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第26話 不穏な影

こっちの更新忘れてました!

ルナティアが眠りについていたその頃——



「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ——」



下品な笑い声が洞窟内に響き渡っていた。



ここは盗賊団の巣。



といってもその盗賊団が複数持っている仮の拠点にしか過ぎないそんな場所で盗賊団の頭であるゲゾフは高笑いしていた。



「どうしたんすか? 頭? 機嫌がいいみたいですけど」



手下のジャンがゲゾフに問うとゲゾフは更に笑い声を上げながら答えた。



「知ってるか? ジャン。今、魔王軍が騒がしい事になってることに」



「そうなんすか? それが頭の機嫌が良い事と関係が?」



実際、ゲゾフがの機嫌がいい事はかなり珍しい。


普段であれば魔王軍の警戒が厳しいこの地域ではゲゾフ達盗賊団の稼ぎなど微々たるものでその事でいつもゲゾフは部下に喚き散らしていた。



「それなんだが、やつらどうにも探し物をしているらしい。ここから少し北の方を重点的に集まってな」



「なるほど、その魔王軍が血眼になって探しているお宝を俺らで先に頂いちゃうって事なんすね?」



納得した様子のジャンにゾゲフは思わず呆れた顔になる。



「お前はアホか。そんなことして四天王の誰かと遭遇でもしてみろ。流石の俺達でも全滅すんぞ?」



ゾゲフの手下からの情報では魔王軍の捜索隊には魔王軍四天王すらも出張る気合いの入れようだったという。


流石のゾゲフでも四天王の誰かとでも遭遇してしまえばタダで済むわけがない事は分かりきっていた。


ゾゲフは古びた地図を取り出し、ジャンにも見えるようにテーブルの上に広げると、ゾゲフたちがいる洞窟の南にある一点を指差した後、指を洞窟の北の森辺りへとずらしていく。



「普段この辺りを警備している部隊の大部分が今は北の捜索隊に駆り出されている。つまり、南のこの辺りの村の警備がいつもより手薄になんだ」



地図を見せながら説明するゾゲフにジャンは言う。



「でも、少しは残ってるんすよね? それはどうするんすか?」



ジャンがそう言うと、ゾゲフは「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ」と下品な笑い声を上げた。



「お前、俺らを誰だと思ってる? 魔界にその名を轟かす秘密結社シャドウアイの一員だぞ?」



(一員って言っても末端も末端なんだけどなぁ)



ジャンが密かにそんなことを思っている事など知らないゾゲフは大きな高笑いを上げるのだった。




——そして、話の舞台は数時間後のルナティアがいる獣人の町に戻る



「——ルーナさん」



ルナティアは幼い少年の声が聞こえ目を覚ました。


身体を起こし、声がした方を見ると耳をぴょんぴょん跳ねさしてこちらを見ているロジィの姿があった。



「お、おはよう、ロジィ君」



「おはようございます、ルーナさん」



ルーナはぐっすり寝ていたのか既に窓の外は真っ暗になっていた。


久しぶりの睡眠でよく眠れたようで、ここに来た時にあった眠気はすっかり無くなっていた。



「ありがとう、ぐっすり寝れたよ」



「それはよかったです。ご飯が出来たみたいなので、起こしに来ました!」



そう言いながらロジィは尻尾をフリフリさせている。



(ロジィ君めっちゃかわええな、……でももうすぐお別れか)



可愛い者との別れはいつも寂しいものなのである。


だが、ルナティアには立ち止まっている暇はないのだ。


今も魔王軍の捜索がルナティアの元まで迫っているかもしれないのだから。



「分かった、一緒に行こ」



ルナティアはロジィと一緒にリビングに出るとそこには料理を運び終えたロナがこちらに気づき笑顔を向けた。



「まぁ、おはよう、ルーナさん。よく眠れた?」



「おはようございます! ロナさん! おかげ様でよく眠れました!」



ルナティアがロナに感謝の言葉をかけつつ、リビングの中央にある大きな木製のテーブルの椅子に腰を掛けた。



「うわ、美味しそうですね!」



テーブルの上に広がる料理の数々にルナティアは称賛の声を上げる。


普段どんな食事を取っているかは分からないが、ルナティアの為に奮発してくれた事が分かる豪勢っぷりだった。


ルナティアの喜びの声にロナは気分を良くしたのか、更に笑みを強くする。



「うふふ、シュトライゼン様と同じエルフ族の方に貧相な食事なんか出せませんからね!」



「……あはははは」



エルフ族どころか魔族ですらないルナティアは苦笑いを浮かべながらどうにか誤魔化すが、事あるごとに出るエルフ族やシュトライゼンというワードに流石のルナティアも罪悪感を抱き始めてきた。



「じゃあ、冷めないうちに頂きましょうか?」



だが、ロナの号令で食事がスタートし、食べ終わる頃にはそんなルナティアのそんな罪悪感も吹き飛んでいったのだった。



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