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ラヴィンティリスの白き魔王ですが、ユリハーレムに龍王や宇宙戦艦がいる件について語りますね。  作者: 烏葉星乃


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第74話 武闘大会本戦後編

 いつも読んでくださりありがとうございます。

 今日は二話更新になります。次は21時。ちょっと先の展開を加筆修正中です。

 明日以降は一話、21時の更新になります。

 

 

 人類帝国の予戦が長引いた為、本戦の開催は、他の二会場の本戦終了後となった。

 おかげでクロやノエル達と一緒にヴァルバロッテ達の応援をする事ができた。

 だが、その本戦に大きな変更があったのだ。本戦参加者が他の二倍の三十二名、トーナメントの決勝に進んだ二名が勝者として、魔王キキョウと子作り、もしくは十億スフィアの賞金が得られるというものだ。

 は? である。私が主催者なのに、なぜそんな変更がまかり通るのか。


 運営に私が直に問うと、私が命じた事になっていた。もう告知済みなので変更不能だという。ふざけんなである。


 更にトーナメントの組み合わせも酷い。第一試合でヴァルバロッテとストロガーノが潰し合い、二人のいずれかが準決勝でシルヴィアと当るのだ。しかも、ヴァルバロッテ達の対戦相手がことごとく勇者であるのも気になる。そして順当に進めば決勝でリリィと当ることに。

 とりあえず、これならば上位二名を独占できるだろう。リリィが決勝まで勝ち進んでくれる事が前提だが不安は微塵もない。

 それと参加者で気になるのは、人類帝国皇帝ヘンリーの存在だ。私の知る限り、予選に出ていないはず。第五会場? なにそれ。


 こうして、あまりに作為的な人類帝国本戦トーナメントが開催された。

 


 一回戦第一試合、ヴァルバロッテ対ストロガーノ。

 開始の鐘の音と共に、ストロガーノが棄権を宣言した。


「なっ、ストロガーノさん?」

「この大会、何が潜んでいるか分からん。それ故に、お互い体力は温存すべきと愚考する」

「……わかったわ。じゃあ、あなたは陛下の護衛にまわってちょうだい」

「承知。あとをお頼みします」

「うん、任せて」


 第五試合でシルヴィアが登場し、ランキング五十位のロボ型ゴーレム使いの勇者を倒した。

 そして第十試合、リリィメレルが一般人冒険者を一撃で倒し、二回戦にコマを進めた。

 試合は進み、みんな順当に勝ち進んでゆく。ベスト4がそろい準決勝でヴァルバロッテとシルヴィア。リリィメレルとヘンリーが戦う事となった。これ、リリィが負けると、私があのヘドロと子作りする事になるのよね。想像しただけで、ヘドロ吐きそう。


 準決勝第一試合の舞台に上がったヴァルバロッテとシルヴィア。

 両者の凄まじい覇気が私のいる観客席までビリビリと伝わってくる。


「クロちゃんは、どっちが勝つと思う? あの二人、模擬戦では互角よね」

「そうですね、一対一の試合形式なら、盾持ちのシルヴィア様に分があるでしょう。本気の殺し合いならヴァルでしょうね」

「そっか……二人とも、がんばれ!」


 そして、二人の戦いの行方は……


「「じゃーんけーんぽんっ!」」

「勝ったーっ!!」

「負けました……」

 

 シルヴィアの勝利であった。キキョウも観客も、目が点である。


 そして準決勝第二試合、リリィメレル対皇帝ヘンリーの戦いが始まろうとしていた。

 恐らくこの先、誰もがこの武闘大会で一番酷い対戦カードだったと苦笑する伝説の試合だ。

 

 いや――そうなるはずだった試合だ。


「やぁ、久しぶり。私を覚えているかな?」


 目の前でニタァァァと気持ち悪く笑うヘドロ男。

 対戦者の顔を見た瞬間、リリィメレルの背筋が凍り付いた。

 この男、覚えている。

 あの日、捕らえられた私の耳を嬉々と切り落とし、欲望のままこの体を凌辱した男だ。

 怖い、怖い、怖い! 

 ハッハッ……息苦しい。あの時の事が脳裏に浮かび、視界が歪みどんどん暗くなってゆく。まだ昼間なのに……


『マスター、アイハブコントロール?』

『はっ』


 ふぅぅっ……深呼吸。


『ありがと。大丈夫』

『あれはマスターよりも、はるかに実力の劣る勇者。これまで戦った勇者と大差ない有象無象ですよ』

『うん。確かにあの時、あれに負けた訳じゃねーし……そーだ、いい事思い付いた』

『マスター?』



 本来なら、魔王の身内はすべて共食いするよう組み分けできたが、まさかあの女がいるとは思わなかった。あの時はすぐ心が壊れ、人形みたいになってしまったが、見た限り正気に戻ってる。あの胸、あの尻、あの美貌。魔王キキョウもいいが、あの兎人女も素晴らしくいい女だ。あの体を再び味わいたい。今度こそ独り占めしたい。だから私と戦えるよう仕組んでやった。私よりランキングは高いようだが、所詮は弓使いだ。絶対に私の所有物にするぞ。兎人奴隷を奪われて以来、全然代わりが見つからない。む、そういえば耳が元に戻っているな。まぁいい。また切って最高の悲鳴を聞かせてもらうぞ。ついでにあの生意気な魔王も必ず孕ませてやる。

 

「なぁ、この私の事を覚えているだろう? その耳を切ってあげた仲じゃないか」

「は? てめぇなんて知らんし。それより気合い入れな。格下のてめぇじゃ、あーしの攻撃に耐えられんし」

「ははは、キミこそ泣いて詫びる事になるよ。私に股を開いてね」

「はっ、じゃああーしは、てめぇのポークビッツを使い物にならなくしてやんよ」


 準決勝第二試合開始の鐘の音が響いた。


 ヘンリーの魔装は防御力重視。シルヴィアと同じ片手剣と盾の構成で、対人戦は侮れないスタンダードな装備だ。対するリリィは魔弓。狭い舞台上では圧倒的に不利だが、強力なイノゥバの砲撃支援がある。だが今回はギリギリまで支援なしでやるという。

 舐め腐った表情のヘンリーに向け、リリィが魔力矢を放つと彼の盾が矢を消滅させた。何度放っても全ての魔力矢が消えてしまう。ヘンリーが満面の気持ち悪い笑顔でリリィに向け襲い掛かると、彼女は軽々と彼を躱しながら、特殊な矢じりの実体矢を連射した。


「はっはっはっ、どこに行こうというのだね。弓もどこに射っているのかね」


 突然リリィの動きが止まり、得意げのヘンリーも何かを感じ踏みとどまった。

 その刹那、ヘンリーの足元から石舞台を突き抜け、先端が螺旋状のドリル矢が股間をかすめた。


「ひぃっ!」辛うじて矢を避けたヘンリーに「チィィッ!」舌打ちするリリィ。

 とても獰猛で可愛い表情だ。あんな表情をイノゥバは絶対にしない。

 笑顔でドリル矢を連射するリリィ。矢は舞台周囲の地面に刺さり潜ってゆく。ドリル矢は地中を進み、ヘンリーの股間目掛けて、次々に襲い掛かるのだ。必死に避けるヘンリーがブチ切れ叫んだ。


「この卑怯者めぇぇっ!」


 すると観客席の数か所から男の悲鳴が上がった。座席の真下から股間をドリル矢にえぐられ貫通し、絶叫する男達。誤射などではない、リリィが狙って放っているのだ。

 白目をむいてビクビク痙攣する被害者は、すべて二十数年前の戦争で捕らわれたリリィを凌辱した敵国の者達である。当時の事はイノゥバが全て記憶しており、本日会場で見かけたその者達に報復したのだ。この世界に時効などという概念は存在しない。


「あははははははは!」

 

 まさに大歓喜! リリィメレルの笑い声が会場に響き渡る。

 

「おのれええええっ!」


 無様に盾の上に乗り、ドリル矢の猛攻に耐えるヘンリー。下から矢が当たるたびに跳ねる様子があまりに愉快で、国民が指を差して笑っている。自国の皇帝をだ。

 リリィも煽るようにヘンリーを指差して笑った。


「ぶはっだっせーっ! それでもこの国の皇帝かよ。みんな腹抱えて笑ってんぞ!」

「ぐぬぬぬ、ならばもう容赦などせん! 手足の二三、あばらの四五本覚悟してもらうぞっ。いでよ! ゴーレム、デスブリンガー!」 


 ヘンリーの後方に魔法陣が現れ、脚の沢山生えた丸い甲殻類のようなゴーレムが現れた。端的にその姿を説明するならば、銀色の巨大ダンゴムシである。


「デスブリンガーを召喚した以上、この試合も終わったようなものだ。覚悟するといい」


 得意げに宣言すると、ダンゴ……デスブリンガーの腹部が開き、彼を包み込みながら球体へと変形した。その姿は直径三メートル以上あろう、もろダンゴムシである。

「銀玉か……」一緒に観戦してるアスフィーがなぜか不満そうだ。

 ちなみに極秘情報だが、この球体ゴーレム内部は人が立って動ける程の球状空間があり、移動する時は搭乗者がハムスターの運動器具のように走る必要があるのだ。


 お笑い枠かと思うなかれ。凄まじい回転と質量による体当たり攻撃は、とても侮れない威力がある。仮に白鬼弐式がまともに体当たりを受ければ、一撃で装甲はおろか内部フレームまで歪み、しらふじが悲鳴を上げる程のダメージを受けるはずだ。


「ウサギ女ぁっ! お遊びはここまでだぁっ!!」


 凄まじい突進攻撃をギリギリでかわすリリィ。避けながら高威力の矢を放つも全て弾かれてしまう。全く効果の無い弓の攻撃を笑いながら、リリィを追いかけるヘンリー。


「そらそら、舞台外に逃げたら負けだぞぉ~っ」


 そう、攻撃を受けて舞台から落ちた場合、一分以内の戻れば試合続行だが、攻撃を避けて舞台から出た場合は、棄権と同じで即失格となるのだ。


「ハヒーッハーッ……くっそ、なんてすばしこいウサギ女だ。ならばこうだ」


 球状のデスブリンガーの表面から、たくさんの鋭利なトゲが現れた。まるでモーニングスターの鉄球のような姿だ。回転するトゲに触れたら、かすっただけでもタダでは済まないだろう。


 さすがのリリィも余裕が無くなり、とうとう舞台の角へと追い詰められてしまった。


「はっはっはっ! ゲームオーバーだぁぁぁ!」

「てめぇーのなっ!」


 ドッゴォォォンッ!! 

 勝利を確信したヘンリーがヘドロのような笑顔でリリィに突っ込む瞬間、黒く巨大な何かに弾かれ、デスブリンガーがぶっ飛んだ! 


「ほんげええええっ!」


 猛烈な勢いでふっ飛ばされ、客席下の壁にめり込むデスブリンガー。

 黒く巨大な何かとは……そう、イノゥバの操るトーラスだ。頑強な200mmTPRチタニウム装甲と、同材質の芸術的なトラストフレームの内部構造をもつ、全長十六メートルもの巨体が、まるでピンボールのフリッパーの如く、デスブリンガーをぶっ飛ばしたのである。


 舞台上に浮かぶ、見た事もない巨大なゴーレムの登場に、大歓声が上がる。

 歓声の中、リリィがトーラスに飛び乗り、彼女が指し示す方向へ艦首を向けた。



「スキル“狩人の心眼”同期。弾頭選択、120mm鉄杭を連射モードで」

『了解。120mm重タングステン長徹甲弾256発入りドラムマガジンを召喚』


 ふわりと宙に機関銃の丸い弾倉に似た物体が現れ、トーラス側部に装着された。


『マガジンセット。弾丸をロード完了。マスターいつでもどうぞ』

「銀の玉ッコロに向け発射!」


 ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ!  


 凄まじい砲撃音が会場の空気を震わす。

 大きな薬莢がトーラス側面から排出され、舞台を跳ね、軽快な金属音を響かせる。

 発射された直径十二センチ、長さが二メートル近いタングステン合金の鉄杭が、壁にめり込んだデスブリンガーに情け容赦なく着弾する。

 ドンッ! 最初の数発は頑強な銀装甲に弾かれたが、ドンッ! 

 次第に歪み、ドンッ! 分厚い装甲がひしゃげ、ドンッ! そして、ドンッ! 


「イヤァァァン!」 バッカァァンッ! 装甲がふっ飛んだ。


 中から乙女のように叫びながら、ヘンリーが転げ出てきた。

 余程恐ろしかったのだろう、震えながらガン泣きしている。


「アスフィーちゃん命名、ゴールデンクラッシャー弾セット」

『別名、360mm男の尊厳破壊弾を装填』


 ギョコォン……重厚で恐ろし気な装填音が会場に響き渡る。


 ちなみに正式名称は、360mm攻城弾である。

 とても酷い名で呼ばれる不憫な弾だ。


「やっやめてくれぇ~降参だぁ、私の負けだぁ~っ!」

「てめぇ、あーしがあの時、やめてって言ったのに耳切ったろ。発射!」

「ぎぃぃやぁぁぁぁっ!」


 ドッゴォンッ!


 それは 弾と言うには あまりに大きすぎた

 大きく 長く ぶっとく それは 正に 電柱だった


 トーラスより射出されたゴールデンクラッシャー弾。

 その巨大な弾頭を観客へ見せつけるように会場を大きく旋回しながら一気に上昇すると――無様に泣き叫び、腰が抜けて動けないヘンリーの股間へめがけ急降下し、男の尊厳へ着弾した。


 ズッドォンッッ! 着弾と共に会場に悲痛な叫びが響き渡る。

 声の主は……ヘンリーではなく、観客席で股間を押さえる大勢の男達であった。

 だらしなく開いた股間にとんでもない物を突き立てたヘンリーは、天に届きそうなオホ声をあげながら、まるで全ての罪を赦されたような心安らかな表情で、キラキラと光の粒となって、空へと消えてゆくのであった。


 準決勝第二試合は、リリィメレルの勝利である。


 こうして無事、シルヴィア対リリィメレルとなった決勝戦。これでどちらが勝とうと、私の被った理不尽は全て回避される事なった。やったね。気付けば今日は大晦日。私の二十四歳の誕生日ではないか。すっかり忘れていたよ、やれやれである。


 さすがに決勝戦をジャンケンで済ませるような無粋な真似はしない。

 最後のバトルは派手に行こうと、初めからゴーレム戦を行う事となった。

 普通の対人戦ならば、圧倒的にリリィが不利な試合だ。

 シルフィードを重厚なアーマードランサーモードにチェンジし、万全のシルヴィア。

 そしてリリィのトーラスは、先程のマガジンを投下して、何やら別のマガジンを装着し準備完了だ。

 私が審判役として、白鬼弐式で登場すると、会場が大いに沸いた。


「それでは、ティリアル大陸、魔王キキョウ杯決勝戦。はじめっ!」


 さぁ、どんな試合になるのか、私も楽しみだ。

 初めは様子見か、シルヴィアがシルフィードの翼にぶら下がるランスをミサイルのように射出した。それを迎撃するトーラスの主砲が的確にランスを撃ち落とす。そして艦首下部にある九連式レーザー砲でシルヴィアを攻撃。しかし、大盾で全て逸らされてしまう。逸れた数本のレーザーが観客席に直撃するが、水晶星が的確に防御した。


 轟轟と会場内を飛び回る二体のゴーレムの戦いに、観客は大興奮である。


 む。シルヴィアの動きがどうも消極的だ。トーラスの射線を避けるのは当然だが、必要以上に警戒しているように見える。まさか、例の電柱が怖い? あなた、今は女でしょう。

 電柱もとい、ゴールデンクラッシャー弾が射出されると、過剰なまでに大きく回避するシルヴィア。精彩を欠く動きは相手に先を読まれ、誘導され――見事罠に追い込まれてしまった。

 この采配はイノゥバだろう。逃げた先に捕獲用のネット弾が幾重も花を咲かせ、その花畑へ派手に突っ込んでしまうのだった。ネット弾の効果だろう、浮力を奪われたシルヴィアは、シルフィードと共に墜落するのであった。


「こうさーん! ソレこっちに向けないでぇぇぇっ!!」

「シルヴィア姉さんに勝ったーっ!」

『やったぁ~っ!』


 やはりヘンリーの末路を見てから、あの電柱に対し本能的に恐怖してたようだ……

 今のあなたは女性でしょうに……なぜそこまで恐怖したのか不思議だわ。

 ランキング上位の勇者の戦いとしては、少々お粗末な結果であったが、普段まず見る事のない、ゴーレムによるド派手な撃ち合いと空中戦に、観客はとても満足してくれたようだ。

 対人戦とは逆に、このゴーレム戦の場合、限られた空間で速度と突進力を生かせないシルヴィアが圧倒的に不利だったね。


 いつも読んでくれて、ありがと~っ。(リリィメレル)

 あーしが優勝、やったぁ~っ!

 まさか誰もあーしが優勝するとは思ってなかったろー?。

 残念な事にこの大会で、アスフィーちゃんみたいに勇者ランキングは上昇しなかったけど、過去の因縁にケリも付ける事ができた。あのクソのポークビッツも潰したしなっ。

 あとは表彰式して、お小遣いもらって帰宅するのみ。

 え、予告をしろって? これまで予告なんて一度もしてないのに。じゃあ……


「次回第75話、龍王ファフニール」


 え……なんか、不安しか感じられないサブタイなんですけど? え、もう一言?


「戦雲があーしを呼ぶ!」


 あ、これ、絶対ダメなやつじゃん! 『マスター、やっちゃいましたね……』

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