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第33話 黒騎士の威光

なんか謎に1話だけストックあったのでついでに更新です。

落ち着いたらまた更新していく予定です。

ロジィのいる村にはすぐに着いた。


ルナティアが見る限りまだ村には異変はなく、ルナティアはベンを引き連れて記憶を頼りにロジィの家へと急いでいた。


急ぎ足の最中、ベンはルナティアに尋ねた。



「どこに向かっているんですか?」



「ロジィ君っていう獣人の男の子の家よ。今日その家でお世話になったの」



謎の組織のエルフ戦闘員がなぜこんな村でと疑問はあるが、よくよく考えればこの辺りはシュトライゼンの守護領域で村の者のエルフ族に対する覚えは良いなとベンは妙な納得感を得た。


少しして、ロジィの家に到着したルナティア達はノックすることもなく家の扉を勢いよく開けた。



「えっ、ルーナさん?」



先程出て行ったばかりのルナティアが突然知らない魔人を連れて戻ってきたことにリビングで寛いでいたロジィとロナが驚きの声を上げた。


驚いている所申し訳ない思ったが、ルナティアには時間がない。

再開の挨拶もそこそこに用件だけをロジィ達に伝える。



「ロジィ君、ロナさん、突然すいません。ですが、緊急事態です。盗賊団がこの街を狙っているんです。村長の家まで案内してもらえませんか?」



ルナティアが突然言い出した爆弾発言に更にロジィ達の驚きの表情が強くなるが、ルナティアの横にいた魔人がシュトライゼン配下の兵士だということに気づいたことで2人はルナティアの発言が嘘ではない事を確信したのかロナはルナティアに緊張した顔で返事した。



「えぇ、もちろんです。私が説明しますので行きましょう。ロジィも行くわよ」



こんな状況でロジィを一人残す事を不安に思ったロナは全員で村長の家へと向かう事を決めた。



ルナティアとしてもその方が都合がよかった。

いつシャドウハンズを名乗る盗賊の1団がやってくるか分からない状況なのだから。


そうして、すぐにルナティア達一向は村長の家へと向かう事になった。

小さな村という事もあって、村長の村に着くのに1分ほどしかかからなかった。

村長の家の前まで来たロナがトントンと村長の家をノックすると、1人の中年らしき獣人の男が出てきた。



「む、ロナか? どうしたこんな夜に?」



小さい村だったからか村長はロナと顔見知りだったらしく、少し怪訝な表情をしつつも少しだけ開いていた扉を開けた。


そして、後ろにいたルナティア達に気付いた村長はロナに更に問いかけた。



「後ろの方達はどなただ? む、兵士の方もいるのか?」



魔王軍兵士であるベンがいる事でなんらかの緊急事態を感じ取ったのか、村長は「とりあえず中に入ってください」とルナティア達を家の中に迎え入れる。


村長の妻らしき女性が突然のルナティア達の訪問にも慌てた様子もなく、お茶の準備を始めようとするが、ベンがそれを丁重に断った。



「奥様、今は緊急時ですので、すいませんが飲み物は結構です」



ベンがそう言うと女性はお茶の準備を止め、ベンの話を聞くためにこちらにやってくる。


全員が揃った所で、ロナに代わり兵士であるベンが状況の説明を始めた。



「こんな夜更けに申し訳ありません、皆さん。ですが聞いてください。今、この村はシャドウハンズを名乗る盗賊団に狙われています」



そう話を切り出したベンの言葉に村長と村長の妻は驚きの表情に染まった。



「なんと!? その者達はいつやってくるのですか!?」



「恐らく奴らは今の魔王軍の混乱に乗じて、今晩の内にやってくるでしょう」



「そんなに早く? で、では今すぐ村の者達を村の外へ避難させた方が?」



緊迫した状況に焦った村長がそう言うと、ベンは意見を求めるようにルナティアの事を見た。



「それはやめた方がいいと思います。避難中の村の人たちが襲われたら守り切るのは難しいので」



バラバラに逃げるにしても密集にて逃げるにせよシャドウハンズには動きは筒抜けになるはず。

村人の数に対し、戦える者の数があまりに少なすぎて、全てを守るのは不可能に近い。

一か所に村人を集め、魔王軍の到着を待つのも手だろう。


ウォードから連絡が行っているはずなので、全力でこちらに向かってくれているのは間違いない。


とはいえ、盗賊団がいつやってくるか分からない今の状況では魔王軍の到着を待つというのも運要素が強すぎるのは確かだ。



「あ、あなたは?」



兵士であるはずのベンが意見を求めた一見不審人物にしか見えないルナティアの存在が気になって村長は誰何した。


ロジィとロナが花柄の風呂敷を被っているルナティアに関して何も言ってこないのはなんらかの事情で正体を隠している事を察してのことだった。


不審人物とは思いつつも、ルナティアの実力を知るベンが村長の問いに答えた。



「この方はエルフ族の戦士ルーナさんです。先程、盗賊に襲われて窮地に陥っていた私達を助けてくれたとても頼りになるお方です」



ベンが謎の組織のエルフ戦闘員とか秘密の花柄エルフ仮面などと紹介しなかったおかげか村長は必要以上にルナティアの事を警戒することなかった。

むしろエルフの戦士というのが効いたのか「おぉ、エルフ族の方ですか!」とかなり良い印象を与えたようだ。


もちろん、盗賊団の襲撃が近い緊急事態ということも関係なくはないのだろうが、やはりシュトライゼンのこの地での信頼度の大きさがデカいとルナティアは感じた。



(どいつもこいつもシュトライゼンシュトライゼンシュトライゼンね。魔王より人気あるんじゃないの? ぺっ!)



心の中でシュトライゼンに唾を吐きつつ、ルナティアは村長たちに提案した。



「私に良い考えがあります。それは——」

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