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第140話 妖精女王

|全てを浄化する怒りのゲヘナフレイム


「熱い、熱いあついアツイあっつー----!

 なのよー!!!!」

「熱いのである!

 熱いのである!

 火傷するのである!!!!」


 妖精少女パックが叫んで飛び出る。俺の掘った穴の底からヘルラさんと俺も連れて脱出。俺の腕の中には仔ジカちゃんも抱かれている。


妖精少女パック、ナイス!

 よくやってくれた。

 火傷するところだったよ」


「バカバカバカ、イズモのあほー---っ! なのよー!!!

 あんな事するんなら、前もって言ってくれないとダメなんだわさー!!!」

「そうであるぞ。

 吾輩まで焼け死ぬところであったぞ!!!」


「そんな事言われてもさ。

 俺だってナンかする気なんて無かったんだ。

 とゆーか、俺ナニしたんだって?」


「アレに決まってるなのよー!」

「アレに決まっているのである!」


 妖精少女パックとヘルラさんが指差す。

 その先には俺たちが居た穴、そこは赤黒くオレンジ色に光るモノがドロドロと溢れている。

 あれは炎なんかじゃ無いな。

 マグマ。

 地底の中で蠢く惑星の形成時からある原初のエネルギー。

 確か、温度は1000度前後だったと記憶しているが、場所や状況によっては1600度に達する事もあると言う。

 地球の中心マントルは高圧の環境下によって5500度と言われる。ここから地表に押し出され液体化したものがマグマ……で合ってたかな。

 

 山火事などの炎の温度は600度ほど。火が燃え盛り集中する場所では1000度にもなるが、自然界で燃える炎はその位だ。

 火だってガスを使ってバーナーで噴射すれば最大1800度は出せる。出せはするのだが、通常自然界ではそんな高温になる事は無い。人間の手が入って可能になる温度なのである。

 これより高い温度となると核融合炉だの超新星爆発とかそう言う世界になってくる。核融合が5億度で、超新星が100億度だったかな。もうなんのこっちゃ、分からん。


 まー、あそこに在るのは自然に噴き出たマグマなんかじゃなくて、俺がなんかやらかして地球の中心部から噴き出た5500度にも達しようとするエネルギー……みたいに思っておけば良いんじゃないかな。


「そっかー。

 ゴメン、巻き込もうとは思ってなかったんだけど……

 あんなの出来ると思って無かったんだよねー。

 あはははははは」


「笑いごとじゃないだわさ!」

「笑ってる場合じゃないのである」


 ヘルラさんは無いのか、あるのか、分んないよ。

 なんだか、俺は少しスッキリしている。言いたいこと全部言ってしまって、心のモヤが晴れたみたいな。


「おっけーですわぁ。

 さっすがあんたはん、よくやりました。

 んじゃ、そろそろ行きましょうか」


 俺の腕の中で仔ジカちゃんが何やら言っている。

 見るとマグマは地下の穴に吸い込まれたみたいでもう無くなっている。それとも俺の魔法で産まれて、効果が切れて消えたのかしら。


 先ほど固くまったく突く事の出来なかった地面はドロドロに溶けて下へと続いている。俺たちが下りていくとそこも空洞だった。


「この気配、魔素プネウマに満ちているなのよー」

「うむ、ここはまるで常若の国(ティル・ナ・ノーグ)の様であるな」


 妖精少女パックやヘルラさんが言う。俺も感じるな。魔素プネウマなんて分からないけど、ナニか生命の息吹みたいな、とんでもない力が充満している。


ピーッ ピィピィ ピピピ


 可愛らしい鳴き声を立てて仔ジカが走っていく。その先には人が寝ていた。

 美しい女性。年齢がパッと見では分からないけれど、未成年て事は無いと思う。成熟した美貌。

 仔ジカがその女性の顔を舐めていて。

 女性は目を覚ました。


「ああぁぁあああ。

 よぉう寝ましたわ。

 何年ぶりの目覚めかいなぁ。

 あんたはん、あんたはん、こんな時はあんたはんが優しく起こしてくれると嬉しいんやけどなぁ」


 んっ……俺? 周りにはパックとヘルラさんしかいない。

 女性を起こす事が出来るのは俺だけ?


 にまぁ、と笑った顔で女性は俺の事を見ている。となんでだか、もう一遍横になって目を閉じている。

 ええと……俺に起こせ、って意味だよね。


「あの、大丈夫か?」


 俺は女性に近づき、肩に手をかけ軽く揺さぶる。


「んん~んん、イケズやわぁ。

 そこはキスくらいしてくれてもバチはあたりまへんえ」


 そう言って女性は俺に身を預ける。

 ええと要するに抱いて起こせ、って意味だよね。


 俺が上半身を支えてやって女性を立たせる。彼女は少しフラフラしている。


「ん-、寝すぎてもうたんやな。

 体がうまく動きまへんえ」

「大丈夫なのか?」


「悪いトコはどっこも無いから、慣れれば動きますやろ」


 上半身を支えてやると、女性の体が密着して俺になにやらイロイロやわらかい部分が触れるのである。

 どこであるかは言わない。横チチとか横チチとか、いってしまうとイヤらしくなってしまうではないか。女性を手助けしているだけなのに、ナニやら悪いことをしている気持ちになってしまうし。


「純情やなぁ。

 そんなトコが好きになってしまうわぁ」


「か、からかわないでくれ」


 女性は俺の方を見て言う。改めて見ると恐ろしく整った顔。長いまつ毛に高い鼻筋、赤く艶めいた唇。どこぞのモデルと言われても信じる。むしろモデルよりもキレイかもしれない。


「からかってなんかおへん。

 あて見てたんや。

 この数か月、あての事を救おうと必死で頑張ってくれてたん。

 あんな風に一途に自分のため動いてくれる男性を好きにならん女なんかおらん」


 数か月俺が救おうとしていた存在。

 と言う事はこの女性が…………


 妖精少女パックとヘルラさんは泣きそうな顔になって、女性を見ている。


妖精女王ティターニア様…………ついに妖精女王ティターニア様に巡り合えたなのよね……」

「ああ、パック、ホンモノである。

 この気配、気品、美しさとパワー。

 間違いなく妖精女王ティターニア様なのである」

この作品はカクヨム様にも投稿しています。

そちらの方が先行していますので、先が早く読みたい方はこちらへ。

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X:twitterにて、くろねこ教授マークⅡ名義でこの小説のイメージイラストも投稿しています。

興味が有る方は覗いてくださいませ。【イラストAI使用】

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心の広い方は覗いて戴けると最高です。

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