47話
「それじゃ先輩、私の部屋の鍵をくれませんか。もう風呂入って寝たいんですけど。」
「何を言ってるの月山君、このあとレクリエーション大会があることを忘れていないかしら。もちろんまだまだ寝かさないわよ。」
まあここまで計画通りにこの遠征が行えているのもこの先輩の、いやそれだけでなくおそらく土中さんと先輩のおかげだ。それに少し心霊スポットではやりすぎてしまった節があるので、少しくらいはそのレクリエーション大会に付き合ってやろうと。
「あーはいはい分かりました分かりました。それでそのレクリエーション大会はこの後すぐにやるんですか?」
「はい!とりあえずお風呂に入ってからがいいと思うです。そっちの方が後は寝るだけでいいと思う。」
「琥珀も、結構歩き回って割とお洋服も汚れちゃったから先に着替えたい。」
「そういうわけだから月山君、お風呂に入ってからレクリエーション大会ね。それじゃあまた後で。」
「いやちょっと待ってください、部屋の鍵忘れてます。」
「何を言っているの月山君、部屋の鍵は一つしかないし、このホテルオートロックだから出るときはみんなで出ないといけないのよ。」
ああそういうことなのか、オートロックだからみんなで出ないといけないのか。なるほど盲点だった………ん?どうしてみんなで出ないといけないんだ?私の部屋は別の部屋だから問題ないだろう。
「もーやだなー先輩、私の部屋の鍵は先輩たちの部屋の鍵と関係ないじゃないですか。先輩ったらお・ば・か!」
「もーやーねー、月山君、私たちの部屋の鍵とあなたの部屋の鍵とは一緒の鍵なんだから、みんなで一斉に出ないと駄目でしょう。月山君ったらお・ば・か!」ん?バカしかいないのかなここは。
「いやいやいやいやちょっともうやだなー、騙されませんよ先輩、そういって「きゃは!乙女の花園で一緒に眠れると思った?残念あなたは別部屋ですぅ~。せいぜい一皮むけてから出直してきなさい。」って
私のことを蔑む展開ですよね。いや実はぶっちゃけ先輩の煽りがそろそろほしいころだったんですよ、さあ早く、早く口汚く罵ってください!」
「ふふふっ、私が言いそうなことを的確に当ててくるあたりさすがね月山君。でも私はさらにその先を行くわ。残念罵ってあげません~焦らしプレイに移行しますぅ~、そう!あなたはこれら一晩中花園の中の花も恥じらう乙女たちを前にして何をすることもできないの。これはまた血流案件ね。」
いや花園の中で花も恥じらうとか、女の子って生きずらい世界で生きているんだなと。
「いやちょっとまて、ちょっと待つのです2人とも。今衝撃の事実が2つくらい発覚して一番困惑してるの正直私たちなの。とりあえず月山は変態と同じく変態ってことでいいのよね、いいのよね琥珀ちゃん!?」
「うんそうだよ、小学校も中学校もいつでもえっち本を見ちゃう変態さんなんだよ。そんな変態さんが2人もいる部屋で一晩過ごすなんてドキドキするね!」
なんでテンション上がってるんこの子!?ああもうだめだ、土中さんもそういえば深夜テンション入ってたんだった。すべての望みは金下さんに託された。
「もう!なんで琥珀ちゃんまで闇墜ちしちゃったのです。そんなこのメンバーの中で一番キャラが薄いからといっておかしなこと言えばいいってもんじゃないのですよ。
むしろこういう場合、薄味で調整しないと収拾がつかなくなるって。しょんなまさか、こんな月山とおんなじ部屋なんて……、もうわかった!こうなったら眠らなければいいのよ!」
確かに一理あると思うけれど、私のことを信頼するという選択肢はなかったのだろうか。なんかこう、さっきの先輩然り金下さん然り、人間焦ってるときに謎行動を起こしてしまうことが多い気がすると思った。
まあ最悪先生の部屋に泊めてもらおう。その後はホテルの大浴場で入浴を済ませ、またこの部屋に集合することとなった。というかこんな相部屋状態になることまでは土中さんは知ってたのだろうか。そんな考えがはじけ飛んでしまうほどに、女の子たちのパジャマというものは破壊力があった。