43話
先輩が指さした先は廃神社とか廃寺ではなかった。といか池だ、汚いただの池。普通の住宅が近くにある、ここが最強の心霊スポットなのか?確かに水の周りは霊が集まりやすいだとかなんだとかいう例は集中していると思うけれど、とくにこれといって違和感はなかった。強いて言うなら確かに夜中には絶対に来たくないとは思う、そのくらいだ。
「月山君、ここが京都最恐の心霊スポットとして紹介されていたのだけれど、案外余裕だったわね。私お化け屋敷の方が怖いと思うのだけれど。」
「いいですか先輩、世の中にはイキる奴ほど先に逝くという言葉があるんです。なんならそんな遠くから見てないで、着水してきたらどうですか。」
「ふ、ふふふっ、いいでしょういいでしょう、生き抜いてやろうじゃない。今からそっちに行くから覚悟していなさい。」
先輩は私の後方10m付近から10cm付近まで近づいてきた。確かにこれは覚悟が必要だ。けっして頬を恐怖で赤らめてはならない。絶対に後で煽られる。そんなこんな先輩に肉が引きちぎれるほどに腕をつままれながら池に近づいてみる。しかしまあ何も感じない。どうやら私に霊感はないようだ。
「先輩どうですか、なんか感じだりしますか?」
「ふ、ふふふふっ、今私は童貞のまま生まれ変わった男のおぞましい執念というか妄念を感じているわ。全く、こんな時まで血流を集中させなくていいのよ。意識を集中させなさい。」
そうか先輩はそこまではっきりと霊圧を感じ取ることができるのか、なるほど関心である。なんか腹立たしいな。
「先輩たぶんもっと意識を集中させたら見えるようになるんじゃないですか。私先輩のスマホかしてくれたら写真代わりに取りますよ。」
「あらそう、なら写真はお願いするわ。私はもっと意識を集中させてみる。」
そういって一度私の腕を離してスマホを受け取った、その瞬間私は素早く静かに走り出した。