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ラヴィンティリスの白き魔王ですが、ユリハーレムに龍王や宇宙戦艦がいる件について語りますね。  作者: 烏葉星乃


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第107話 ユリ蘇生

 え……茉莉花がヘムエルヒリア? つまり龍王ファフニール?


「クロちゃん、どういう事?」

「どうもこうもありません。茉莉花から感じる龍気は間違いなくファフニールのものですよ」


 クロの推測では、ファフニールの断末魔の攻撃。あの黒い玉に自分の魂を仕込み、私の子宮の子に乗り移ったのではないかとの事だ。

 つまりお腹の子は双子で、一方を彼女に乗っ取られた可能性があるのか。

 クロから茉莉花を受け取り、ぎゅっと抱きしめる。ほのかに温かいわ。

 実はクロ、私が帰ってきた時にすぐ気付いたけれど、あえて黙っていたそうな。

 

「ふふふ、ヘムエルヒリア。バレちゃったみたいよ。さて……この大きさの卵だものね、何人分のプリンが作れるかなぁ」

「私はオムレツでもいいですよ? 冗談はともかく、どうされます?」


 おや、卵から不安や恐れを感じる。

 これまで卵から感情が伝わってきた事はないのに。

 どうやらこの子がヘムエルヒリアというのは本当のようだ。

 ちなみに龍の卵は世界の理に護られているので、プリンにするのは無理そう。

 そこに二つ目のケーキから、もこっと顔を出したラミが爆弾を投下。


「あたしがぁ、その子を操ろうと精神介入したらぁ、むしろ自分からグイグイきたのよねぇ」

「ほっほう……やっぱり狂乱してなかったのね」

「それで……どうされます?」

「どうもこうもしないよ。私の可愛い娘に転生したんだものね。早く孵化しておいで。カイくん同様、いぃ~っぱい愛情注いであげる。ちゅ~」

「マジですか。あのヘムエルヒリアですよ?」

「もちろんマジです。それに今はもう、この子は私のかわいい茉莉花ですよ」

「まさか成長したらハーレム入りさせるとか、考えてますか?」

「むっふぅ……そんな光源氏計画も吝かではないかも?」


 すると、安堵して擬態を解いたのだろう。卵が薄ピンクから真っ黒に変色して、カリンの反物質攻撃直後のようになってしまった。まるで巨大温泉卵だ。


「でもこれ、ラヴィちゃんに知られたらヤバくない?」

「不味いかも、ですね……」

「茉莉花。安全が確保できるまで、別の色に擬態しておきなさい」

「楽しそうじゃのう」

「「うわぁっ!」」


 約束通りの刻限に、今日もお肌ツヤツヤのミモリが現れた。あーびっくりした。

 これから彼女に、ユリを蘇らせてもらうのだ。

 およそ三年半前、ユリは出産直後の私を狙った凶弾から身を挺し護ってくれた。タイムリミットの三十分ギリギリらしかったけれど、どうやらユリの魂が分離する前に魔法珠へ収納する事ができていたようだ。

 あえて言わないけれど、あの程度の銃撃、私には鳩に豆鉄砲なんだけどね。


 まだ温かいユリの遺体を優しくベンチに寝かせると、聖杖テュルソスを掲げたミモリが静かに祈りの言葉を捧げ始めた。

 突如、あたり一面にサクラの花びらのような光が舞い、そして――


「目覚めよ」


 上空にふわりと小さな光の天使の集団が現れ、螺旋を描いて降りてくる。そして、眠っているユリを起こすように体に触れた。なんと神々しい光景だろうか。

 天使の一人がユリにビンタしてるようにも見えたが、たぶん気のせいだろう。

 するとユリの体が発光しながら、痛々しい銃創から弾丸がポロリポロリと抜け落ち、みるみるうちに傷が塞がってゆく。そして体をビクリとさせると、まるで昼寝から目を覚ますかのように、何事もなくユリがむくりと起き上がった。


「ユリっ!」

「あ…あれ……ここは……」

「ここは異世界、ラヴィンティリスだよ」

「ああ…キキョウ……無事だったんだね」

「子供達も無事だよ。ありがとう、ユリ」


 ユリの小さな体をぎゅっと抱きしめた。ユリ、よかった、ユリ!


「今はユリだったか。おのれが何もんか、もう分かってんな?」

「うん……」

「え? ユリ、どういう事?」

「それはわしん魂の一部。わしを構成する破片じゃ。ゆえにわしん中へ戻ってもらう」

「ミモリに戻ったら、このユリはどうなるの?」

「魂が抜けるんじゃ。そん体は抜け殻になるな。つまり――キキョウから見りゃ死んで消えるんと大差ない」

「……駄目、いくらミモリでもそれは許さない! ユリの魂の全てがミモリってわけじゃないんでしょう?」


 いくら何でも、ユリが消えるのは無理。

 私はユリを隠すように背を向け、ミモリを睨みつけた。最悪バトったとしても、まったく彼女に勝てる気がしないけれど。


「ひはは、分かっておる。わしもキキョウに嫌われたくねぇ。仮にそれが戻っても、こん変な口調が標準語に戻る程度じゃろ。それのお迎えが来んまで、そんままでかまわんよ」

「そっか……ありがとう、ミモリ」


 私はユリを更にギュッと抱きしめ、お姫様抱っこして頬にキスした。

 まるで花嫁を抱える新郎のように、イングリッシュガーデンっぽい草花の小道を通り、春バラのアーチを抜け、露天風呂へと向かう。


「ちょっ、待ってキキョウ。私歩けるから!」

「だーめ。あなたはもう私のユリなんだから、この先一生、私に可愛がられる運命なのよ」

「運命なんだ……わかった。可愛がられる」

「うふふふ。お風呂出たら、ユリのお部屋を選ぼうね」

「うん……私、あの立派な屋敷に住むんだ……」

「私達の愛の巣だよ」


 顔を真っ赤にするユリは可愛いのう。横からしらふじがニタァと笑いかけると、ユリがビクリとする。


「あれ、しらふじちゃん? 髪が変わってる。それツノ?」

「うん、進化したの」


 すぐそばを歩くクロがお姫様抱っこ中のユリの顔から身体つきまで、吟味するかのように見つめている。


「キキョウ様はそういうタイプの娘が好みなのですね」

「え、そういう自覚はないけれど」

「小柄な今の私やヒマリ、マンマネッテに共通するものを感じます。ああ、スレンダーという事で、アスフィーリンクもギリギリ入りますか」

「う、否定できない……でも、ヴァルバロッテの大きなおっぱいも好きだよ」

「ヴァルは実の娘ではないですか」

「そーだけどー」


 そう、ヴァルバロッテが前世の娘から、実の娘になったのだ。

 私の倍も年上だけれど。


「キキョウさんはぁ、博愛主義者だと思うわぁ」

「そうだね。年齢も背丈も関係なく……いや、種族が違くても、全く問題ないよ……男じゃなければ」


 森の中、湧水の流れに架かる木道をコツコツペタペタと歩きなが、ふと、クロの言葉を思い出す。


『あなたを構成するすべてが、私の記憶に住まうキキョウと一致しています。今、私が抱きしめているあなたは、昔の記憶が無いだけのキキョウ様ですよ……』


 記憶が全て戻ったけれど、確かにその通りだった。

 記憶の有無に関係なく、私は私だった。


 みんなで露天風呂に浸かり、ほっと一息。

 せっかくなので家族達をお風呂へ呼んで、みんなにユリを紹介する事にした。

 緊張気味に湯に浸かるユリに、みんなが挨拶をしてゆく。うちは大所帯だから、すぐ覚えられる人数じゃないよね。


「みっみんな、美人過ぎる……」


 突然しらふじに抱き着かれ、ユリがビクついた。


「ユリちゃんはね、地球でのキキョウちゃんの現地妻第一号だよ」


 みんなユリに興味津々だ。私はユリとの出会いや、一緒の学校に通っていた時の事、そして嬉し恥ずかし入院中のエピソードを披露した。


 翌日、地球にいるラミへ言伝を頼んだ。ユリが無事生き返った事を太田さんへ伝えてくれと。それとユリの伝言もね。


「叔父さん。私、幸せだよ」


 そうそう、あれからしばらく、ユリはミモリを見るたびに、逃げるように私の後ろへ隠れている。どうやらあの肉食獣みたいな視線が怖いらしい。

 ふふふ、なんとなく理解できる。私もすこし苦手だしね。すぐキステロするし。


 さて、十分休んだし、郷魔国大魔王として働こうか。

 まずは膨大なお土産の山を配ってしまわないとね。

 ケージ艦に積んだ膨大な土産物は、しらふじの采配で各所に送られた。

 足踏みミシンはドワーフ街近くに建てた倉庫に移し、職人達にメンテナンスや構造の研究をしてもらっている。将来的には日本の電子ミシン並みの性能を持った、魔導ミシンを開発して、世界中に広めたい。ミシンつながりで、文官からキキョウ学園に被服科を設立し、そこでミシンの使用方法を学んでもらうのはどうかと提案が出たので、即GOサインを出したわ。

 とりあえず、各国に百単位でミシンを配る事ができそう。税率を三割以内にした国へのプレゼントの一つだ。他に機械式腕時計や自転車、他には圧力鍋やミンサー、パスタマシンなどの調理器なんかもある。

 実は地球の電化製品も各種持ってきているが、この世界では動かないので、魔道具ギルドやドワーフの職人にいくつか渡して、魔道具化したり、技術や概念が応用できないか研究してもらうつもりだ。


 そして、国民に配るお菓子だが、数百万という膨大な段ボール箱を各町村にばんばん転移させた。大魔王かつ女神になり魔力がぐんと増えたおかげで、ノエルの魔力に頼らず、わずか数時間で全部配り終える事ができた。

 貴重なチョコレートと様々な味が楽しめるドロップ缶は、国民にとても喜んでもらえたようだ。まだ大量にある在庫は、同盟国におすそ分けしたり桔梗屋で販売する事にした。

 特になじみの王妃達には、美しい着物や織物、惑星エデンでもらった虹色に輝くアクセサリーを贈った。みんな目の色が変わったよ。

 そして、宝石以上に大量購入したコスメ。キョウカとモデルのお仕事をした時、メイクさんと仲良くなって、持って帰るならコレ! という様々なコスメをリストアップしてもらい、大量に購入してきたのだ。

 これもみんなに配りまくったよ。うちの女子力の低い者娘にもね。

 それと無理言ってコスメの原料と製造法を教えてもらったので、いずれこちらの世界の原料で生産したい。


 これらの嗜好品や宝飾品類は国交のない国々の王妃や大統領夫人にも贈っている。その方が後々のプラスになるであろうからね。

 そうそう、龍王エメラルドフォレストに直径二メートルもある巨大エメラルドを贈ったら、失神してしまった。


 お土産の諸々が概ね片付いた、とある午後のティータイム。

 日本での仕事を活かし、私の文官となったユリの報告を聞きながら、お茶を一口。

 ユキがニコニコ笑顔で、お気に入りの縦濱レンガ通りをペロリと平らげると、私の顔をじっと見つめた。


「どしたの?」

「お母さん、結婚式しよう」

「え、ユキと?」

「お母さんとクロ様のっ!」

「あー」

「お母さんが帰ってきたら、ノエルちゃんと結婚式挙げるつもりたったんだけど」

「あい」

「うん、いいんじゃない?」

「お母さんの方が先にしないとダメでしょ! なんで結婚式してないの?」

「ん~なんか、必要性を感じなかったから?」

「そうですね、今のままで十分ですしね」


 もう八年も経っちゃったしね~と、クロとそろって笑うと、ユキ思いっきり睨まれた。


「ダメです。結婚式……挙げなさい。大魔王として、国民への義務です」

「「はい……」」


 大人ユキの冷ややかなお顔、かなり迫力があるね……

 結婚式は半年後の収穫祭を一日延長して、初日に世界各国のお歴々を招待して行う事となった。大勢招待するので、準備が大変だ。ほとんど臣下任せだけれど……

 私はウエディングドレスの準備が一番重要かな。あと、シルヴィアと光洋の結婚式もしないとね。ふたりの新居はキキョウの館に近い湖畔に建築するので、間取りを検討中だ。現在、光洋はシルヴィアの部屋に住んでいる。男性は特例でティメルも住んでいるので、クロが許可した。

 ただ、我が館は絶世の美女、美少女ぞろいなので、光洋が鼻の下が伸びまくるのだ。誰かのお尻やおっぱいに目がゆくと、シルヴィアが情け容赦なく肘鉄を食らわせるのである。

 シロくんが完全に女性になっている事を強く実感したよ。光洋くん愛されてるね。


 いつも読んでくれて、ありがとうございます。(シルヴィア)

 姉ぇちん、ごめん。光洋を治癒してくれる?

「あらら、どしたの光洋くん」

「あてて……」

 ボクのエルボー……ちょっと強すぎて、あばら何本もやっちゃって……

「あらららら……ねぇシルヴィア。男性がおっぱいとか見ちゃうのは自然現象みたいなものだから、少しは大目に見てあげなさいよ」

 あ……うん、そうだよね。光洋、入院中の姉ぇちんのおっぱいガン見してたし。

「まぁ肘鉄ぐらいなら可愛いものだよね。クロちゃんなんて、私にエロい視線向けた男全員の目玉くり抜く気満々だから、ステイさせるの大変だよ」

 うへぇ……

「でも光洋くんもほどほどにね。シルヴィアはこの世界で十指に入る美女だよ? それを嫁に出来るっていうのに、よそに目移りしちゃダメよ」

「はい……ごめんなさい。浮かれてました」

「うんうん、もし折檻が必要な時は、アスフィーに頼むといいわ」

 うお、それは……

「アスフィーさんって、金髪シスターの? そういえば彼女……俺の股間をよく見てるような……」

 うわぁーもう目を付けられてるのか。光洋、アスフィーはヤバいから絶対注意だからね? 

「え……俺、あの美女に狙われてるの?(ドキドキ)」

 ドキドキすんなっ! 

「まぁいざという時は、私が治癒するから……」

「ドキドキドキ……」

 だから、ドキドキすんなっ! ゴスッ!

「うごぉっ!」

 あ。姉ぇちん、もう一回ヒールお願い。

「やれやれ、骨が折れない加護あげようか。物理的と比喩的、どっちがいい?」

 比喩的だと、どうなるの?

「性欲が減退します」

 新婚だから、やめてー。

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