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刺青の男-5
「うお~んうお~ん」
と、“TATOO YOU”の中に突然泣き声が響き渡った。
美琴の話をカウンターの中で聞いていたハンクが泣き出したのだ。
「鋼一…なんで負けたらんかったの?」
ハンクは無茶なことを、呟いた。
「ちゃんと話聞いてた?」
「負けたら首ちょん切られて、鬼の所に持ってかれるところ…」
「山童と、小夜ちゃんが可哀想や~」
鋼一の話など1mmも聞かずに、ハンクが“おんおん”と、泣き続けた。
「だから、東濃まで月子さんを救出に行く相談をしに、ここまで来たの!」
面倒くさそうに鋼一が話すと、
「天狗ってあそこか?」
針ニが鋼一に尋ねた。
「ニーイチ(国道21号線)なら、あの辺だな。」
鋼一が答えた。
美琴が、怪訝そうな顔で、
「何?知ってるの?」
と、聞いた。
鋼一と針ニが、
「ああ…昔、真言さんと…」
「…一度…行ったことがある。」
と、答えた。
「お父さんと?」
美琴は、初耳だったが、鋼一と針ニは二人とも、“いよいよ話すべき時が来た”と、覚悟を決めた。




