000:相談の死亡フラグ
ごく普通のサラリーマン脇阪玲はいつものように仕事をしていた。しかし、その日はやけに仕事がなかなか終わらない。
「はぁ〜今日も残業か」
この時玲はすでに自分に限界がきていることに気づいていた。玲は結婚する相手もいなく仕事も時間のわりには給料も少なくいい生活だとは全く言えなかった。そして、彼が仕事を終わった時だった。ちょうど彼の携帯にメールが届いたのだ。
「なんだこんな時間に...」
メールの内容は今から飲みませんかという内容だった。今からか?とは思ったものの送り主が珍しい人だったため都内の居酒屋で待ち合わせをすることにした。居酒屋にいくとそこには同級生の京がいた。
「よう!」
「なんだ、こんな夜遅くしかもお前に限って飲もうなんてさ〜」
「この前さ、メールで仕事がブラックすぎるって言ってたじゃん」
京は少し興奮気味でデーブルを両手で叩くのを反動とし立ち上がりレイの方をキラキラした目で見てきていた。それもそのはず、彼は救いようのない軍事オタクなのだからだ。就活時に両親に反対さえしなければもう立派な軍人だっただろう。
「うん、それで?」
「自衛隊に入ればいいじゃん、玲 昔から運動とか好きだし給料も今の二倍だよ!」
「まじか....それはいいな!!少し考えさせてくれ」
京が言った一言はあまりにもシンプルだった。しかし、メリットとしては国が運営している機関ため転職リスクがないと言うことと給料がいいと言うことだった。一方デメリットは、何をするか具体的にわからないと言うことだった。
「そもそも自衛隊って、何するのさ?」
「簡単に言えば人々を守る仕事だよね」
「って、簡単すぎるわ具体的ににをするの?」
「そうだな、例えば災害などがあった時人々を救助したりするとか実弾訓練があるとかさ〜本当にいいよね!!」
(ちょっと待ってくださいお兄さん最後のは完全に君の趣味だよね??)
「そ、そうなんだ意外とやることあるな」
「入ったら?昔の幼稚園の時の夢はヒーローになりたいとかだったじゃん」
玲は下を向きため息をつく、こう言う時に幼馴染がいると本当困るわけである。なぜかと言うと彼らは幼馴染という立場から玲のことなんでも知っている、つまり彼の黒歴史も知っているわけだ。
「まじで、やめて」
「えっ?」
「京さま、まじでやめてください」
「冗談だよ〜少しからかいすぎたかな」
幼い頃も今も京には黒歴史というものが一切感じられなかった。つまりである弱点が全く見つからない、いじりようのないパーフェクト幼馴染であるのだ。
「でも、自衛隊って戦闘とかもするんだろ?」
「今はないかな、世界的にも今はテロがないって言うし」
「ん〜、じゃあとりあえず両親に相談してみるよ」
こうして、京との会食も済ませ気づけばすでに終電を遠に超えていたのだった。仕方なくその日はタクシーで帰ることにした。家にタクシーで帰っても無論誰もいなく一人でシャワーを浴びて一人で寝ると言う感じであった。翌朝、玲は実家を訪問した。
「あら〜玲珍しいじゃないこんな時期に顔を出すなんて」
「あ〜、少し親父に大事な話があってさ」
「もしかして、け、けっこ...」
「いや、違う結婚じゃない転職について」
「そうなの、お父さんならリビングでお茶を飲んでいるわよ」
毎回、玲は実家に帰ると両親に結婚したのかとしつこく言われるのだ。無論、両親の気遣いはありがたいが毎回それを口にされてもたまったもんじゃない。玄関を抜けて奥のリビングに行くとそこには玲の母親が言ったとうり父親がお茶を飲んでいた。
「親父大事な話があるんだけどさ」
「なんだ、実家に帰ってきて早々」
「俺転職、しようと思うんだけどさ...」
「いいんじゃないか、お前も社会人だ自分の道は自分で決めろ」
「わかった」
玲はすぐにリビングを出て玄関に向かうとまだ母親が玲の靴を並べているところだった。わわずか3分で実家を帰る親不孝者は玲くらいだと自分でも自覚していた。
「もう帰るの?」
「仕事を辞める手続きしなきゃいけないから」
「仕事を辞める?」
「詳しくは親父に聞いて」
玲はそう言うと実家の玄関のドアを閉めて自分の自宅の方へと向かっていった。途中、コンビニにより辞表を出す用の封筒を買うことにした。コンビニの入り口には自衛隊のポスターが貼ってあった。コンビニの中に入るとレジの前に入隊するための書類が置いてあり玲はその一枚をとってその場で書いてポストに投函した。しかし、彼が自衛隊になるにはまず書類選考で第一審査を乗り越えなければならない。玲はただ第一審査の結果を家で待つばかりであった。