刺青の男-2
「まるでドブネズミだな。」
針ニの言葉を引き金に赤アロハと坊主頭が飛びかかる。
「くそがきゃあ!!」
「死ねやぁ!!」
それぞれ木刀と鉄パイプを上段に振りかざし、鎖を解き放たれた猛犬のように突進する。
その瞬間、針ニは右手側の壁を、背にすると同時に相手の斬擊を誘い込む。
タイミングを合わせて軽くしゃがみ込むだけで、上段から撃ち込まれる木刀と鉄パイプはどちらも針ニの頭上の壁に阻まれ届かない。
針ニはそのまま壁に背を預けると、赤アロハの下顎に躊躇無く強烈な爪先蹴りを叩き込んだ。
“グシャッ!”と鈍い音がして、赤アロハの下顎が上顎にめり込み、何本かの歯が血飛沫と共に
飛び散っていく。
「この野郎!!」
慌てて体勢を整え、追撃を加えようとする坊主頭のニ擊目を針ニは、もたれた壁の上を転がりやり過ごす。
“ガキーン!!”と、いう大音響と共に火花が散り、真横からの大振りは、またしても見事にコンクリートの壁に叩きつけられた。
坊主頭は手が痺れ、目を白黒させている。
針ニはその隙を見逃さず、坊主頭の水月に、足刀を叩き込む。
二人の男達はほぼ同時に気を失い、ゆっくりと崩れ落ちた。
「うっ…うごくなっ!」
いつの間にか白ジャケットが足を震わせながら、拳銃を構えている。
「チッ…三人がかりでダメなら、今度は飛び道具か?」
針ニは舌打ちし、“やれやれ”と、いった様子で頭を掻きながら男に向かってゆっくりと近づいて行く。
「う、う、動くなっつってんだろ!!」
白ジャケットの怒号は最早悲鳴に近いものになっている。
「だいたいなぁ…」
針ニは言いかけた言葉を飲み込むとニヤリと口元に笑みを浮かべた。
「撃てよ。」
ニヤニヤと笑いながら、更に近づいて行く。
「ほら、ここ。しっかり狙えよ。」
自分の左胸を指差しながら、クスクスと込み上げる笑いを我慢出来ないでいる。
白ジャケットはついに恐怖で理性の箍が外れ、引き金を絞り込む。
「シ、死ねぇッ!!」
が、弾は発射されない。いや、引き金を引く指が動かない。
「どうした?早く撃てよ?」
悠然と針ニは笑っている。
「相変わらず性格悪っる。」
突然背後でした声に驚き、白ジャケットは目を白黒させて卒倒した。




