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ガニメデフジツボ

※この話はフィクションです。実際の人物や団体などとは一切関係ありません。

 ガニメデアネモネの生態を設定していくと、フジツボっぽい生物になったので、ガニメデアネモネの名前を、ガニメデフジツボに変えました。ガニメデバーネカルス(フジツボの英名、barnacles)と迷ったのですが、あまりにもわかりづらすぎるので、日本語のフジツボから取りました。

 それに伴い、27話の『リーフメデ・ガニメデフジツボ・レンズメデ』の一部を改訂しました。

 リーフメデの解剖をした翌日。第二回海中探査に伴う潜水艦の整備がおわったジョージ・エヴァンスとルイス・エヴァンスは、ガニアンの海中都市がどのぐらいの深さにあるのかを、シノノメに聞いた。ガニアンには距離の単位がないので相互理解に苦労したが、どうやら海深50kmほどの位置にあるようだ。

 ガニメデの海の深さは100kmと推定されていたが、地球出発時である2135年の技術で建造できた潜水艦の最大潜航深度は約40kmであり、それから6年が経過している。この間に技術はさらに進歩していると考えられ、地球に支援を求めれば50kmまで潜航できる改造を施せる可能性がある。2人はデヴィッド・アンダーソンに、地球にその要請をするよう頼んだ。


 立花里香とアルベルト・ホフマンは、電気を消した0度の研究室に居た。

「次はガニメデフジツボの調査ね。まずはお話ししてみようかしら。」

「まだそれは試してなかったんだね。いっぱいいるから、解剖しなきゃいけないけれど、里香としては先にそっちが気になるよねぇ。」

「そうなのよ、どうしてもね。昨日ガニルミナイトは水槽に入れたけれど、様子はどうかしら?」


『おちつく…』『繧ャ繝九Ν繝溘リ繧繝のひょうめん…いい…』『うふぁー』『つぎはぼくのばんだからね』

「えっと、初めまして。私は里香よ。あなた達の研究をしたいのだけど、今何か不満はあるかしら?ちなみにその光る鉱石のことを、私たちはガニルミナイトって呼んでるから、これからはそう言ってくれると助かるわ。」

『ガニルミナイト、わかった』『けんきゅう?』『ふまん……?』『たしかあれだよ、いやなこと、てきな……ちがったかな』『ほんとにー?』『わかんない』

「えっと、不満っていうのは、これが嫌だからどうにかしてほしい、変えてほしいっていうもののことね。水温とかガニルミナイトのサイズとかは変えられるわ。」

『なるほどねー』『すいおんはさっきからはちょうどいいよね』『みんながよゆーでくっつけるぐらいのガニルミナイトがほしいー』『それいるねー』

「わかったわ。ガニルミナイトを大きくするわね。どれがいいかしら……」

『ぼくたちがくっついてたガニルミナイトは?』『たしかにあれがいちばんいい』

「あぁ、これも研究に回したいけれど……仕方ないか、表面を少しだけ削って試料にしましょう。」

「OK、その作業は俺がするよぉ。」

「今ちょっと用意しているわ。少し待ってね。観察がおわったら、1匹解剖させてほしいのだけれど、良いかしら?」

『かんさつ……?』『かいぼう……?』『みんなくっつけるガニルミナイトもらえるならいいよ』

「なんか騙してるみたいで心苦しいわね。解剖っていうのは、うーん…簡単に言うとそれをされた個体は死ぬわ。観察は簡単に言えばよく見るってことよ。」

「ガニルミナイトはガニメデフジツボがくっつていていたところを少し削ったよ。屑は成分検査機にかけるねぇ。水槽の中に入れるよ〜」

『かいぼう、こわい』『でもたべられるのもおなじだし』『たべるのにさきにいうなんてへんなのー』『あ、ぼくらのガニルミナイトだ』『やっぱこれだよね……かいてき』

 水槽の中に、ガニメデフジツボ達を採取した時に一緒だった、大きなガニルミナイトを入れると、ガニメデフジツボ達は小さな水流を器用に駆使して、大きなガニルミナイトに近付き張り付いた。

 アルベルトが先に入れていたガニルミナイトを取ろうとすると、ガニメデフジツボ達がガニルミナイトから離れ、まとわりついてきた。

『だめー』『それもいる』『あとはこんでくれるこたちもいるよね』『そうだった。繝ェ繝シ繝輔Γ繝とかー、繝ャ繝ウ繧コ繝繝とかともいっしょにくらしたい』

「あらら、これは取っちゃダメってことかなぁ?それに、こんな10cmほどのちっちゃい体で、ここまで動けるなんて驚きだね。」

「えぇ、それもいるって言ってるわね。水流を使っているのかしら?それも研究しないといけないわね。あとはこんでくれるこたち……運んでくれる子達?光合成する魚たちのことかしら。具体名を挙げてくれているみたいなんだけど、無意味な文字列に聞こえてなんのことを言っているのか全くわからないのよ。」

「そっかぁ……とりあえずリーフメデを入れてみる?」

「今は9匹いるものね。リーフメデにも聞いてみる。」


「おはよう。里香よ。ガニメデフジツボ……じゃわからないかしら、ガニルミナイトにくっついて群生してる子達が、他の魚と一緒に暮らしたいって言っているのだけれど、それってあなたたちリーフメデのことよね?何匹かガニメデフジツボの水槽に移してもいいかしら。」

『繧ャ繝九Γ繝?繝阪Δ繝か〜確かに、あの子は僕たちとかが近くにいないと今は困るかもね。』『1人は寂しいから2人で行く?』『じゃあ私行く』『じゃあ僕も〜』

「他のおそらく光合成する魚のことも言っていたんだけど、どんな特徴の子かわかる?」

『うーん、誰だろ』『あの子とかじゃない?お腹におっきい丸いのついてる』『でも多分、私たちだけで十分だよ。ガニルミナイトは2つあるんだよね?』

「えっなんでわかって……もしかして、あなたたちはガニメデフジツボが何をしようとしているのかわかるの?」

『わかるよ〜ずっと一緒だもん』『増えたいんだよ』『こんなに環境変わったら絶対やるよね』『生存本能〜』

「え?!もしかして生殖活動が始まるのかしら?!それはしっかり観察しなければ……!!どの子がガニメデフジツボの水槽に行ってくれるのかしら?」

『私だよ〜上にあがっておくね〜』『僕だよ、間違えないでね』

「ガニメデフジツボが生殖活動をするのかい?そしてそれに他の魚が必要なのかぁ……奥が深いね。上にあがってきている2匹のリーフメデを移動させればいいのかな?」

「そうよ。お願いね。」


 里香とアルベルトは協力して、2匹のリーフメデをガニメデフジツボの水槽に移した。リーフメデを移した後、リーフメデのためにはガニルミナイトを吊るさなければいけないので、まずはガニメデフジツボがいるガニルミナイトを吊るした。

『ガニメデフジツボ達がいるガニルミナイトはそこでもいいけど〜もう一つは離れたところにあった方がいいよ』『もう一つのガニルミナイトは、それより少し大きいガニルミナイトがいいんじゃないかなぁ〜』

「わかったわ。これぐらいの大きさはどうしかしら。」

『いいんじゃな〜い?』


 新しい大きめのガニルミナイトを吊るす作業をしている途中、ふとガニメデフジツボを見ると、緑青色のガニルミナイト様の殻の上部がパックリと開き、中から半透明の小さな触手が2本出てきていた。隣のガニメデフジツボも同じようになっていて、ゆっくりと小さな触手同士を触れ合わせた。かと思ったら触手はゆっくり殻の中に戻っていき、継ぎ目が全くわからないガニルミナイト様に戻った。触れ合っていた時間は2、3秒だろう。

「アルベルト、見た?」

「流石に目を離せなかったよぉ。放精放卵するんじゃなく、生殖器で遺伝子を受け渡していたように見えたね。」

「明らかにガニルミナイトにくっついてしか生きていけないのですもの。放精放卵なんてしたら、海流でどこに流されるかわからないわ。ガニルミナイトは広く分布している鉱石じゃないようだし、効率的ね。これ以降の活動も目が離せないわ。」

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