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月光の針魔王(リトライ)  作者: 爺増田
刺青の男
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刺青の男-8

 トランクスが大体の経緯を話し終えると、


「その女の人って何者だったの?」


 美琴(みこと)が、鋼一(こういち)に聞いた。


「………だよ……」


 鋼一が、ゴニョゴニョと言うと、


「はあ?聞こえない!」


 美琴が、語気を荒げて言った。


「なんだ?焼きもちか?」


 針ニ(しんじ)が、そう言うと、


「違うわよ!」


 そうだと言わんばかりに、分かりやすく美琴が、顔を赤くして怒鳴った。


「怖っわ」


 針ニが大袈裟なジェスチャーをして椅子に深々と座り直した。


「…飲食店の従業員だったんだよ。」


 鋼一が答えると、


「そうそう。キャバクラのお嬢ね。」


 と、トランクスが、余計な情報を追加した。


 針ニが顔を覆い、“あちゃー”と、言った。


「へえ~。先生って、そういうの全く興味が無いと思ってた。」


 美琴が冷ややかに皮肉を言うと。


「若かったんだよ。」


 鋼一が続ける、


「最初はビルのオーナーに飲みに連れてかれて…仕方ないから、少し付き合って早めに引き上げようと思ってたんだけど、ズルズル三次会迄…そこで隣に座ったのが、その娘だったんだ…」


「初めは、他愛もない世間話だったんだけど、そのうち身の上話に引き込まれて、数回通って…“この可哀想な娘を救ってやらなくてわ。”と、なった訳。」


「へぇ。何の見返りもなく?」


 美琴が尋問する。


「ああ。迫真の演技だったんだ…」


「たぶん僕が治療院をやってるのを知って、いくらか借金の援助をして貰おうと思って大袈裟に話を盛って言ったんだと思う。」


「それで青柳会(せいりゅうかい)に乗り込んだ後…」


「自分が間違ってる事を教えられた訳ね…」


 納得したように美琴が言った。そして、


「ばっかじゃないの?」


 呆れたように、そう言った。


「“数回通った”って言ったわよね。」


「やっぱり、下心があったんじゃないの。」


 美琴が切れる頭をフル回転させて、名探偵のように鋼一を追い詰める。


 針ニが見かねて…


「本気じゃ無いさ。どうせ俺達は《そはやの剣》の掟で一般人とは、結婚も出来ないし、隠し子作るのも御法度だからさ。」


 そう言った。


「もし、何も知識の無いまま、この世界に子供が放り出されたら…と思うとホントに恐ろしいと思うぜ。」


「そりゃあそうだけどさ…」


 美琴も渋々頷いた。


「はい終わり終わり!おれはレンタカー屋で、車借りて来るわ。急がんとアカンのやろ?」


 針ニが話を切った。


 深夜3時過ぎ、24時間営業しているレンタカー屋で、針ニがハイエースを借りてきて“ TATOO YOU ”を出た。


 深夜に国道21号線を走れば1時間程度で可児郡御嵩町辺りまで行ける。


 更にそこから鬼岩までは7~8㎞だが殆んど信号も無く、走っている車もなく、ほぼフリーウェイ状態な為10分程度で辿り着く。


















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