第23話 キョウカ編 第1話 結婚すっか
時は少し遡り、三か月程前。キキョウの病室。
「ぶはぁっ!」
「よっ良かった、桔梗君」
俺……いや、私はどうやら無事キキョウの体に転移したようだ。
医療従事者らしき三人の男女が安堵の表情で、私を見下ろしている。
どうも心臓が止まっていたらしいな。ヤバ。
それにしても何だこの体。この魔力量。魔力過多で崩壊寸前だぞ。
マジヤバい。さっさと魔力を体内から出さないと死ぬ。
しかし、今ここで魔力を放出すると部屋が吹き飛んで、ここにいる連中もまずい。
「おいっ、白服のおっちゃん!」
「おっおっちゃん?」
「俺を早く外に連れ出してくれ、体が重くて言う事聞かんのだ」
「なっ何を言っているんだ、君はまだ」
「いいから急げ! 説明は後だ、俺はもうすぐ爆発するぞ!」
「えっ…ええっ?」
たぶん彼はキキョウの主治医なのだろう。
私は彼に抱えられ、この建物の屋上へ連れ出してもらった。
そして体内に溜めこんだ魔力を一気に放出する。
周囲の柵が歪んでしまう程の凄まじい衝撃波を伴った魔力放出だ。
あらら、私の服も粉々に吹き飛び全裸になってしまった。どれだけ魔力溜め込んでいたんだよ。だがこれで命の危機は脱した。
屋上の出入り口に隠れてたおっちゃんが、おっかなびっくり顔を出す。
「これはいったい……うわっ桔梗君っはだかっ! その髪っ!」
「髪?」
「左目も!」
おっちゃんが駆け寄り、白服を私に掛けてくれた。紳士か。
「ありがとう、おっちゃん」
確認すると左側、三割ぐらいの髪が真っ赤で、元の髪色になっている。
そしてルビー色の左目も元の自分と同じだ。
「桔梗君……いや、君は一体誰なんだ」
「へぇ、やっぱ判るか。俺…いや、私はキョウカ。異世界人だ。あと勇者な」
「キョウカ……異世界の勇者!? それで桔梗君は……」
「死に掛けてたキキョウと体を交換した。私なら御覧の通り回復できるからな」
「じゃあ……今、桔梗君は」
「ああ、今頃、あっちの世界で私の体に転移して、ヨロシクやってるだろうさ」
はい、クロと濃厚なキス中です。
「……じゃあ無事なんだね」
「ああ、安心しな。でも、もう元には…戻れな……」
命の危機は脱したが、この体はボロボロだ。立ってる事さえ辛い状態だ。
倒れかけた所をおっちゃんが優しく支えてくれた。あ…あったかい。
抱かれながら天を仰ぐと、青く青く澄み渡る空がどこまでも広がっていた。
わぁ……こっちの世界の空も綺麗だなぁ。めっちゃ寒いけど。
「大丈夫かい? ともかく部屋に戻ろう。しばらく無理は禁物だよ」
「なぁおっちゃん」
「僕は奈良橋耀、桔梗君の主治医だよ。それにまだ二十九歳独身貴族だから!」
「へぇ、貴族だったんだ」
「独身庶民です……」
「キキョウの事、好きだったんだろ?」
「え…そう……だね。心から愛していたよ」
「じゃ、結婚すっか」
「……はい?」
「私、この世界で桔梗として生きるから、耀さえよければ結婚しよう」
うわ、すっごい顔で悩んでる。ちょっと可愛い。
「ぼっ僕と結婚してください!」
「うん、よろしく。おっちゃん」
「おっちゃん言うな」
【個体名】キョウカ?(女)
【年 齢】401歳? 誕生日12/31
【種 族】人族?
【職 業】無職、勇者
【理力値】????
【魔 装】金緑石の指輪、双剣紅華・蒼華、紅炎花の魔装、魔法珠
【ゴーレム】鬼神弐番鬼“羅雪”(解放済)
【勇者ランキング】未参加
【スキル】勇者、双剣術、魔法(炎、時空?)他
【加 護】英雄の加護、龍王の加護
【称 号】偽魔王、世界最強、異世界転移者
【備 考】現在、各種情報と装備を科法世界仕様へ更新中です。
更新終了まで魔装、ゴーレム共に召喚出来ません。
現在EG06惑星管理AIは機能しておらず、更新に時間がかかります。
いつも読んでくれて、ありがとうです。(ノエル)
元々、閑話的な小話でキョウカパートを書くつもりだったようですが
書き進めてゆくと、本編と同じ規模になった話数もあったので、独立させたみたいです。
どうやら全四話あって、残りは43話、57話、69話ですよ。
キョウカがどんな人物で、こっちの世界でどんな事をするのか、お楽しみに。
あ、この串焼き、食べるです? 焼いて食べるならカミキリムシの幼虫がいいです。カブトムシは土臭くてダメですね。




