刺青の男-3
だらしなく地べたに突っ伏した白ジャケットの背後に鋼一と美琴が立っている。
「久しぶりに会ったってのに、きっついこと言うなぁ。」
針ニが「呆れた」というようにジェスチャーを交えながら美琴に話しかける。
「それはそうと、なんで二人お揃いでこんなところに?」
鋼一が、答える。
「おまえに話があって、BARに向かって商店街を歩いてたら…」
美琴が割り込んで話を続ける。
「“ぐえっ”“ガキーン”って路地から聞こえて来るじゃない?」
「それで覗いてみたら、案の定あんたが暴れてたって訳。」
「これは正当防衛なの。」
針ニが倒れた男達を振り返りながら答える。
「どう見ても過剰防衛でしょ。白目剥いてるし。」
美琴も手の平を上に向けて“呆れた”と、いうように言い返す。
「まあまあ。取り敢えず『TATOO YOU』迄行ってから続きはやろうか?」
そう言うと鋼一は白ジャケットの首筋に、気付けの針を打った。
「あれ?起こすのは一人だけ?」
針ニが聞くと、鋼一は、
「全員一度に起こすと、また騒がしくなるだろ?」
と、答える。
「そりゃそうだ。…んで一人はコイツに背負わせるとして、もう一人は…」
そこまで言って気が付いた。
「俺ってことね。」
針ニはそう言うと、坊主頭の方を軽々と担ぎ上げた。
理由は赤アロハが失禁していたからだ。
鋼一に気付けの針を打たれて目覚めた白ジャケットはキョトンとした感じだったが、自分達が完膚なきまでに叩きのめされて這いつくばっているということを、思い出し狼狽した。
そして針ニ、美琴、鋼一の顔を順に見ると…
「は、針魔王?!」
と、驚いて叫んだ。
「ぷっ。ハリマオー?」
「なんだそりゃ?」
美琴と針ニが揃って反応した。
鋼一は少し顔を紅くして、
「取り敢えず、ここを離れるぞ。」
と、言って足早に振り向きもせず歩き出した。
「オラ。早くアイツをおぶってついて来いよ。」
針ニは、白ジャケットを蹴飛ばしながら、坊主頭を右肩に担いだまま赤アロハを顎で指した。




