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月光の針魔王(リトライ)  作者: 爺増田
鋼一と針ニ
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鋼一と針ニ-7

「あ、そうか。」


 と、鋼一(こういち)が腑に落ちたと、いった感じで上の方を見て呟いた。そして、


(じいちゃんって、そんなに強そうには見えないけどな)


 と、針ニに囁いた。


 呑気な二人を見て、真言(まこと)は冷静さを取り戻し、思い直した。


(そうか…今()ってもしもおれが殺られたら、コイツらも犠牲になるのは必然。最悪人質になることも考えられる…か…)


「そうだな、義父(おやじ)にはどんな結果になろうとも、出しゃばらないように、釘を刺してから出直して来ることにする…それならいいだろ?」


 真言は、今すぐ闘いたい衝動を抑えてこう言った。


「仕方ないの。孤路狼(こじろう)に、一筆書かせて来いよ。」


 天狗は渋々といった様子で約束した。


「大天狗様ともあろう者が、随分慎重なことで。」


 真言が皮肉を言うと。


「あやつも化け物じゃから闘う(ヤル)のは、骨が折れるが…それだけが理由ではない。」


「もし、お主を殺ったとして、全国の退魔師、陰陽師連中に追われるのは、割に合わんから一筆書けってことじゃ。」


 天狗はそう言った。


「道理だな。そうするとしよう。」


 二人は、お互いの懸案を払拭し、約束を交わした。


 神社の帰り道。


「あの上から落ちて来た(あやかし)。スゲェ迫力だったな。」


 と、鋼一がぼやくと、隣を歩いていた針ニも、


「ああ…おれ睨まれたもん。息が止まった。」


 と、素直に怖がった。


 **********************


 三人が、岐阜市の神乃(じんの)神社に帰ると、もう陽が傾いていた。


 美琴(みこと)は、広大な神社の中庭で、(みずち)飯綱(いずな)と遊んでいたが、三人の姿を見つけるやいなや、頬っぺたを膨らませて駆け寄ってきた。


 車が停まると、待ちきれず運転席のドアを外から開けて、父親に向かって覚えたてのかわいい悪口を浴びせた。


 そして、真言が降りて来るのを待ちきれず“ ポカポカ ”と、叩きながら涙を浮かべた。


 まだ五歳ということもあり、自分だけ置いてきぼりにされたと、感じたのだろう。


「ごめんごめん。」


 真言はそう言うと、美琴を“ ひょい ”と、抱き上げ、


「でも、大事なご用で、出かけてたんだよ。」


 《これ以上は無い》と、いう程の優しい目をして、そう言った。


 鋼一が、


大事なご用(・・・・・)


 と、チャチャを入れると、針ニが空気を読んで鋼一を小突いた。


 真言は、そのまま美琴を肩車すると、


「お母さんは?」


 と、聞いた。美琴が、


「どーじょー…」


 と、少しふてくされ気味に答えると、真言は、


「そうか。じいじも一緒か?」


「お父さん達、もう少しだけ用事があるから、じいじと、お母さんと一緒に待っててな?」


 と、言って、道場に向かって歩き出した。


 双子も黙って続いた。












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