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第2話 キャラメイク at WHO

 ダンジョンというのは本当にあちこちにある。

 俺の家の近くにも、例によって初心者向けのダンジョンがあった。


「さてさて……。行ってみるか」


 ダンジョンの入口に取り付けられた扉に、『SoDA』を入れたスマホをかざす。

 この扉とシステムは、小さな子供などが誤ってダンジョンに入らないようにするためのものだ。


 ――『SoDA』を確認。データを読み込みます。


『SoDA』に登録されているステータスなどをシステムが読み取り、このダンジョンを攻略可能かを判定する。

 もし攻略が難しいと判断されれば、警告の音声が流れる。

 でもここは超初心者向けのダンジョン。

 まさか警告が来るなんてことは……


 ――警告。警告。ダンジョンを探索可能な条件を満たしていません。『Lv.』がありません。『ATA』がありません。『DEF』がありません。『AGI』がありません。『DEX』がありません。『LUC』がありません。『DEP』がありません。


 ――警告。警告。探索者登録が正常に完了していない可能性があります。まずは『SoDA』内の指示に従い、探索者登録を完了してください。


「……」


 マジか。あの「-」は、やはりレベルやステータスが無いということなのか。

 スマホを見てみても、『SoDA』における登録の手続きは問題なく行えている。


「あー、やってらんね」


 結局、俺には探索者としての才能どころか、必要最低限の能力すらなかったのだ。

 初心者ダンジョンに入ることすらできない。

 俺はため息とともに家へと帰った。






 安達優太、腐ってもゲーマーである。

 それはもう、唯一手に入れたスキルが【ゲーマー】であるほどに。

 働いたら負けがモットーの俺だけど、ゲームがかかっているとなれば話は別。

 探索者としては稼げなかったため、しぶしぶ近所のコンビニでバイトを始めた。

 そして一か月後、無事にバイト代が入り、ちょっと遅れたが『ワールドホライズン・オンライン』を買うことが出来た。


「よし、やるぞー」


 VRゲーム用のヘッドギアを用意し、ハードの電源を入れてベッドに寝転がる。

 そうだ、スマホの充電が無くなりかけてたな。

 ハードにつないで充電しとこ。


 出来るだけ内容は見ないようにしていたが、わずかに入ってきた情報からするとなかなかの良ゲーらしい。

 楽しみだな。


「ゲームスタート」


 視界が一度真っ暗になり、続いて俺の意識はキャラメイクの場所にやってくる。

 よし、VR空間でも体は問題なく動くな。


 ――ワールドホライズン・オンラインの世界へようこそ!まずはあなたの名前を教えてください。


「えっと……ユータと」


 ――初めましてユータ!続いて容姿の設定をしてください。


 んー、他のゲームでも使ってるキャラの容姿でいいか。

 髪は青色の短髪。身長は現実より盛って180cm、と。

 顔のパーツなどはほぼ変えていないが、髪色だけでまるで別人に見えるから不思議だ。


 ――次に職業を選択してください。


 職業は剣士や盾使いなどの戦闘職から、薬師や鍛冶職人などの補助職までかなり多く用意されている。

 俺は慣れている剣士を選択した。


 ――続いて初期ステータスを振り分けてください。


 目の前にステータスの各項目が書かれたウィンドウが出現する。

 えっと、『ATA』に『DEF』に『AGI』に『DEX』に『LUC』か。

 探索者のステータスと全く一緒だな。

 現実では全て「-」だったけど、ここでは自由に振り分けることが出来る。

 やっぱゲームは最高だな。ゲームしか勝たんわ。


「こんなもんでいいか」


 ステータスを振り分けると、確認のウィンドウが現われた。


 ――これ以降、ステータスや容姿を変更することはできません。本当にこれでよろしいですか?






 ユータ

 Lv.1


 ATA 44

 DEF 44

 AGI 44

 DEX 26

 LUC 42

 

  HP 100


《スキル》

 なし


《装備》

 セット:なし

 頭部:なし

 胸腹部:なし

 腕部:なし

 右手:初心者用長剣

 左手;なし

 脚部:なし

 足部:なし

 その他:なし





 初期で割り振れるステータスは合計で200。

 DEXはプレイヤースキルで補える部分があるからやや控えめに、そのほかの項目はバランスよく設定した。

 現実の探索者で言えば才能のある部類だろう。


 ――キャラメイクが完了しました!これより『ワールドホライズン・オンライン』の世界をお楽しみいただけます!


 さあ、いよいよプレイだ。

 ガンガンにやりこんでやるぞー。


 気合を入れたところに、もう一度声が響いた。


 ――接続端末に探索者スキル【ゲーマー】を確認。『SoDA』と連携しますか?


「『SoDA』と連携……?そんな仕様あったっけ」


 俺は疑問に思いながらも、何となくで「Yes」を選択する。


 ――『SoDA』との連携が完了しました。引き続きゲームをお楽しみください。


 パッと目の前が明るくなり、次の瞬間、俺は第一層『始まりの街』に降り立った。

 木組みの建物と石畳でヨーロッパ風の街並み。

 装備の欄には長剣しかないから、今身に着けている服や靴はアイテムという扱いになるようだ。


 やはり初めてのゲームフィールドというのはわくわくするな。

 期待感と共に、俺は最初の一歩を踏み出した。

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