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月光の針魔王(リトライ)  作者: 爺増田
異国の密林
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ミンマ・ハンク-2

 シェルパ族はネパールで最も高地に住む民族であり、ヒマラヤ山脈を望む素晴らしい景色の下、マガール族、グルン族、ライ族、リンブー族等の山岳民族等と共に、住んでいる人達のほとんどがロッジ等の宿泊、土産物屋等の観光業や牧畜業等を営んでいる。


 その中でも、ほんの一握りの8000m級の高地に耐えられる人々が登山隊の重い荷物を担いで道先案内する、ポーターと呼ばれる命懸けの職業に付く。


 しかし、そのような屈強で俊敏な山岳民族が誰しも、世界最強の兵士と呼ばれる、グルカ兵になれる訳ではなく、登用されるには狭き門が立ち塞がる。


 幼い時からグルカ兵になるための専門学校で武術、体術、戦術、兵法、あらゆる基礎知識や英語等を学び、それでもグルカ兵になれる訳ではない。


 基本的にはイギリス軍のスカウトの目に留まらなければならないのだ。


 何故イギリス軍かというと、二度の大戦の遥か前…英・東インド会社とネパールの戦争(英・ネパール戦争)で敵部隊でありながら、その屈強な山岳民族達は圧倒的な白兵戦能力を買われ英軍が登用した。


 以来イギリスの信頼も厚く、陸軍の中には“グルカ旅団”という部隊もある。


 二度の大戦ではイギリス軍として戦い、ヴィクトリア勲章を受けたグルカ兵も大勢いる。


 SAS、NAVY SEALs、スペツナズ…数多くの特殊部隊が存在するが、個々の戦闘能力はグルカ兵が最強だという。


 **********************


 ミンマ・ハンク・シェルパはシェルパ族の父とイギリス人の母の間に産まれた。


 こんな高地に嫁いで来るとは余程の大恋愛だったのかどうかは知らないが、ともあれハンクの母は嫁いで来た。


 高地で暮らすと、いうことは空気の薄いところで暮らすということである。


 標高2000m付近で激しい頭痛と動悸、息切れ、めまい、等の高山病を患いつつも懸命に耐え、少しづつ標高の高いところに移り身体をならして行った。


 ハンクの父も住居がある標高4000m付近から、降りて来て、根気よく数ヶ月母と一緒に暮らした。


 一言に4000mと言うが、平地に比べて酸素濃度はおよそ半分しかない。


 そんなところにシェルパ族は暮らしているのだ。


 ある研究によれば、代々高山で暮らして来た、シェルパ族はDNAレベルで高地に適応した進化を遂げているらしい。


 時が流れミンマ・ハンク・シェルパの父と母は4000m付近の住居で普通に暮らし始め、今では増築したロッジで宿泊業を、生業としている。


 もちろん、父はシェルパのポーターとしても、誇りをもってやっている。


 母は、背の低い民族の中で一際目を引くスレンダーなモデル体型と美しいプラチナブロンドの髪の毛とハンクと同じトルコ石の青のような瞳以外は他の人達と同じで、真っ黒に雪焼けした白い肌に赤い頬がよく映えて産まれた時からここで暮らしているようだ。


 2000m付近で高山病を患いゲーゲー言っていたのがまるで嘘のようだ。


 ハンクの10歳下には、ニマ・リリン・シェルパとニマ・ジュディ・シェルパという双子の姉妹もいてロッジの経営を手伝っている。








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