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〈君といる夏休み〉  作者: もち
1/1

お好み焼きと夏

☆5


・ユミが部に加入したことは、

水泳部にとっていい影響を与えた。

普段の練習で皆は他の部員の言動に、

配慮するようになったし、

竹崎先生も部長も、

優しい口調で話すようになり、

水泳の練習に柔らかく優しく元気で明るい、

健全な空気と指導が行き届いた。

恵三はもとより誠二もさなも、

叱り飛ばすような強い口調はせず、

ある程度かみ砕いて穏やかに、

対応するようになった。

練習終了後、部員四人とユミは、

仲良くプールの側のグラウンドで、

数十分談笑するようになった。

恵三にとってそれは新しい経験だった……

蒸すような夏の空気にグラウンドの草の匂い、

皆楽しそうに夏の一時に加入した、

美しく白く素直なユミとの時間を大事にした。

キラキラと笑う彼女、

他の部員もユミを大事に扱い、

恵三もその様子を眺め会話に参加し、

嬉しくて優しい気持ちになった。

談笑解散後、

竹崎先生とグラウウドを後にするユミに、

淡い恋を抱いた恵三は、

もっと会話をしたかったので、

話しかけた。

「お好み焼きって好き?」

他愛のないフレーズだったが、

ユミは思いのほかその話題に喰いついた。

「えっお好み焼き大好きだよ。

小学生の時とか、よく母が作ってくれて、

青のり、ソース、キャベツ、豚バラ、──

もの凄く美味しかったの今でも覚えてるし、

今ハッキリと思いだした☆!!!

アツアツのお好み焼き、

美味しかったなー☆

でも施設に入って、

あんまり食べる機会なくなって、

あー食べたくなってきちゃった☆

恵三君はお好み焼き、

食べに行きたいですか☆??」

恵三は何気なく言った一言が、

ユミからの楽しいお誘いを、

引き出したことに一瞬戸惑ったが、

嬉しく穏やかな日々の続く夏の日に、

むしろ気持ちに素直に答えようと、

恵三は元気に即答した☆

「ユミちゃん、自分も行きたいよ☆!!!

お好み焼き美味しいよね♪

お小遣いとかあんまりないけど、

自分もユミちゃんと一緒に、

お好み焼き食べてホクホクしたいです☆」

ユミは一瞬目を丸くして、

手のひらを顔の下で重ねて、優しく微笑むと、

「とってもいいです☆☆☆

親戚の竹崎先生に頼んで、部員全員で、

アツアツの鉄板で、皆でホクホクと、

会食を楽しむの、すっごく素敵だと思う☆!」

夏の暑い日中、恵三は気持ちは弾んだ。

ノリのいい竹崎先生は、

「ふーん、お好み焼き食べたいんだ。

いいよ☆楽しい提案だし、

よしっおごってあげる☆☆☆!!!

楽しい夏休みにしよう♪!」

竹崎先生が気前よく、約束して、

恵三の十二歳の夏は明るく盛り上がった。


報われなくても、この日々をずっと大切にしよう──


夏の日の特別な時間は、

昼も夜もなくキラキラと夢のように回った。


…………『続く』

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