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月光の針魔王(リトライ)  作者: 爺増田
鬼岩
62/73

鬼岩-3

 鬼岩ドライブインに到着すると、白い軽トラが歩道橋をくぐってすぐの入り口から少し入ったところに止まっていた。


 駐車場の消えかかっている白線の端から二番目にこちら向きに停めてある軽トラの横には飲み物の自動販売機が数台並んでいた。


 そこで買ったのであろう、7~8歳の可愛らしい少女が助手席に座り、両手を使ってジュースを“ごくごく”と、飲んでいた。


「あれか?」


 運転席の針ニ(しんじ)が助手席の鋼一(こういち)に尋ねた。


「ああ」


 鋼一が、答えると、軽トラの隣に針ニがハイエースをUターンさせて、助手席側に横付けした。


 笑みを浮かべ“ハ~イ”と、小夜(さよ)に向かい小さく手を振った。


 針ニからしたら満面の笑みを浮かべたつもりだったが、かなり警戒されたようで、小夜はひきつった様子だった。


 人の姿をした山童(やまわろ)が軽トラのすぐ前に立っていて、“ギョロリ”と、睨んだが、ただの痩せっぽちのおじさんなので全く迫力が無い。


 チンピラの本能なのかどうかは、分からないが、人の姿をした山童に、睨まれると三人組は揃って、


「ああ~ん!」


 と、言って眉間に皺を寄せて、眉を上下不対象にして威嚇した。


 そこで針ニは何か思い付いたのか、“ポン”と、手を叩いた。


 鋼一は車を降りると山童に、


「待ったか?」


 と、言った。


「いや…一時間も待っとらんと思うが…」


 相変わらす、口数は少ない。


 そこに針ニが、近づいたのを、見計らって鋼一が、


「弟の針ニだ。弟といっても双子だから同い年だが…」


 と、紹介した。


「道理でよお似とるわ…」


 山童はよろしく頼むと言って手を出した。


 続けて、ハンクも紹介し、お互いに挨拶を済ませると、三人組が肩を揺すらせながらやって来た。


 針ニが中腰になり、山童に何か耳打ちをすると、山童は、驚いた顔をして、


「いいのか?」


 と、確認すると上下の衣類を脱ぎ始めた。


 未明のドライブインなど、遠くの方に大型の長距離トラックが二台停まっているだけで、人目は全く気にならない。


 素っ裸になった山童を見て三人組は“キョトン“と、した。


 次の瞬間”メキメキッ”と、音を立てながら山童が本当の姿になった。


 瞬く間に軽く2mは越えようと思える、巨軀になり、顔を覆った人間の顔の皮を剥ぎ取り、下顎から突き出た恐ろしげな牙やら、巨大な一つ目を見せつけた。


 ゴリラかヒグマのような体は、茶褐色の剛毛に埋め尽くされており、それを間近に見れば恐ろしいことこの上ない。


 鋼一、針ニ、ハンクは(あやかし)がどういうものか、良く解っているので驚ろきはしなかったが、三人組は初見なので腰が抜けそうになる程たまげた。












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