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虚夢‐ウツロメ‐  作者: みかみや
6/100

6話

「以上で朝のホームルームを終わりますが、その前に1つ。月山君。」


 そう、この学校に入学して最初の自己紹介である。特に同級生を前にしての自己紹介は緊張の度合いが尋常ではない。なんせ今回はクラスメイト全員が同時に競い合うわけではない。私一人の戦いである。


 入学早々始まってから2週間ほど経つ学校に突如現れた転校生のような私。これが都合の良い世界だというのならここで私を知っている美少女が登場したり、美少女と目があって恋に落ちたりするものだろう。


 しかし現実は悲しいもので、始まって2週間もたてばクラスの雰囲気はすでに出来上がっている。友達グループだってできているはずだ。しかし私には友達がいない。


 ここは特にネタは入れずシンプルに行くべきだろう。ネタをぶち込む必要がなくてよかったが、それでも手は汗でにじんだままだった。自分の汗で開けた扉をなかなか占めることができず、一番手前の席の人に閉めてもらったことはもう一度事故が起こってもいいと思うほどには苦しい戦いだった。これからもしばらくこの戦いは続くのだろう。


「初めまして月山です。家庭の事情で入学するのが遅れました。これからよろしくお願いします。」


 先生は私を一番後ろの席に促した。この席に座れるのは役得だと出席番号では損も得もしない私にとっては嬉しいことだった。役得といえばこの場合よくあるのが校舎案内イベントではないだろうか。


 例えば学級委員とか、隣の席の女の子とか、そういうイベントがあると思っていたけれど、なぜかそうはいかなかった。とりあえず挨拶が終わった後私はまず保健室へ連れていかれることになった。

授業を受け始める前に、身体測定だとかそういうものを先に終わらせておく必要があるらしい。


 授業を受け始めるのは来週くらいからになりそうだ。どんどん勉強ができなくなっていく気がしてならない。誰か家庭教師も兼任してくれる人はいないものだろうか。


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