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言霊の少女  作者: 神代 雪
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1話 能力の使い方

目が覚めると涙が一筋流れていた。

私はため息をついて、涙を拭う。いつもあの夢を見るたびに不思議な感じがする。私はベットからおり、高校の制服に着替え始める。



着替え終え、私は神社の境内へと向かう。その途中で父上とあった。


「おはようございます。父上。」


「おはよう、リン。今日も元気かな?」


「はい、神宮ジングウ家の者としての自覚を持ち、日々の体調はしっかり管理しています。」


私は父上に一礼する。


「まぁ、そんなにかたくなにならなくていいと思うがね。お前はもう十分、修行してきて日頃の習慣として身についているのだから。」


そういいながら父上は私の頭を撫でる。私は嬉しくなって、顔を赤らめる。


「おーい、優祐ユウスケー。」


近所の内田ウチダ 新師シンジさんが私たち親子を訪ねて来た。新師さんはとてもフレンドリーな人だ。


「おはよう、新師。今日も元気だね、でも顔色が少し良くないね。」


「おはよう、勇祐、鈴ちゃん。実は町の邪気が濃くなっているようで、もう邪気が溜まっちゃってさー。治療を頼めるかな?」


新師さんは父上が守っているこの巫覡フゲキ神社に治療をしにきている人だ。治療とは、この町の邪気を吸い込みすぎた人の邪気を祓うことだ。これは浄化ライニゴンの能力を持つ者か、言霊ことだまの能力を持つ者にしか出来ないことだ。新師さんは普通の人よりも邪気が溜まりやすいので、うちの常連さんだ。


「そうですか。分かりました。承ります。それから、父上、今日は町の邪気を帰りに浄化してこようと思うので帰りが遅くなるかもしれません。」


「わかったよ。こっちも神様にお願いして、なるべく町の結界を強めてもらうよ。」


結界は町の邪気が外に出ていかないようにする為のものだ。意識を集中させて確認すると、どうやら少し弱まってるようだった。


「はい、お願いします。」


「おとっちゃーん。」


その時、新師さんを呼ぶ声が聞こえる。どうやら、新師さんの娘のハナちゃんが新師さんを追いかけて来たようだ。華ちゃんも少し顔色が良くなかった。


「なんだ?華。」


「なんだ?じゃないよ!私も一緒に行くって言ってあったのに。おいてくなんて…説教ものだよ!」


「ああ、すまんな。はははっ」


(新師さん、いつものように笑って過ごすつもりだ。)



私は新師さんの考えがわかって苦笑する。すると、父上が楽しそうに


「今日はなんだかいつもより賑やかだなあ。…さて、華ちゃん、準備もあるから説教はあとにして、本殿に行こうか。」


と、新師さんをからかうように言う。


「俺、説教されるの?決定事項なの?」


新師さんはびっくりしたように父上を見る。


「…わかりました。勇祐さんがそこまで言うな ら。ごめんね、鈴ちゃん。いつも急に押しかけて。」


「大丈夫だよ、国や町民の方々からお願いされているお仕事だし…じゃあ私は着替えてくるから先に行ってて。」


私は笑顔で言う。


「ちょっと待ってよ、俺のこと無視するの?みんなで?」


((可哀想だけど、決定事項だと思う。))


みんなで苦笑。私は、何もなかったように着替えに向かおうとすると、


「まだ学校の時間までは余裕があるからね。慌てなくてもいいと思うよ。」


父上が言う。それを聞いて、私はうなづいて、境内にある家に向かった。その時、新師さんは不満気だった。


「俺、もう完璧に無視されてるじゃん…しかも勇祐まで…」


「ごめんごめん、さあまずは手水をしに行こうか。」


父はそう謝って、二人を手水舎に連れていっていた。


:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



家に着いて私は巫女装束に着替え始める。 代々、神宮家では浄化ライニゴンの能力を持つ者が多く生まれてくる。まれに言霊の能力を持つ者が生まれてくることがあるが一千万分の一の確率のためかなり珍しいらしい。それでも生まれやすい方らしい。今まで神代家以外に言霊の能力を持って生まれてきた者はいないらしい。しかし、私は本当は神代の血をひいていない。私は、過去に母から捨てられて父上に拾われた。


(過去のことはあまり思い出したくないけど…)


私は、神宮の血をひいていないにもかかわらず貴重な言霊の能力が目覚めた。だから、私は、今まで大切に育てられてきた。


(いや、父上だけではなく国や町の人々にも大切に育てられたか…)


父上は浄化ライニゴンの能力を持っていて、浄化じょうかの部分に関しては私の師匠だった。そんなことを考えているうちに着替え終えたので、私は急いで本殿へ向かう。



本殿に入り、まつられている神様に一礼し、準備されていた大幣おおぬさを持つ。そして新師さんと華ちゃんの前に立つ。


「それでは、浄化の儀を始めさせていただきます。」


「「よろしくお願いします。」」


二人が言い終わるのを確認して私は一礼する。そして、一歩足を出して言霊を唱え始める。


「我らの守護神様しゅごがみさまに願いたまう。」


その瞬間、空気が緊迫する。


「この者たちの邪気は、この町の邪気であり、この町を守護する者が浄化せねばならぬものなり。」


そういいながら私は新師さんと華ちゃんの頭の上

で大幣をゆっくりとふる。


「彼等に力を与え、彼等の邪気を浄化し、守護を高めてくださいませ。我らの力は浄化ライニゴン。我らの浄化の力を使い、彼等を守護してくださいませ。畏み畏み畏み申す。」


その言葉を聞き、光が私の元に集まってくる。それを見て、私は神様が承諾してくれているのだと確信して、ありがとうございますと小さく呟いて、そして言霊を唱える。


「彼らを正常に戻したまえ。浄化ライニゴン守護プロテクション障壁バリア!」


その瞬間、新師さんと華ちゃんが光に包まれ、やがて光が収まったとき、二人は先程よりも顔色が良くなっていた。成功である。


私たちは治療を終え、本殿を出たあと、それぞれ別々の行動をとった。私は家に行き、制服に着替え直し、新師さんは仕事に向かう。父と華ちゃんは境内で私を待っていた。私はすぐに着替えを終わり、境内に行く。二人は鳥居のところで話していた。


「あっ、来た来た。鈴ちゃーん。こっちだよー。」


「待たせて、ごめんね。華ちゃん。」


「大丈夫大丈夫、気にしない気にしない。」


華ちゃんは満面の笑みで答える。そして学校へと、二人で向かう。


「いってらっしゃい、二人とも。気をつけて行ってくるんだよ。」


「はい、父上。行ってまいります。」


「勇祐さん、行ってきまーす。」


父は私たちを見送る。私たちは学校へ向かって、歩き始める。


「 今日から、新学期なんだよねー。」


「そうだねー、そういえば、浄化じょうかの感じはどう?悪いところはない?」


「全然ないよー。というかいつもよりいい感じ。」


「よかったー、今日から浄化の仕方を変えたの。

今までは浄化だけで済ましていたけれど、今度から守護の効果も入れることにしたの。」


「えっ?なんで?浄化だけでもいいんじゃないの?」


「たしかにそれだけでもいいんだけど、守護バリアの効果も入れることによって、次に浄化に来るまで の期間が延びるから、何度も神社に来なくても良くなるの。今日は、神様のお力を貸していただいて守護の効果を作ったから、しばらく保つと思うよ。私の力だけでもよかったんだけど、すぐに切れちゃうから、神社にいるときは神様のお力を貸していただくの。だから、小さくお礼を言っていたのよ。」


「そうなんだー、ありがとう。」


「華ちゃんはどう?力には慣れた?」


彼女は最近、ヴァイトの能力に目覚めたばかりでその扱いに困っていた。私たちに宿る能力はいつ目覚めるのか、どんな人に宿るのかも不安定なために困らせられることがあった。


「そうだねー、大分慣れてきたけど、この力のせいで学校変えられたことにはちょっと腹がたつかなー。」


私たちは、能力に目覚めると強制的に指定された学校に通うことになる。だからこの制度に不満を持つ生徒や児童は多いのだった。そのとき


「強盗だー、誰か捕まえてくれーー!」


どうやら強盗がでたらしい。


「捕まえるよ。鈴ちゃん。」


「うん、援護するから、存分に修行の成果を発揮

してきてね。くれぐれもらないように気をつけてね?」


「お嬢ちゃんたち、捕まえてくれんのか?」


「それがお役目ですから。」


「能力を持っているんなら大丈夫だろうが、強盗は刃物を持っていたから気をつけろよ。」


「問題ないよ、おじさん!」


それを言うと同時に彼女は走っていく。


「すみません。そういうことなので、また後で!」


私は能力の展開を始め、華ちゃんが使う風で周りの人に被害が出ないように、サポートし始める。


「罪無き者を守れ!守護プロテクション!」


私がそう唱えると、町の人たちを守護する薄い膜ができる。


「ありがとう、鈴ちゃん!」


強盗犯は包丁を振り回しながら走って逃げていた。華ちゃんは能力を発動して、強盗犯を風で纏い、強盗犯は盗んだ物と包丁を落とし、華ちゃんの風で拘束される。私は、強盗犯の元へと歩いて行く。


「クソっ!離しやがれ!」


「残念ですが、それは無理というものです。貴方

の運が悪かっただけです。」


「運が悪いだ、と?」


「そうだよー。強盗犯さんがこの町を選んだ時点

で負けなんだよ。何の能力も持ってないくせ

に。無茶するからだよ。」


「何…言って?」


強盗犯が戸惑い始める。どうやらこの町のことを知らないらしい。私は目を妖しく光らせ、強盗をみる。


「知らずにこの町で犯行に及んだんですか?じゃあ、教えて差し上げます。この町には能力を持っている人がたくさんいるんです。その能力とは、炎を出したり、瞬間移動したりするものなので超能力と言ってもいいと思います。さて、ここまで言えば、もうお分かりでしょう?」


「あっ、あっ……化け物だー!」


強盗犯は大きな声で叫ぶ。震えている。かなり怯えているようだった。


「無駄ですよ。化け物とは失礼な方ですね。国や町の人々にも私たちは認められてあり、能力者の一部の人は社会にも貢献しているのですよ?むしろ私たちみたいな温厚な性格な人物に捕まったことを幸運だと思った方がいいですよ。能力者の中には過激な人もいますしね。最悪の場合、殺されていたかもしれませんよ?では、拘束させていただきますね、 ロープ、拘束!」


私が言霊を唱えると縄が出てきて、強盗犯を拘束する。


「「おお〜。」」


町の人たちは感心してくれていた。心がむず痒い。だがしかし、


(少し怖がらせちゃったかな?ううん悪いことしたんだもん。これぐらいしないと反省しないよね。)


私も大概ひどいのだった。


「やっぱ、能力は人を助けるために使わないとね!」


強盗犯は警察の方に連れて行かれ、私たちは、何もなかったようにこっそり退散した(退散するときには強盗犯の盗んだ物もこっそりと回収した)被害のあった物を回収してお店の人に届ける。そのお礼にとお店の人は私たちに飴玉をくれた。


「ありがとよ!今度うちの店に来いよ!サービスしてやるぞ!」


と笑いながら、お店に帰っていった。その後学校に向かう途中で学校に着く時間がギリギリになってしまうことに気がついて、能力を発動して空を飛んで学校へと向かった。あんなことを言っておきながら、結局は自分の為にも使うのである能力なのだった。


1話を読んでくださりありがとうございます。

引き続き頑張って行くので、よろしくお願いします。

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