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月光の針魔王(リトライ)  作者: 爺増田
異国の密林
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ミンマ・ハンク-4

ミンマ・ハンク・シェルパとは火曜日に産まれたシェルパ族のハンクという意味で、双子の妹達はそれぞれ日曜日に産まれたシェルパ族のリリンとジュディという意味である。


元々ネパールでは部俗名やカーストでの地位などを名前に入れることが多くシェルパ族は産まれた曜日をそのままファーストネームにすることが非常に多い。


10歳の時に“グルカ兵の専門学校”に通い始めたがハンクはそれだけでは物足らず亜熱帯の原生林を散策し、いろいろな動物を探した、ドール、アクシスジカ、ナマケグマ、ヒョウ、ベンガルタイガー…うかつに関われば命を落とすかも知れないなどという考えなど毛頭無かった。


何故なら彼は、幼い頃から猛獣達は味方だと感じていたからだ。


ハンクが子供の頃、外に出かけるとたまに毛むくじゃらの丸っこい猿のような者達が、遠巻きに彼をじっと見ていることがあった。


それは現地でたまに見かける者がいて、『キャク』とか『キャー』と、呼ばれる(あやかし)なのだが父や母に言っても、信じてもらえないし、気持ち悪がられたりするので徐々に言わないようになった。


そんなある日、いつも通り森林限界の境界まで降りて、花や虫や小動物を観察して遊んでいた時の事。


夢中になりすぎて山を下り過ぎ、いつの間にか鬱蒼とした森の中に入り、10匹以上の『キャク』に取り囲まれた事があった。


奴等は2~3匹の時は、ただ様子を窺っているだけだが、相手が怪我や病気で弱っていると判断したり、圧倒的な数の優位に立ったことを認識すると気が大きくなるのか、途端にちょっかいをかけてくる。


この時もハンクを取り囲んだ輪を徐々に縮めながらジリジリと迫って来た。


背中を小突かれたり、頬を引っ掻かれたり、髪の毛を引っ張られたりしても、始めはハンクも無視を決め込んでいた。


1年前位に、麓近くの遺跡へ遊びに行った時、ハヌマンラングールという猿の群れに出くわしたことがある。


その時も猿達は餌が欲しかったのか、どうかは知らないが、ちょっかいをかけて来た。


しかし、ハンクが無視を決め込んでいるとやがて飽きたのか、徐々に去って行った。


今回もその時と同じようにして、無視を決め込んでいたのだが…『キャク』は、しつこかった。


ハンクの服や髪の毛を掴むと強引に引っ張り始めた。


普通の子供ならば、泣きべその一つでもかくのであろうが、ハンク少年は少し違った。


大声を上げ、『キャク』達を威嚇すると落ちていた木の枝を拾いあげると、それを振り回しながら、パンチやキックも繰り出した。


一瞬『キャク』達は、ひるんだがすぐにまた、襲いかかって来た。







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