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男は異世界に生まれ変わる。だがそこも地獄の様と呼ばれ強制労働させられる鉱山だった。だけど俺ってば仕事中毒だから平気、むしろ生き甲斐が出来て楽しーや。  作者: くろねこ教授
第2章 貴族の少年

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第18話 シャナ湖

 毒の治療が終わった俺。頭上でギャァ、ギャァと騒ぐカラスどもをキッと睨む。

 魔凶鴉ネィヴァン

 黒い体で飛び回る騒がしいヤツら。

 もう許さん!

 俺に毒を喰らわしてくれたし、妖精少女パックまで襲おうとしたのである。


 速度上昇アクセル

 筋力強化ストレングス

 筋力強化ストレングス


 俺は強化の重ねがけ。

 魔凶鴉ネィヴァンの群れる上空へと跳び上がる。

 

 カラスどもはギャギャギャと慌てている。さっきまでカラスの攻撃に付いてイケて無かった俺。動きの鈍かった人間がいきなりスピードアップして自分達の中へ突っ込んできたのだ。


 俺は魔凶鴉ネィヴァンどもを蹴り飛ばす。

 格闘技の経験が有る訳では無いが、見よう見まねで回転蹴り。大きく広げる蹴り足で、周辺にいる多数のカラスを薙ぎ払う。

 数体の魔物が墜ちて行く。コイツラ攻撃力は普通のカラスより強いが、体が硬い訳でもタフな訳でも無い。


 石の巨人(ゴーレム)に比べれば楽なモノ。俺は群れる蚊トンボどもを次々蹴り飛ばす。

 石の巨人(ゴーレム)がコバエならこの魔凶鴉ネィヴァンどもは蚊だろう。毒を人間に与えるトコロまで一緒だ。

 

 カラスどもを蹴飛ばした後、重力の力で自然落下。高い木の枝に掴まる俺。体重でぐいっと枝がしなる。その反動を利用して再度上空へ舞い上がる。

 怯えてる風情の魔凶鴉ネィヴァンを蹴り倒す。


 魔凶鴉ネィヴァン達は逃げ出してしまった。上空をギャァギャァと言いながら山の上の方へと飛んで行く。

 空の上での移動力はさすがに向こうの方が高い。

 俺は地上に降りてカラスどもを目で追う。



「やったのねー。

 やったんだわさー」


 ちみっちゃい少女が俺の周りを飛び回っている。

 いつもの透ける服が少し破れているな。あのカラスの仕業か。


 俺は地面を蹴りだす。速度上昇アクセル筋力強化ストレングスを使った体は自分でも驚くほど速く走る事が出来る。

 ……にしても靴が木のサンダルなのがシンドいな。スニーカーが欲しい。


「ちょっと、どこ行くんだわさー?」

「カラスを懲らしめて来る。

 お前にもうちょっかいを出そうなんて思わない様に躾けてやる」


 驚いた顔をする妖精少女パック。その顔が幸せそうな、満足そうな笑みを浮かべるのが一瞬見えた気がするが、俺は既にスゴイ勢いで走っているのでハッキリとは分からない。


 魔凶鴉ネィヴァンは山奥へと飛んで行く様だ。

 ヒンデル老人は鉱山のあるこの山の名がスリーブドナードと言っていたな。そのスリーブドナードから更に山脈が続く。高い位置から見ると水たまりが見えるな。アレは湖か。そこに向かって魔凶鴉ネィヴァンどもは飛んで行く。

 湖上なんかに逃げられたら追えないじゃないか。

 今の季節がいつだか俺はハッキリと分かっていないが、肌寒くなってきている。おそらく夏から秋に変った辺り。水の中に入って行きたくはない。


 俺は近くの高い樹木に駆け登って、魔凶鴉ネィヴァンの中へ突っ込む。

 又、手当たり次第に蹴り倒す。

 数羽のカラスが地面へ墜ちていく。

 中にはギャギャギャと反撃してくるのもいたが、俺は現在パワーアップしている。

 突っ込んで来る魔凶鴉ネィヴァンのクチバシを引っ掴んで、他のカラスへと体当たりさせる。魔凶鴉ネィヴァンは同士討ち、二羽とも地面へ墜ちて行った。


 俺は落下して湖の近くへと降り立つ。

 湖か。

 水が景色いっぱいに広がる。昼間なら美しい光景なのだろうが、現在は夜更け。湖面は昏く、夜の森を映し静かに淀んでいる。

 温かい季節だったら水遊びもしてみたいトコロだが。俺の居る場所は山脈。おそらく標高が高い場所、夜でもあって空気は冷たい


 何処かに小舟でも無いのかな。俺は辺りを見回すが、そんな便利なモノは見当たらない。

 魔凶鴉ネィヴァンはもう遠くへと逃げ去ってしまった。これ以上追うのは無理が有る。

 まぁいい。相当な羽数を叩き落した。しばらくトリ肉には困らない。

 あのカラスに学習力と言う物が在れば、俺やちみっちゃい子にもう手を出そうと思わないだろう。


「キャッ?!

 ここってばシャナ湖じゃないの?

 まずいまずいまずいんだわさーーー。

 すぐ離れるなのよ」


 振り返ると妖精少女パックが居た。先ほど俺と妖精少女パックが居た場所からは全力疾走して来た。ちみっちゃい少女が簡単に追いつけるとは思えない。瞬間転移してきたのだろう。


「シャナ湖?

 ここはシャナ湖と言うのか」

「そうなんだわさ。

 だけど、それどころじゃないなのよー。

 とりあえず、ここから離れるんだわさ!」


 ちみっちゃい少女が俺の腕を引っ張るような仕草をしたか、と思うと。

 いきなり景色が入れ替わっていた。

 既に見えるところに湖は無い。


「ここは何処だ?」

「アンタ達の住処の近くだわさ」


 労働者達の住居の事を言っているのだろう。


「何を慌てているんだ。

 せっかくカラスを何羽も退治したと言うのに。

 トリ肉を回収してないぞ」

「トリ肉ならアタシが回収しとくなのよ。

 それより、あの湖にはもう近付いちゃダメなんだわさ」


「……なんでだ?」

「あそこは恐ろしい魔女が出るなのよ。

 三姉妹の女神の住処。

 滅びなる女神『灰色の女王モーリガン』

 凶なる女神『赤きたてがみのマッハ』

 病もたらす女神『黒き毒のバズヴ』。

 モーリガンは封印されてたハズなんだわ。

 バスヴならあまり襲ってきたりはしないけど。

 狂ったマッハ辺りに出くわしでもしたらサイアクなのよ。

 あっという間に引き裂かれるだわさ」

この作品はカクヨム様にも投稿しています。

そちらの方が先行していますので、先が早く読みたい方はこちらへ。

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