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第6話 空席

第6話ぁぁぁ!

まだまだ行くばい!

ルナティアはその後、ミーニャの案内で魔王ご自慢の大書庫やら庭やらを見学した。

案内された所全てが、豪華で見事な物だった。


しかし、ルナティアの逃走計画には使えそうなものも魔王軍の機密に関わるような物も発見する事は出来なかった。



(人間界への転移門なんかあればよかったのだけど、そううまくはいかないわね)



そんなものが都合よく魔王城内にあるわけがない。

仮にあったとしてもルナティアへの案内コースに組み込まれるわけがない。



「ルナティア様、そろそろ午後になりますので、部屋に戻りましょうか」



ルナティアは午後は魔王から呼び出しを食らっている。

本人が言うにはデートではないようだが、どうせロクな用事ではないに違いない。

バックレてやろうかとも思ったが、うまく隠れられる場所などあるはずもなく、ルナティアには拒否権などない。


それ以前に敵地でのかくれんぼなどムリゲー以外の何物でもなかった。



「そうね、戻りましょうか」



「昼食を用意させますね」



「ありがとう」



その後ルナティアは自分の部屋に戻り、ミーニャが用意した軽めの昼食を取った。


またもルナティアが見たことがない正体不明の料理だったが、例の如く絶品の料理ばかりでルナティアは文句ひとつ言う事なく、それらを綺麗に平らげた


そして昼食が終わり、ルナティアがミーニャとお喋りしている所でコンコンとノックが鳴り、魔王が部屋へと入ってきた。



ちなみにルナティアは「どうぞ」とは一言も言っていない。



「迎えに来たぞ」



「結局どこに行くのよ?」



デートではないにしても誘ってきたのは魔王の方だ。当然ルナティアにはこれから向かう場所を聞く権利があるはずだが——。



「ついてくれば分かる」



とそれだけ言い、魔王はルナティアを部屋の外へと促した。



(きぃー、むかつくー! ホント嫌な奴!)



心の中でそう思いつつ、ルナティアは仕方なく、魔王の後についていくことにした。

ルナティアが拒否しようがしまいが、ここは敵地であり、今の所は言う事を聞く他ない。



(今の所はね!)



ルナティアにとってミーニャが後ろをついて来てくれているのが唯一の救いと言っていいだろう。

ルナティア達は魔王の後について部屋を出て、長ったらしい廊下を歩くが、ルナティア達以外に歩いている者は一人もいなかった。


ミーニャと散策した時には何人かの使用人らしき人物とすれ違ったのだが、今はそれすらない。


不思議に思いつつも、ルナティア達は数分歩いた所で馬鹿でかい扉の前で魔王は立ち止まったのに合わせて歩みを止める。



「ここだ」



魔王が向けた視線の先にある大きな扉。

何の部屋かは分からないが恐らく大きな部屋に繋がっているのだろう。


ルナティアの気のせいでなければ、ヒソヒソと何者かが話している声も聞こえてくる。



(嫌な予感しかしないわね……)



「なんだ? 入りたくないのか?」



魔王はルナティアの考えを読んだのかそんなことを言う。

顔に出まくっていたので魔王でなくとも簡単に分かっただろうが。



「仕方ないな」



「えっ、ちょ!」



魔王はそう呟いて、ルナティアの手を握った。

それは魔王とは思えないような優しい握り方だった。



そして——。


ルナティアを握る手の優しさとは対照的に魔王は強く扉を開け放つ。

それと同時に中にいた者達が一斉にこちらを振り返った。


100体弱はいるだろうか?

大きな会議室に魔人達がびっしりと並んでいた。


魔王を歓迎する声が大半だが、横にいるルナティアを奇異の目で見る魔人も少なくはなかった。

 

よく見ると奥の席3つが空席になっている。


空席のこちらから見て左側には黒鎧モードではないいけ好かない美青年モードのシュトライゼンが座っていた。



(げっ、シュトライゼン! ——ってことはまさかあの3つの席は……)



ルナティアの嫌な予感は的中し、魔王は3つの空席目指してズンズンと歩き出したのだった。

 


やばそうな会議に強制参加させられそうなルナティア。

次回ルナティアは魔人達にあんなことやこんなことやそんなことをされちゃうのでしょうか?

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