第30話 妖精の友人
石の巨人は後二体いる。
ラクショーラクショー!
鉄のツルハシの攻撃力が高いのか、俺が石の巨人を潰すのに慣れたのか。どうやら地獄の炎も瞬間冷凍も使わずに無双出来そう。
よぉーし、やぁってやるぜぇい!
俺はエイヤッとジャンプ。上から全身の力を込めて石の巨人を叩き潰す。
グシャッと半壊した石の巨人を放っておいて、もう一体に。胴体の中心部にツルハシの一撃を加える。腹の辺りに大穴が開き、中には魔法石が見える。
もう少し広げないとキッツイな。
ウリャッと魔法石周辺の石をツルハシで砕いて、サッと魔法石を抜き取る。これは黄魔石だな。黄魔石を奪われた石の巨人は動かない石の塊と化し、やがて崩れた。
先ほど上から潰した石の巨人。ブサイクに崩れた姿だがまだ動き回り、俺を攻撃しようとして腕を振り回す。その拳はデカイ岩石。ゴウッと恐ろしい音が鳴ったりするのだが、俺はそいつをサラっと避ける。
胴体にツルハシを叩きつけて、と。岩の崩れた中から魔法石をかっぱらう。緑魔石。
先程の個体と全く同じ要領で動かなくなった石の巨人。細かく崩れた石だけを残して消えて行った。
「やったなのよー。
やっただわさー」
妖精少女が俺の周囲を舞う様に飛ぶ。
へへへッ。
仕事はツライ、って言う人多いけどさー。慣れて来ればラクになってくるよ。自分なりの工夫もしだしたら楽しくもなって来る、ってモンさ。
夜の地下坑道でコバエを潰して、高価な魔法石を手に入れる。誰でも出来るカンタンなお仕事です。
「フツーの人間にはカンタンじゃ無いハズなんだわさ。
石の巨人は強敵って人間には呼ばれてるなのよ。
しかもアンタ、昼間は早朝から夜まで鉱山労働して、真夜中地下で更に働くなんてマッタク楽なハズ無いんだわさー」
なんだよー。
妖精少女に頼まれて、やってるんだぜ。
「そりゃそうなんだけどなのよね」
にしても、石の巨人を倒すのに俺も慣れたな。これからは石の巨人を倒すのにジャンプするなんて、手間はかけずに胴体に穴開けて魔法石奪って行こう。
「…………アンタ、称号が増えてるんだわさ」
ちみちゃい少女が俺を見て驚いた様に言う。
以前に聞いていた俺の称号。妖精少女が俺を見ると分かるらしい。自分自身ではサッパリ分からないのだが。
仕事中毒
前世記憶
これは以前からあった称号。おそらくは仕事中毒の影響で俺は昼夜続けて働いていられる。前世記憶が発動した事で俺は日本の中年男、出雲働としての俺を思い出した。
妖精の友人
「これはアタシと親しくなった証なのよ。
ここんとこ毎日顔を合わせてるし、アタシの頼みも聞いて貰ってるんだから、トーゼンだわさ」
テレたような表情を浮かべて妖精少女が言う。
そっか。俺達いつの間にか友人になってたのか。相手がちみっちゃい少女とは言え、なんか嬉しいな。さらにはコソバユイ。
「そうか、トモダチか。
よろしくな、妖精少女」
「あ、あらたまってなんなのよ。
…………今のうちに言っておくけど、トモダチまでなんだわさ。
トモダチ以上コイビト未満とかは無いんだから、そこは弁えておいてなのよ」
「……ちみっちゃい少女に俺だってそんな気は無いやい」
友達以上恋人未満、そんな言葉を妖精少女も知ってるんだ。男女関係なんてどこの世も大して変わらないのかもしれないな。
「なによーなによ、なのよ。
レディーに対して失礼なんだわさ」
「なんでだよ。
オマエから言い出したんだろ」
「フン、なのよ。
まぁ良いだわさ。
妖精の友人になったからには、他の妖精も今度紹介してあげるなのよ」
「他の妖精?
妖精少女の仲間か?」
「まぁね。
たっくさん居るんだわさ」
そう言えば以前聞いたな。絹の妖精と言う妖精に服を作って貰ってるって。
「アンタ、前に頑丈な靴が欲しいとか言ってたなのよね。
だったら今度、靴職人妖精連れて来るんだわさ」
レプラコーン。聞いた事のある響きだな。子供の頃やったゲームなんかで聞いたような。
「靴を作れるのか?」
「モチロンなのよ。
これだって作って貰ったんだわさ」
ちみっちゃい少女は空中に浮きながら、自分の足元を俺に見せびらかす。
あの……スカートの中が見えそうになるんで止めて貰っていいですか?
生足のフトモモ自体目の毒なんだけど、さらにスカートの下はチラチラ見えるカンジ下着を履いて無さげなのだ。
やめて、やめて。俺の目が追っちゃうから。ご主人様がそっちは見ちゃダメッて言ってるのに、俺の眼球ってば言う事聞いてくれないから。
とにかく!
妖精少女はブーツの様なモノを履いている。くるぶしの上まで覆う革の素材、前面を紐で縛っている。サイズは小さいけれど良く出来たシロモノ。
「なるほど。
良い靴だな」
「でしょーなのよ」
妖精の友人なんて称号が増えたのか。まぁ良かったな。これで安全靴作って貰えるかも。
「それだけじゃ無いんだわさ。
もう一つ称号があるの。
巨人狩人ってのがあるなのよ」
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