関ヶ原の記憶-6
「…ってな感じよ。」
口髭の男が下品な笑みを浮かべながら誇らしげに言い放った。
「父っさまは何で殺した?」
山童は、種々の怒りを噛み殺して呟いた。
月の目は何処を見るでもなく、虚ろに虚空を漂っている。
身体は一定の拍子を刻み揺れ続けている。
チビの腰の動きがますます速くなりだすと、口髭の男が立ち上がり、再びそそり立った陰茎でピタピタと月の頬を叩きながら、言い放った。
「その親父か…」
口髭の男は、冷たくなって横たわっている父親を顎で指し示しながら、手淫し始めた。
「この女を姦ろうとしたら、“やるなら俺を殺れ!”って言いやがったから、殺ったまでよ。…なあ。」
チビに向かってそう言うと、ゲハゲハと下品に笑って陰茎を擦り続けた。
「貴っさまらぁ!!」
山童は顔を真っ赤にして血管が浮かび上がる程の力を込めて、布団から脱け出そうとしたが、びくともしない。
チビの腰を振る速度が達して、月の中にどくどくと射精すると、少し遅れて、口髭の男が月の顔に二度目の精液を放出し、月の顔に陰茎をぐりぐりと擦りつけた。
「やめろぉ!!」
叫び続ける山童を見下ろしながら、男は自分の精液を月の顔に塗りたくりながら、勝ち誇った下品な笑みを浮かべる。
次の瞬間、男の陰茎が月の咥えていた雑巾に当たり、口から外れて落ちた。
途端に月の眼に光が戻ると、この好機を逃すものかとばかり、目にも止まらぬ速さで、男の亀頭を食い千切った。
男は「キィヤァー」と、女の子のような悲鳴をあげながら、陰茎を押さえてのたうち回った。
股間からは血が噴き出して、瞬く間に真っ赤な血溜まりが出来た。
チビは畏れおののき、言葉を発することも出来ない。
月は“ぶっ”と、食い千切った亀頭を吐き出し、のたうち回っている男に向かって、
「地獄に堕ちろ!!下衆野郎!!」
と、まさに吐き捨てるが如く言い放つと、寂しそうな笑みをゆっくり山童と小夜に向け、
「父っさまを助けられなくてごめんよ。」
「先に逝ってるからね。」
そう言って舌を噛み切った。
山童はその光景をただ、茫然と眺めていた。
月の口から溢れ出る血と、男の陰茎から流れ出る血が混じりあい血溜まりが見る見る大きくなってゆく。
『己は、その光景を見ながら(何故月の血と、この糞野郎の血が同じ色なんだ…)そんなことをぼんやりと考えていた。』
口髭の男は泣きわめいてのたうち回っている。
チビはそれを見て、へたり込んでいる。
鉢巻きを締めた男も、自分の目の痛みを忘れて息を呑んで押し黙っている。
『月の無念を噛み締め、己は「ギャアギャア喚くな、箔が付いたじゃあねえか。」と、精一杯の皮肉を込めて言った。』
『すると、逆上した奴が起き上がり、真っ赤に血走った眼で簀巻きにした己を何度も蹴りつけた。』
「己は、蹴られながらも泣きながら、大声で笑い続けた。」
息が上がった男は太刀を拾い上げ、乱暴に鞘を抜き捨てると、既に絶命している月の頭部や頸部、背中等を気違いのように斬り続けた。
山童はありったけの声で、
「やめろぉ!!」
と、怒鳴ったが、それでも溜飲が下がらない男は、山童の顔を睨み付けながら、“どうだ”と、言わんばかりに、小夜の頚を突き刺した。




