、大きく開いた口元から、細く収束した青紫色のレーザー光線を放った。

「ギャワッ!?」直撃を受けたファフニールが悲鳴を上げ、発射前の核力砲が霧散する。ジリジリとファフニールを焼くレーザー光線は巨砲の如く極大化し、全身を飲み込んでゆく。

 青紫の光を浴び、いつぞやの勇者ヘイワードの如く苦しむファフニール。

 目標からじっと視線を逸らさず、カリンが右手をひらひらさせてクロ達を指差した。私は二人の元へ飛び、郷魔国へと転移させる。


「ありがとう、カリンッ!!」


 サムズアップすると、カリンは讃美歌のような美しい音色を響かせながら、メトロンノヴァを最大出力へシフトした。

 青と紫の虹の中、ファフニールの体表や触手、そして地面までもがバチバチと光を瞬かせながら、どんどん消滅してゆく。


 メトロンノヴァ。その正体は、この世のあらゆる物質を対消滅させる反物質砲だ。

 ファフニールの原子破壊砲も驚きだが、カリンも負けてはいない生物離れした超攻撃技である。そういえば称号に生体兵器とあった。

 しらふじが興奮しながら説明してくれている。あのぽわぽわと周囲を舞う青と紫の光に触れたら、白鬼の半分ぐらい体積が瞬時に消えてしまうそうだ。


「はぁ~ふぅ~っ、疲れましたぁ」

「助かったわ」


 カリンがメトロンノヴァの放射を終了すると、そこにはえぐれた大地と直径百メートル程の漆黒の球状物体が残っていた。


「何これ……卵?」

「……温泉卵みたいですぅ」

「しらふじ、これなんだと思う?」

「たぶんだけれど、この中で反物質への耐性を獲得する為に、ファフニールが進化してるんだと思う」

「マジか……どうして、そんな事知ってるの?」

「ボクが生まれた世界に、そんな生体兵器を生み出して、制御できず滅んだ星があってね。これを見て思い出したんだけれど、ファフニールって、その生体兵器そっくりなんだよ」

「なんでそんな兵器がこの世界に……じゃあ、また復活するの?」

「うん……魔力が高まっているから、今すぐにでも……」

「マジかー」

「しかも、想像通りなら、もう反物質攻撃は効果ないね。厄介なやつだ」

「マジかー……ヘルメトロン砲弾、同じメトロンだけど効くかなぁ」

「大丈夫。似てるのは名前だけで、全くの別物だから」

「そか」

「じゃあカリンちゃんを転移させよう。ヘルメトロン弾の有効範囲は直径十キロ。範囲内に居たら一緒に消えちゃうよ」


 不満そうに眉間にシワを寄せたカリンを郷魔国へ転移させると、破壊の限りを尽くされ、ゾッとするほど静かな大地に、私一人きりになってしまた。しらふじはいるけどね。

 白鬼が装備してる魔導ガンランチャーライフルのバレル下に、召喚した46cmヘルメトロン砲弾をセットした。全長二メートル近い巨大な砲弾だ。

 この砲弾で最も注意すべき事。それは、これ一発しかない事。これを使うとチャージに十年掛かるという。それだけ強力な兵器らしい。それ故に絶対ミスは許されないのだ。

 この大きな砲弾、外殻の一部がシースルー構造で、緑色の液体にコアらしき球体が浮かび、まるで細胞核のようにも見える。そして、生きているかのように怪しく明滅しているのだ、何かに似ている……ああこれゲーミングPCっぽい?


 などと……この非常時に、しょーもない事を考えてると、しまった。ファフニールの孵化が始まった。


「げぇっ!」

「キキッキョォォォ~ッ!」


 相手は関羽でもないのに、思わず淑女らしからぬ酷い声が出てしまった。

 孵化したファフニールの姿は先程よりずっと細身で、蜘蛛のように八本の脚が生えていたのだ。

 本人にそんな事を面と向かって言う気はないが、今度のは生理的にダメだった。

 そして、更に想定外の事が起きた。ファフニールがこちらを無視して猛烈な勢いで走り出したのである。


「ねぇ、しらふじ。このままヘルメトロン弾を撃ったとして、あれを倒せると思う?」

「わかんない。さっきみたいにまた卵にでもなったら、もう手が付けられなかも」

「あのさ、実はファフニールの姿を見てから、ずっと思ってたんだけれど……口の中に撃ち込むのが一番効果的な気がするんだけど」

「うぅぅぅん……確かに圧倒的に効果的かも。でも難易度高いなぁ」


 などと二人で検討していると、突然ファフニールが停止して、こちらに顔を向け凄まじい衝撃波を発したのだ。とばっちりで周囲の森の木々が吹き飛び、岩が砕け飛んでゆく。運悪く居合わせた狩人と猟犬も吹っ飛んで行く。

 あまりに広範囲かつ想定外の攻撃に、回避する間もなく直撃を喰らってしまった。

 ズドンと凄まじい衝撃を受け、ビキビキと白鬼の全装甲にヒビが入り、コックピットに警告音が鳴り響く。


「ぐはぁっ、頭クラクラしたよ……ああっ、弾は!?」

「大丈夫だよ。これ白鬼の装甲より頑丈だから」


 だが、白鬼の外装はボロボロだ。幸い駆動部へのダメージは軽微のよう。

 機体情報をチェックし安堵していると、背筋がゾクリとする。

 ファフニールが私を見たのだ。


「あの子……今、笑った。明確な悪意を感じたわ。今のは……挑発?」

「狂乱してるのに?」


 いきなりファフニールの進行方向が変わった。

 このまま海を渡り山を越え、真っすぐ進むその先には――郷魔国、魔都ミモリがある。


「そういう事……行かせるかよ。ファフニールッ!!」


 ボッフンッッ! 「ふんぎゃっ!」

 ブボボボボ………「あちゃぁ~ゴメン、キキョウちゃん!」


 移動速度を更に上げたファフニールを追い、こちらも加速しようとアクセルペダルをベタ踏みした瞬間、飛行ユニットが盛大に煙を噴いた。先程の衝撃波にやられてたようだ。

 白鬼がフラフラと着陸しても、ファフニールはこちらを見向きもせず走り続けている。

 私は弐式から飛び降り、叫んだ。


「しらふじ、白鬼壱式!」

「よろこんでっ!」


 弐式とヘルメトロン弾頭を送還し、白鬼壱式を召喚した。

 最近は人型の弐式ばかりで、この子に乗るのは久しぶりである。しらふじは壱式のカスタマイズを続けていたようで、今や初期型とは全くの別物になっていた。


【機体名】白鬼壱式Ver.3(びゃっきいちしき)

【搭乗者】キキョウ・ユキノ

【寸 法】全長13.6m、全幅6.6m、全高4.3m、乾燥重量6.9t

【装 甲】72mm複合バイオクリスタライン装甲、魔導フォースフィールド

【主動力】魔力式ハイペリオンドライブ×2(亜空ケージ収納)

【推進機】しらふじ謹製反重力エックス翼&複合反重力スラスター

【武 装】魔導ガンランチャーライフルアーム×2

     可変式魔導レールガンユニット(レールガンを除く全長は8.2m)

     20mm左肩部物理式バルカン、20mm右肩部パルスレーザー砲

     46cmヘルメトロン砲弾×1、30~155mm物理徹甲弾、他

【追加兵装】120mm12連装魔導ミサイルファランクスユニット×4


 新たな白鬼壱式の第一印象は「すごく……大きいです」だった。

 大きな変更点は……いや、もうモデルチェンジレベルで別物に変わっているわ。

 まず大型レールガンが股下に装備された事で、頭部から搭乗する構造となった。

 傾斜装甲を積極的に取り入れ、重量増加を抑えながら防御力アップさせた結果、顔つきが初期型よりも更にメカメカしくなっている。

 外観で目立つのは上下に伸びたX型の翼。そしてマニュピレーター無しのライフルと一体化した両腕。蜂の尻尾のような紡錘型の動力炉は消え、ロケットブースターのような大型推進機が装着され迫力満点だ。

 コックピットハッチのあった股間部には大きなレールガンが装着され、しかも脚部は無く、収納式の駐機用ランディングギアが辛うじて脚っぽく見える。

 もはや壱式は、完全に射撃特化型の空中戦車になってしまったようだ。


 私の前に着陸すると頭部装甲とキャノピーの多層ハッチがミョインと開く。

 コックピットへ勢いよく飛び乗り、ストンと操縦席に尻を収め、左右操縦グリップをグッと握るとハッチが閉じる。目の前に起動画面が現れると、いつものギザ歯のかわいいSDキャラが現れた。


「さぁ、追いかけるわよ!」

「らっじゃー!」


 いつも読んでくれて、ありがとうである。(ヘムエルヒリア)

 ワガハイの名前、おぼえにくくない? 

 ならばクロミエルがクロと呼ばれるごとく、ヘムと呼んでくれ良いぞ。

 さぁ呼べ! だが親しみを込めて、ヘムヘムでもいいかもしれぬ。

 え? 犬っぽい?

 それにしても、龍のくせにクロミエルの財宝感は絶対おかしい。

 財宝と言えば王道は黄金であろう? なのにあやつ、宝石ばかり集めてるのだ。

 いつだったかワガハイの宝石コレクションの蟲翡翠をよこせと、大量の黄金と交換を要求してきおった。

 綺麗な石ではあるが、あきらかにワガハイが得をする取引であったぞ。

 あれ以来、ワガハイは蟲翡翠を手に入れると、クロミエルに取引をもちかけ、黄金と交換しておる。だがさすがに最近は入手が難しい……ならば蟲人族の目玉をくり抜いてやろうと捜しておるのだが、さっぱり見つからんのう。

 したらあやつ、それをどこで知ったのか、蟲人の目をくり抜いたら二度と取引せぬとぬかしよった。ぐぬぬぬぬ。

 ああ、黄金がもっともっと欲しいぞぉ! 

 そういえば異世界では、青いダイヤモンドを買うと金銀パールが手に入るらしい。あああ、買い占めたいぞぉーっ! え……ダイヤモンドなのに洗剤? 

 

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