鬼岩-4
三人組も《TATOO YOU》で、皆の話を聞いて、一度は泣いたが何となく御伽噺を聞いているようで、現実味の無い話をいまいち信じ切れずにいた。
そう思っていたところに、現実を突き付けられた形になり、頭の中の靄がきれいサッパリ晴れたところで、針ニが、しゃがみ込んで三人組に向かってこう言った。
「な?こういうのを相手に戦うなんて無理だろ?」
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車に乗ってる時に赤アロハと坊主頭は最初はウキウキしていた。
“三人組で口裏を合わせ、後は遊んでから帰ればいい”と…鋼一が言った言葉を鵜呑みにしていたのだ。
「アニキー、何します?」
「とりあえず温泉で一っ風呂浴びましょうよ」
と、まるで旅行気分だ。
そこに異を唱えたのが、意外なことに白ジャケットだった。
「てめぇら組長に堂々と嘘付くつもりか?!」
兄貴分の剣幕に二人は、
「いっ…いえ。そんなわけありません!」
「じ…じょうだんですよ。冗談。」
そう言って、慌てて弁解した。
「よっ、よ~しやったるぜ!」
「バケモンなんか一捻りじゃ!」
勝手に士気を上げて吠える三人組に、針ニは、(どうしたもんか…)と、考えていた。
そして、山童の顔を見てこの考えを思い付いた。
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三人組はへたり込んで、針ニの言うことに“コクコク”頷くのが精一杯だった。
「ほっ、本物や…」
「ほんとのバケモンや…」
おののく三人組に山童が留目の一言を放った。
「何だと?!」
その迫力に圧倒されて三人組は息を呑み、黙り込んだ。
鋼一が、
「変なこと考えてないで、バス停がすぐそこにあるから取り敢えず時刻表とか確認しとけば?」
と、ドライブインと隣接した、バスの停留所を指差した。
鋼一、針ニ、ハンク、山童、小夜(正確には三人と二匹だが)五人は急ぎ歩道橋を渡り、川に沿って続く細道を黙々と歩いた。
“ゴウゴウ”と恐ろしげな唸りを轟かせて急流が畝っている。
そのすぐ左側が、鬼岩公園の入口だ。
右手に川、左側には池その間の30m位の幅がかなり急な坂になっていて、所々が石段になっていて補強されている。
10mほど登ると左側に蕎麦や飲み物、生煎餅、餅粉のからすみ等の売ってある寂れた売店があり、右側には展望兼休憩用の大きな傘を備えた
東屋風の椅子がある。
そこの広場風の一帯を抜けると、ここからは、幅が1mに満たない急峻な登山道が続く。
登りきった所にある、松野湖という人造湖の放流用のダムと川の源流が合流する所までが鬼岩公園だ。
松野湖から公園の入口までは相当な落差があるので、穏やかな流れの場所もあるにはあるが、基本的には急流である。
特に中腹の大半を占める、《岩くぐり》の区間は真っ暗で見えない上に、川が流れる音が岩の中を反響して恐ろしいことこの上ない。




