鋼一と針ニ-9
孤路狼と、真言の教える古武術は、体術だけではなく、精神修行の面でも一流であり、下は6歳から上は18歳迄門下生が通っており、評判も上々であった。
その中には勿論、幾人かの見える者達もいるのだが…その話はまたいずれ…
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真言は、五芒星の紋様を中庭一杯を使って歩き、道場の裏手にある細い路地の突き当たり(北東)迄、双子を連れて行き立ち止まった。
一見何もないように見える場所で、真言が印を結ぶと、隠されていた洞窟の入り口が現れた。
「ここは、何回も遊びに来たことあるのに…」
鋼一が独り言を呟くと、
「正しい道順を通らないと、辿り着けない様になってて、最後にもう一つの結界が張ってある。」
「そしてここが、今日の社会見学の最終目的地だ。」
真言はそう言うと、険しい顔つきになり、双子を順番に見た。
それから、“フッ”と表情を緩めると、
「お前達二人を、こうしてこの場所に連れて来る日を待ち望んでいたぞ。」
「堅一と、心音…お前達の両親に、お前達を託されてから、立派に育て上げることを誓って教えて来た。」
「心はまだまだだが、体術はかなり上達したと思う。」
真言はそう言い、二人の頭を交互に“クシャクシャッ”と、撫でた。
これまでの11年を懐かしむかの様に…。
真言はまた真剣な顔つきに戻ると、
「さあ、行くぞ。」
と、双子を促すと、洞窟の中に入った。
皆が入ると、真言は手の平から炎を出し、灯り代わりにして掲げると、
「おまえ達も、やってみろ。」
と、双子に言い、二人も同じ様に手の平から、小さな炎を出して掲げて見せた。
「よーし。上手いぞ。」
褒められて双子は、少し得意気な気分になった。
右や左に別れた幾つもの湿っぽい通路をしばらく歩くと、やがて突き当たりのような場所にたどり着き、真言は再び印を結んだ。
“ゴーッ”という音と共に、大きな岩が左に動き、ぽっかりと空いた直径1m程の円形の空間が現れ、そこからしたに下りる階段が伸びていた。
「ここは何重にも仕掛けがあり、まず辿り着けない場所だ。」
薄暗い円形の部屋の中央に、四尺程の高さの、お城の石垣を思わせるような台座があり、その上に観音開きの扉が付いた、縦✕横四尺づつの古い木箱があった。
木箱には、正面から分かるだけでも古い梵字が書かれた御札が二枚貼ってある。
「これは我々の先祖、安倍晴明様が施した封印だ。」
「そして中身は源頼光様が討ち果たした、酒呑童子の頸だ。」
(!!)
「宇治の平等院の宝物殿に納められていたその頸を、茨木童子が、盗み出し持ち去ろうとしたところを、おまえ達の先祖、渡辺綱殿が茨木童子の腕ごと取り返してくれたのだ。」




