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白き魔王はユリ属性  作者: 烏葉星乃


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第109話 またまた!世界会議

 夏と言えば水着のほかに八月の世界会議よね。私は四年ぶりの参加だわ。

 という事で今回はいつも以上にお洒落しちゃうよ。

 さて、お洒落の方向性だけれど、私が白の女神になったという事で、今回は護衛っ子達も全員白を基調に各々のパーソナルカラーの差し色の入った和風テイストの衣装にしてみた。

 女性陣は着物とスカートが融合したミリタリーロリータで統一。

 めっちゃ可愛いので、私もすごく着たかったけれど、今回の私は青紫が鮮やかな大小の桔梗の花が舞う振袖である。銀の帯にも桔梗が咲き、とても美しい。

 実はこれ、私の成人式用にと、両親が用意してくれていた振袖なのよ。

 素人目にもすっごくお高そうに見え、帯や小物も随分と奮発してくれたみたい。

 

「姉ぇちん、すごく綺麗……とても感慨深いよ」

「ありがとう。シロくん、この振袖の事知ってたんだね」

「うん、本当は姉ぇちんが年末に一時帰宅した時、披露する予定だったんだよ」

「そっか……お父さん、お母さん……ありがとう。宝物にするね……そして、ばっちり有効活用するから!」

「姉ぇちんよ……」


 

 世界会議が開催される前日、テルテフ国の首都は騒然としていた。

 無骨な鉄の塊が都市に巨大な影を落としているのが原因だ。

 それは地球の海洋空母に似た、惑星エデン製の宇宙戦艦ホーミーコーチであった。

 元々完全な宇宙艦だが、しらふじが嬉々と取り付けた重力制御装置のおかげで、浮いて移動する程度ではあるが、空を航行できるようになったのである。

 それにしても、龍のしらふじが両手に載せたホーミーコーチは、まるで船舶模型のよう。彼女にとって、まさに玩具だ。

 早口で嬉しそうに説明するしらふじを適度にスルーしながら、私達は文官達とホーミーに乗り込み、テルテフ国へ向かった。

 本来、世界会議には龍で向かう慣例だが、龍であるボクの所有物だから問題ないでしょ。と、青いビロードのシートが美しい艦長席に私を座らせ、ご満悦のしらふじ。

 そうこうしているうちに、艦は魔王連邦所有のホテル上空へと到着した。


 ホテルでは案の定、鼻息を荒げた王妃軍団が私を待ち構えていた。

 三ヵ月ほど前、異世界土産として贈った虹色宝石のルースを各々ペンダントや指輪など、このみのアクセサリーに加工して嬉しそうに披露してくれた。とても姦しくて良いね。

 さぁ、明日の会議を前に今夜は大宴会だ。でもお酒はほどほどに。

 そういえばうちの子達の中に、身を持ち崩しそうな酒飲みはいない。特に龍ってお酒好きってイメージがあるけど、みんなたしなむ程度だ。酒で大騒ぎと言えば親友のノノぐらいだろう。

 

 さて、今回の世界会議で私の護衛をするのは、ノエル、ヴァルバロッテ、シルヴィア、アスフィーリンク、リリィメレル、カリン、クイント、ストロガーノの八名。うちの武闘派メンバーであり、世界トップクラスの美女達である。

 唯一の男性、ストロガーノは世界トップのムキムキマッチョである。

 本日の彼は上半身裸に白袴と裏地が赤い白マント姿で、とても雄々しく格好いい。

「兄貴いぃーっ!」野太い歓声が上がった。

 そんな彼女達に護衛されながら、多くの記者達が待ち構えた会議場エントランスをしずしずと振袖姿で歩く私。異彩を放つ白い一団はひと際目立っている。


「大魔王陛下! いえ、白の女神様! この会議で世界征服……いえ、世界統一宣言をするという噂は本当なのでしょうか!」


 カメラ型の魔道具が私達を記録する音が鳴り響く中。若い記者がとんでもない質問を投げかけてきた。世界統一宣言って、寝耳に水なんですが?

 私はにっこり笑顔で首を傾げ、エントランスフロアへ向かった。


「ひょっとして、あの念話のせいかなぁ」

「はい、あるじ様が帰ってきた時のラヴィンティリス様との念話のせいです。各国に内政干渉していいとか、世界征服は今はしないとか、全世界の民が聞いてたですから」

「だよねぇ」


 郷魔国専用の待機室に入ると、軽くお茶と甘いものをつまんで一休み。

 そして会議の時刻になると、私はノエルとシルヴィアを連れ会議場への扉を開くと、とんでもない光景が私を出迎えてくれた。


「え……どういう事?」


 モダンな円柱状の会議場には、壁に沿うように各国代表の机と椅子がぐるりと並んでいたはずだが、そこには私に用意された豪華な椅子、いや玉座が一脚あるのみだった。

 そして玉座の前には、世界三十三ヵ国の王や大統領ら、各国の代表がずらりと跪いているではないか。初めて見る巨人族もいる。しかも代表は女性だ。青や桃色の色鮮やかな織物で仕立てたインドっぽい民族衣装をまとう女王は、身長四メートル程だろうか。サイズ的には、森で芋虫っ子達と暮らす保母さんカリンと同じぐらいだろう。是非とも会議期間中にお近付きになりたい。

 

 ノエルに促され、純白のビロードに金の刺繍の施された玉座へ腰を下ろすと、目の前に跪く美青年が代表して挨拶を始めた。


「大魔王キキョウ陛下。白の女神ご就任のお祝い申し上げます。四年ぶりのご尊顔を拝し、大変うれしく存じます。ああ、相も変わらずお美しい……異国情緒溢れるそのお召し物も美しく華やかで、とてもお似合いですね」


 え……あれ? あ、この美青年ってカリマー様だ。人をダメにするクッションみたいな巨体が見えないなぁと思ったら、めっちゃ痩せて目の前にいたでござるよ。しかも口調まで変ってる。この人、昔はこんな感じだったのよね。前世の記憶が戻ったので、彼とのあいだに二人の男女を儲けた事も全部覚えている。


「カリマー様、皆様、ありがとうございます。ところで、これは一体?」

「はい、神の一柱となられたキキョウ陛下がお望みとあらば、我ら今この場にて国の全てを捧げる所存。世界の全てはあなた様の望むままにございます。どうぞ、お命じ下さい」

「は……はい?」


 つまり今望めば、私がこの世界の支配者になるって事よね。

 ははは……おもわず乾いた笑いが漏れた。

 実は今の私って、クロとノエルにしらふじとカリンという超位龍四人を筆頭に、大勢のランキング上位の勇者という超軍事力を持っていたりする。そして女神の立場。どちらを使っても、簡単にこの世界の支配者になれるのだ。ラヴィちゃんも世界を繁栄させるのなら、私の好きにしてよいと言ってるからね。

 だが、王達の中には不満げな視線の者も数人いる。それは当然だろう。

 こんな形で自分の国を差し出すなんて、私だって絶対に嫌だもの。


「却下です。現状この世界を統一する必要性はないでしょう。いくら私が女神になったからと言って、そこまで好き勝手する気はないですからね?」

「だがキキョウよぉ~今ならお手軽に世界征服できちゃうぞぉ? それに税率を下げるよう指示したではないかぁ。皆、あの内政干渉もあって覚悟したのだがのう」


 あ、カリマー様の口調が戻った。他の王達も意外そうな顔をしている。


「……私、以前から領土的野心はないって公言してますよね。農地として国土を貸し出してるし。税率は世界会議で提案するつもりだった事を女神として言っちゃっただけですよ。一応言っておきますけど、基本的に私は郷魔国大魔王で、みなさんと同じ一国のあるじです。世界会議の場で女神として強権を振るう事なんて、雀の涙ほどもありませんからね?」


 なにやら露骨に不満げな声が上がった。なんかうちの臣下達と同じ反応してる人がいる。

 そんなに女神に命じられたいの? ネロ様やコイントス様ならともかく、女神といっても小娘の私だよ?


「……じゃあ女神として、ひとつ命じましょう」


 ゴクリとつばを飲み込む王達。


「みなさん、大いに繁栄なさい」


 ザワリ。なんかみんな、すごく不満そう。私の言葉で世界がドラスティックに変わるような命令を期待したのだろうか。すると、カリマーの横に跪くエルフ国のライアット王が質問してきた。


「その繁栄とは、どの程度を目標としたらようのでしょうか」

「そうですね、全世界の食糧生産が追い付かなくなるぐらい?」

「は……それでは食料をめぐり争いが起こり、世界の繁栄とは程遠い状況に陥るのではありませんか?」


 困惑する王達に私は続けた。


「ふふふ。そうなる前に、増えた人口を別の世界へと移住させるので、その心配は無用ですよ」

「別の世界とは……まさか異世界へ転移させるのですか?」

「近場なら私のゲート魔法も使えるかもしれないけど……折角なので、この世界の秘密を教えてあげますね。ここだけの秘密ですよ」


 世界の秘密。その言葉に、ふたたび王達がゴクリと喉を鳴らした。


「このラヴィンティリスは巨大な塔の階層のひとつなんです。つまりこの世界の上にも下にも、ここと同じような世界が無数に存在しているんですよ。世界の中心に大きな柱があるでしょう? あれが通路なんです。ちなみにこのラヴィンティリス界は、第4423階層ですね」

「なっなんと……」

「世界の外側から直径一万キロもある巨大な塔を見ましたので間違いないですよ。そして、ラヴィンティリス様が言うには、滅んでしまい人が住んでいない階層も多いんですって」

「では増えた人口をその世界へ……」

「そそ。この世界の繁栄の先には、さらなる新天地が待っているんです。すごいでしょう? 先日、ラヴィンティリス様と女子会した時に教えてもらったの」

「せ……世界神様と女子会……」


 王達の驚嘆の声があがる中、一応この件は国民には内緒にしておいてねと釘を刺した。だが困った事に、少年のように目を輝かす王達が積極的に世界統一を望み始めたのだ。先程まで統一に否定的だった視線もほとんど消えてしまった。あららら。


「今は独自性を大切にしましょう。それぞれの国がもつ素晴らしい文化を大切に育んでください」


 せっかく文化色豊かな国がそろっているのに、私が号令してたら、各国の特色が薄れちゃうかもしれない。同じ大陸の国であっても、我が国とアスラン王国とセドリック王国とでは、それぞれ全く別物と言ってよい程に文化様式が異なる。衣服も主食も建築物も全く違うのだ。いつか別の世界へ移住する時は、そういう文化圏ごと移住させるべきだと思うので、各々の文化を大切にしながら繁栄してほしいと伝えると、概ね納得してもらえた。

 ちなみに郷魔国は鬼人の多い南部は和洋折衷な感じだが、元アルス王国だった北部はセドリック王国と同じ洋風な文化様式だ。


 その後、椅子と机が並べら直され、ようやく世界会議が始まった。

 私の玉座はそのままだけれど……ああ、これ結構座り心地いいかも。ひじ掛けにはスイッチがあり、ポチっと押すと誰かの足元に穴は開かず、かわりに背中や腰がブルブル震えた。


 その後はいつも通りの会議となった。

 発言するたびに身構えられたけれど、戦争を禁止しろとか、奴隷制度を撤廃しろとか、そんな一方的な提案はしない。

 まぁ各国、税率が三割程になった事で、軍備に回す余裕がなくなりつつあるのは、計画通りだけれどね。

 ちなみに今回の私の提案は、世界的な流通網の構築というもの。

 アンテナショップ桔梗屋を出店してない国とは、ほぼ国交がない。

 会議期間中、これまで国交の無かった国の王達とも積極的に意見交換した。折角なので地球のお菓子やお酒なんかを異世界土産として贈った。巨人族の女王様には、のちほど美の加護のアクセを贈ろうと思う。手持ちはあるけれど、小さすぎるのよね。ブローチがあればよかったんだけれど、指輪やブレスレットしかないので。

 ちょ、みんな……女神からの異世界土産を有難がるのはいいけれど、食べ物を国宝に指定しちゃだめよ? 

 


「キキョウさぁん、ダメね。みつからないわぁ」

「マジか……」

「しらふじちゃんに協力してもらってぇ、ダンジョンの奥底からぁ、世界の外縁部まで全部チェックしたけれどぉ……」

「うーん」


 世界会議から帰ってくると、ほにゅんと後ろから抱き着いてきたラミーリュに報告を受けた。今の彼女は私と同じ人間サイズになっており、国宝級のぽゆんぽゆんも見事に復活している。

 実は彼女、問題を起こせば私が責任を負うという契約で、正式にこの世界の女神に就任した。元々彼女は光の女神として人々に信仰されていたけど、今は美食の女神を名乗っている。最近は世界各地を巡り食文化を研究しているそうだ。そして巡るついでに、地球で得た食の知識を広めているという。近日、料理のレシピ本も出すとの事。

 さて、何が見つからないのかというと、ラミーリュの分体である。

 彼女が私を追って地球へ転移する時、この世界に残しておいた分体が行方不明なのだ。呼んでもうんともすんとも言わず、どうやらラミとのリンクを切っているらしい。ちなみにただの分体ではなく、自分を二分した同等の存在だという。

 おそらもう一人のラミーリュは、今も人喰いのまま、どこかで暗躍しているのであろう。


「この世界に居ないのなら、他の階層に移動しちゃったのかな」

「はぁ……今もどこかでぇ、もう一人の自分が未来の可能性ごと人々を食い漁ってると思うとぉ、気が気じゃないわぁ」

「とりあえず、ラヴィちゃんに連絡して他の階層の神達と情報を共有してもらおっか」

「そうねぇ、お願いするわぁ。ねぇキキョウさぁん……ちゅーしていい?」

「うん、いいよ……ん」


 最近の私達は、恋人宣言はしてないけれど、とても甘々でスキンシップ過多な関係になっている。スライムという繁殖形態の異なる彼女には、人族の色恋はイマイチ理解できないそうだが、こうやって私と交わるのはとても甘美だという。


「最近のキキョウさん、あたしが抱き着いてもぉ、ビクってしなくなったわねぇ」

「そうね、ラミの体内に飲まれるの気持ちいいし」

「うふふふぅ。キキョウさんの分泌物や老廃物って美味しいわぁ」

「老廃物ゆーな」


 ご無沙汰しております。久々の更新です。

 ついでにタイトルを「白き魔王はユリ属性」に変更しました。

「ラヴィンティリスの白き魔王ですが、ユリハーレムに龍王や宇宙戦艦がいる件について語りますね。」はさすがに長いし、102話で宇宙戦艦娘が龍化してしまい、タイトルに偽りありになってしまったので……

 以前書いた宇宙戦艦白雪にも同じようなシーンがあるのを読み直して気付きましたわ。無意識に同じネタ使ったようです。

 宇宙戦艦白雪は随分前に勢いで書いた物語ですが、すごくお気に入りなので、よろしければ是非お読みください。

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