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ラヴィンティリスの白き魔王ですが、ユリハーレムに龍王や宇宙戦艦がいる件について語りますね。  作者: 烏葉星乃


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第54話 闇のオークション

 三月。


「え、またオークション?」

「今回のは、闇のオークションです」

「闇……って事は、非合法なヤバいやつ?」

「はい。誘拐や人買い、訳アリな者など様々で、希少な種族も競売にかけられる、裏社会のオークションです」

「おおぅ」


 どうやら以前の拠点は、カリマー様に摘発されたが、イタチごっこ状態らしく、どんどん手の込んだ方法で開催される悪循環らしい。何故クロが知ってるかというと、クロの手の者が組織に紛れているからだそうな。希少な種族も扱われるのなら、新たな兎人族も保護できるかもしれない。


 そういう訳で数日後、クロとノエルを連れ、闇のオークション会場へ向かった。

 場所は魔王連邦構成国の一つ、セヤデーンの魔都デッセーだ。

 オークション会場へ向かうには、組織の息のかかったホテルに隠された、転移魔法陣を使用する。客は転移で移動するので、会場がどこにあるのか知らないのだ。

 そして常連客のみが知る合言葉と高額なチケット、転移魔法陣を使用する為の魔力が必要だという。通常は魔力の籠った魔力石を用意するか、魔導師を同伴するそうだ。


 魔都デッセー指折りの高級ホテルにチェックインして、とある一室に向かうと、バニーガール姿のお姉さんが合言葉で問い掛けてきた。


「オオカミは生きろ」「ブヒは死ね」


「はい、合言葉を確認しました。三人まで座れる高級ベンチ席は、金貨百枚になります。魔力石は御入用でしょうか?」

「魔力は、この子ウサギが担当します」

「あい」

「かしこまりました。こちらがチケットになります。お客様の転移開始時間は、二時間半後となります。担当の者が伺いますので、それまでお部屋でお寛ぎくださいませ」

「ありがとう」


 本日の私は、黒ゴスにボンネットハット、更に髪を黒に染め、ツノも隠している。

 そして、白ゴスにヘッドドレスのクロ。ノエルは、白ウサギの着ぐるみだ。

 メイド達に衣装を全部任せたら、こうなったでござる。

 アイメイクもリップも黒。黒ゴスによく似合う、妖しいメイクだ。

 クロはドールメイクで、ゾクリとする美しさがある。ずっと飾っておきたい。

 ちなみに、ゴスロリドレスは私の宝物庫にあった服ではなく、以前ノエルにワンピを用意してくれた、服好きメイドさんお手製だ。姿見写真集用に撮影済みで抜かりなしである。


 オークション会場に転移し、案内された席に座る。クロの配下のおかげだろうか、中央中寄りの良い席だ。会場は既に満員に近く、三百人以上いるだろう。誰も彼もが、その服装から高位の貴族や富豪と思しき者ばかりだ。

 素性を隠すマスクや仮面を着ける者が大半で、ぐるりと眺めると私達のように素顔を出しているのは、極少数のようである。

 お、舞台に男のバニーガールが現れた。あれはムキマと違い、心も男ね。

 クネクネ感に品格がないもの。


『おんまたせいたしましたぁ~っ! ここは道徳も倫理も法律もゴミクズ以下な、貧乏人と弱者に生きる権利のない、金と力が全てのぉぉぉ闇のオークションですっ! 今宵も素晴らしい商品をご用意いたしました。金銭の続く限り、皆様の欲望をお満たしくださいまっせぇ~っ! それでは闇の宴のぉはじまりはじまりぃ~っ!』


 金と力がすべてかぁ。いいのかな、ここに国家予算並みの小遣いを持ち、世界を滅ぼせる力を持つ龍王二柱を左右にはべらせた、化け物娘が紛れ込んでますよ。


『今宵最初の商品は、とある王国の没落伯爵令嬢の登場です。よわい十六。魔物に食われた右腕と右目、そして顔の傷が御覧の通りの瑕疵あり物件。最低落札価格は金貨三百枚。傷も治せず、これっぽっちの借金で闇に命を売るとは、没落なんてしたくないですねぇ。折角なので残りの手足を切断して、玩具にするのも一興でぇす。さぁ入札開始!』


 一人目から想像以上の胸糞だった。とても美しい娘だが顔の傷も酷く、普通に考えて金貨三百枚で彼女を欲しがる者がいるだろうか……と思ったが、私の感性の及ばない世界なのだろう。あっという間に倍以上に上がった。

 深く絶望に染まる彼女と視線が合う。

 ああ……私、目の前の不幸な女の子を無視出来ない性分だわ。


「金貨千枚(一億円)」

「キキョウ様。人助けなど、ここではキリがありませんよ?」

「そうかもしれない。いいじゃない、か弱い令嬢の命を握る感覚。ぐへへ、ゲスいでしょう?」

「一国の民の命を握ってるのにです?」

「うわー、ノエルさん痛い所を突く」


『おんめでとうございまぁす! 黒ドレスのお嬢さんが金貨千枚にて落札ぅですっ!』


 そうこうしてるうちに、私が伯爵令嬢を落札した。

 驚きの表情でこちらを見ながら退場する令嬢に、笑顔で手を振る。


「もうお帰りになられますか?」

「いや、さすがにもうちょっと見ていこうよ。チケット凄く高かったし、なんか後ろ髪を引かれるような感じがするのよね」


『次の商品はぁ、某帝国の孤児院から発見された紫玉の逸品の登場でぇす』


 バニーガールに手を引かれ現れたのは、小さな女の子だった。

 その子を見た瞬間、私の心は怒りで沸騰した。

 だか、驚く程冷静な自分に少し驚く。


『御・覧・ください、この少女の純白の髪! そして将来を期待できる容姿! 残念ながら盲目の為、目玉はくり抜き、紫水晶の義眼をはめ込んでございます――そう、誰かに似ていませんか? かの誰かに似て・い・ま・す・よね? どう育つかは神の味噌スープぅ! それでは、金貨百枚から開始でぇす!』


 今、司会が説明した通りだ。補足するなら、年の頃は七歳前後で、とてもやせ細った少女だ。義眼が合っていないのだろう、目の周囲が少し腫れている。


「クロちゃん……あの子がそこに立っているのって、私のせいだよね」

「そうだとも言えるでしょうね。ですが、逆にあの娘にとっては幸運とも言えるかもしれません。どうされます?」

「落札して保護するのは、簡単だけれど……売れると知れれば、また新たな子が目をくり抜かれるかもしれない……」


 あれと同じだ、転売。買う人がいるから、悪質な転売が止まらない。

 もしくはペットショップハンター。

 欲しがる人がいるから、絶滅しかけてるのに密猟が続く。

 それと同じ事にならないようにするには、どうしたらいい?

 それは決まっている、商売が成り立たないようにする事だ。


 思案しているうちに少女の価格は、金貨五百枚まで上がっていた。


「金貨千枚」


「おおっとぉ! 先程、伯爵令嬢を落札した黒ドレスのお嬢さんが、再び参戦だぁっ!」


「せっ千と百枚だ!」


 すぐ近くに座る、演歌歌手のような金ぴか衣装の中年が、こちらを睨み叫んだ。


「金貨二千枚」

「にっ二千ひゃ―」

「金貨三千枚」

「ふぐううううっ! ならば五千枚だ!」

「金貨一万枚」

「ふぎいいいいいいっ!」


『なんと二品連続で、黒ドレスのお嬢さんが金貨一万枚にて落札ぅですっ!』


「さ、行こう」


 ギリギリと歯ぎしりする金ぴか中年を無視して、私達は女の子の元へ急いだ。

 丁度、女性のバニーガールに手を引かれた女の子と入れ替わるように、隻腕の黒豹族の女性が舞台中央へ歩いて行く所だった。

 私は駆け寄り、女の子をぎゅうっと抱きしめた。やせ細った小さな体がビクリとする。ちょっと臭うな。大切な商品ならもっと綺麗にしてあげなさいよ。


「よく頑張ったね。もう大丈夫よ」

「え……え……?」


 女の子の顔を確認すると、義眼が粗悪なのか目の周囲が炎症を起こしている。


「これ……どうやって取ったらいいんだろ」

「その目玉、取るですか?」

「うん、どうしたら」

「取っられすよ」

「え」


 ノエルがモゴモゴ頬を動かして、ぺろりと義眼を口から出して見せた。


「おおぅ、ありがとう」


 早速、セイクリッドヒールで部位欠損してる眼球を再生させた。

 しかし瞳は白く濁っており、元の色もわからない程だ。盲目というのは本当のようなので、視力の回復は帰国してからにしよう。


「さてと……」


 浄化の効果を付与したロンドンブルートパーズの指輪を起動させ、瞬時にメイクを落とした。そして、周囲の目も気にせずドレスを脱ぎ、白ローブに着替え、フードで顔を隠す。次の商品であるボーダーコリーっぽい犬人族の少女を連れたバニーガールを舞台袖で制止し、競売が終わった黒豹族のお姉さんとすれ違がった。


『次の品は……え……あれ?』


 司会のバニ男が慌てている。それはそうだ。今、舞台に立ってるのは、この私なのだから。フードを取り、素顔を見せると、会場が大きく沸いた。


『えっ……ええっ!?』

「さっさと競売を始めろぉっ! 千枚だ、金貨千枚!!」

「二千だっ!」「二千五百っ!」「三千である!」


 金ぴか中年が勝手に入札を始めると、どんどん私の値段が上がってゆく。胸元を広げ、ブラをチラ見せすると更にヒートアップした。


「いっ一万だっ!」「一万五千っ!!」「一万七千でどうだ!」

「貴様らぁっ邪魔するなっ! この女はワシのものだ!!」

「がははは、なら余は金貨二万枚である!」


 会場は狂気じみた興奮に包まれていた。

 しかし、狂気に飲まれる事なく、冷静な者達も大勢いた。


「おい……あれは、あのお方は、ご本人ではないのか?」

「どう見ても、かの魔王様本人であろう……なぜここに」

「わし、面識がある。あれ、激怒してる。逃げないとまずい……絶対まずい」


 会場から静かに逃げ出す者達のいる中で、私はキッカリ金貨三万枚、あちらの世界でいうと三十億円で落札された。競売途中、私の正体に気付いた者共が逃げなければ、もっと値は上がっただろう。

 落札したのは、あの金ぴか中年であった。合掌。


「ワシのものだああああっ! ピギィィィッ!」


 舞台に上がり、私に抱き着こうとした金ぴかへ、魔導銃を向け無慈悲に引き金を引いた。

 轟く雷鳴に、会場が静まり返る中……「焼きブヒ~っ」舞台袖から、よく知る声が会場に響いた。


「全員動くな。黙ってこちらに傾注なさい」


 そこに私の左右後部から白い腕が、頭上から頭部が現れ、ズズンと白鬼二式が四つん這い状態で舞台上に現れた。

 顔を上げると白鬼の顔を覆うマスクが開き、鬼の如くの形相が客達を睨んでいる。

 さらに武装もフル装備。周囲に新装備ブレードファンネルを六機展開し、ゆっくりと回転させながら、刃をギラつかせた。更に客席に向け展開した各種魔導兵器が、強い魔力を帯び発光している。それが如何なる物なのか解らずとも、自分の命を消し去る武装だと理解できるはずだ。

 客たちの目は恐怖に濁り、気を失う夫人もちらほらいる。


 合わない義眼による目の痛みから解放され、落ち着いた小さな存在を抱き上げた私は、会場に向け告げた。


「なぁキミ達……これはダメだ。

 この胸糞オークションにも必要悪の側面もあろうと、ある程度は許容するつもりだったが、これを私は無視出来ない。私の気持ちが理解できる人はこの中にいるかしら。私のせいで、こんな小さな女の子の目がくり抜かれたのよ。

 たとえ盲目であってもね……」


 誰も彼も押し黙っている。

 触らぬ神に祟りなし、雉も鳴かずばローストチキンというやつだ。


「ああ、でも道徳も倫理も法律もゴミクズ以下の場所だったわね。

 正直、この場の全員ブチ殺してやろうかと思ったわよ? 

 お客が居なければ商売にならないものね。とても手っ取り早い方法だと思ったのだけれど、どうも結構なお偉いさんが多そうなのよね。知ってる人もいるし。そんな人達が突然消えると、国や民に影響が出るでしょう? 

 なので我慢する事にしたわ。そこで物は相談なのだけれど、二度とこんなオークションに参加しないでもらいたいの。

 もう二度と闇のオークションに参加しないと神に誓ってくれた人は、帰っていいわ。

 納得いかない人は、この場に残って頂戴……処理するから」


 そして、目の前の黒焦げをリザレクションして見せた。


「でも一方的に強制するのも悪い気もするから、こうしましょう。

 もし不慮の事故や、大病を患ってしまった時は、私に連絡なさい。

 治療でも死者蘇生でもしてあげる。そこの子ウサギから念話水晶を受け取ってね。

 それに魔力を籠めて話せば、私に通じるわ」


 皆さん、物分かりがよく、二度と参加しないと神に誓い、念話水晶を受け取って帰ってくれた。

 ちなみに念話水晶には、相手との通話と居場所が分かる機能が込められてる。

 現在は主に各地の代官や、危険を伴う作業現場の主任に渡し、緊急時に近場の勇者や私への連絡用に使用してる。ちなみに起動前でも念話水晶の位置を「逆探知」出来るのは企業秘密である。


 さて、オークションを台無しにされた組織の者達はというと、転移で来てもらったヴァルバロッテ達と近衛騎士団によって制圧された。勇者も混じってたようだが、特に問題なかったようだ。このあとカリマー様に引き渡す事になるだろう。


 舞台袖に戻り、オークションに出品される人達の倉庫部屋に向うと、扉の前でリリィが顔をしかめていた。


「どうしたの?」

「す……すみません。あーし、この臭い無理」


 扉に近付くと、倉庫内の酷い臭いが漂ってきた。この子がちょっと臭っていたのは、この部屋のせいか。さっそく浄化魔法で内部をきれいにする事にした。


「うん、この臭いは酷いね。セイクリッドピュリフケィション」


 使用した浄化魔法は、最上位のセイクリッドシリーズだ。

 室内にこもった臭いも汚物も全部消え、体も服も全て綺麗になった。スゴイね、浄化魔法。倉庫に入り見回すと、およそ三十人ほどだろうか。壁に鎖で繋げられた者や檻に入れられた者達が、こちらを不安げに見ている。男女比は、四対六ぐらいか。


 さっきの黒豹のお姉さんや、私が落札した伯爵令嬢もいる。

 そして……やはり居た、兎人族の母娘。やれやれ、彼女達は私のだぞ。

 他にも、初めて見る種族もちらほら。子供も多い。


「皆さん。私は、郷魔国魔王のキキョウです。今から皆さんを保護しますので、安心してくださ……え? ……は?」


 あまりにも衝撃的な人物が視界に入った為、思わず二度見した。

 そして、抱っこしてた女の子をクロに預け、鳥かごが二つ置かれたテーブルに向かった。


「なんで……こんな場所にお姫様がいるんです! あと……勇者のカンナギさんでしたっけ?」

「あ……ご無沙汰しております。キキョウ陛下」

「面目……ございません……」


 私は二人を載せたテーブルの前で脱力して、がっくり膝をついた。マジか……

 なんと鳥かごの中には、昨年の世界会議でお逢いした、小人族の国リトルパレスのプリセアナ姫と勇者が入っていたのだ。

 勇者は力を封じる魔道具に鎖で繋がっているので、魔装の召喚も出来ず、常人と変わらない状態らしい。

 今回、この二人がオークションの目玉商品だったのだろう。

 保護出来て本当に良かった。


 ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます。(ホテルのバニーさん)

「イッヌも歩けば」「ヌコも歩く」

「ウッキーも木から」「降りる」

「溺れる者は」「なんでもつかむ」

「仏の顔も」「三度豆」

「鳩が豆鉄砲を」「食べる」

「鳩がガトリング豆鉄砲を」「ことごとく食べる』

「かわいい子には?」「お小遣いをあげて、お風呂に誘う」

「キの付く言葉はなんですか?」「キンタマ」

「もっときれいなものを言いましょう」「きれいなキンタマ」


「キキョウ様、そのクマのぬいぐるみはどうしたんです?」

「記念品にもらったの」

 

 ちなみに鳩はこの世界でクルッポーです。

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