19話 邪眼
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ヒムロ レイ Lv.100
ジョブ [霊魂術士]
ジョブ履歴 無し
スキル
アクティブスキル
[剣術] Lv.10
[格闘術] Lv.10
[霊魂術] Lv.10
[解体] Lv.10
パッシブスキル
[魂撃耐性] Lv.10
[増進] Lv.10
[反射神経強化]Lv.10
[腕力強化] Lv.10
[脚力強化] Lv.10
エクストラスキル
[透視] Lv.10
[邪眼] Lv.1
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「おぉ……。おぉ。おぉ!」
ステータスウィンドウを一度見て感動し、二度見して冷静にそれを見て、三度見してようやくそれが現実なのだと理解する事ができた。
まさかの邪眼スキル獲得である。
予想外すぎて現実かどうかの認識さえできなかった。
それにこの邪眼スキル、なんと透視スキルと同じエクストラスキルである!
これはまた強力なスキルを手に入れたんじゃないか!?
邪眼スキルに期待しながら、僕はステータスウィンドウに表示されている[邪眼]の文字に触れる。
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邪眼スキル
視界に収めた対象を任意の状態異常にするスキル(麻痺)
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「なん……だと!?」
それを見た瞬間、体中に衝撃が走った。
なんて強力なスキルなんだ……!?
まさか視界に収めただけで相手を状態異常にさせることができるとは……。
「ん?」
しかしこの説明文、おかしくないか?
任意の状態異常にできるって書いてあるのに、その説明文の後にはカッコで麻痺と書かれている。
これはまるで麻痺状態にしか相手を陥れられないと書かれているような……あ! もしかして!
「スキルレベルを上げたら状態異常の種類が増えるんじゃないか!?」
そう思い至った僕は早速邪眼スキルのスキルレベルを上限値である十まで上げることにする。
「[彫魂]!」
「うるせぇ! 静かにしやがれ!」
「うひぃ! す、すいませんでした!」
いかん。
どうもテンションが上がりすぎて大声を出し過ぎたようだ。
隣の部屋の主と思われる人がドアを乱暴に叩きながらそう怒鳴ってきた。
最高潮のテンションの時に怒鳴られたものだから変な驚き声が出てしまったよ……。
少し落ち着くことにしよう。
「……[彫魂]」
今度は小声で[彫魂]を使い、邪眼スキルのスキルレベルを十にする。
そして再びステータスウィンドウに表示されている[邪眼]の文字に触れる。
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邪眼スキル
視界に収めた対象を任意の状態異常にするスキル(麻痺Ⅱ、睡眠Ⅱ、猛毒Ⅱ、石化Ⅱ、暗黒Ⅱ)
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「おぉ……! 増えた……!」
やっぱりそうか。思った通りだった。
陥れることができる状態異常が麻痺以外に四つも増えた。
「ん? あ、これⅡになってる」
気づいたんだけど、カッコで括られている状態異常の横にⅡと数字が追加されている。
これはもしかして数字が無かった時よりも強力な効果になったと考えてもいいのかな?
それに最後の暗黒という状態異常がよくわからない。
それ以外の四つの状態異常は文字を見ただけで分かるんだけど……。
まぁその効果はまた後で……あ、もう夜だから明日だな。うん、明日にでも検証するとしよう。
「あ、そうだ。残りの寿命を確認しとかないと」
邪眼スキルという響きに惹かれたのとエクストラスキルということで、つい衝動的にスキルレベルを十にまで上げてしまった。けど残りの寿命をきちんと確認していなかった。
まぁ特に体に異常は起きていないから、まだ余裕はあるだろう。
でも次からは気をつけないとなー。
「[透視]っと」
透視スキルを自分に向けて発動させて、寿命が書かれたウィンドウを目の前に表示させる。
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ヒムロ レイの寿命
残り46.5年
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「……ん? なんか、増えてない?」
盗賊のアジトを襲撃したときは、残りの寿命はたしか……十一年と半年だっけ?
って、あぶな! 十一年と半年って、それでもし寿命が増えてなかったら、邪眼スキルのスキルレベルを上げたところで、また衰弱死のピンチに陥るとこだったじゃん!
次からスキルレベルを上げるときはキチンと寿命を確認してからにしよう。うん、そうしよう。
で、なんで寿命が急に伸びたか、なんだけど……。
「レベルが上がったことしか考えられないよなー」
寿命を延ばす方法はレベルアップか持っているスキルを[治魂]で消すしかない。
スキルを消した覚えはないから気づかぬうちにレベルが上がっていたのだろう。
というわけでそれを確認するために再び自分に向かって透視スキルを使う。
「[透視]」
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ヒムロ レイ Lv.100
ジョブ [霊魂術士]
ジョブ履歴 無し
スキル
アクティブスキル
[剣術] Lv.10
[格闘術] Lv.10
[霊魂術] Lv.10
[解体] Lv.10
パッシブスキル
[魂撃耐性] Lv.10
[増進] Lv.10
[反射神経強化]Lv.10
[腕力強化] Lv.10
[脚力強化] Lv.10
エクストラスキル
[透視] Lv.10
[邪眼] Lv.10
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「……!!?」
あぶな! また驚いて大声を上げるとこだったよ!
まさかレベルが百になってるとは思いもよらなかった。
でもいつの間にレベル百に?
今日はランクアップ試験でビックアントを五匹しか狩ってないし、盗賊達も殺した訳ではないからその分の経験値は入っていないはず。
となると……。
「もしかして邪神の魂の欠片を壊したから経験値が入った?」
たしか女神様から教えてもらったこの世界の死に方の中に、魂が経験値となって別の魂に吸収されるとあった気がする。
もしかしたらこの邪神の魂の欠片は僕が崩壊させたと同時に経験値となって僕の魂に吸収されたのかもしれない。
「というかそれしか考えられないよなぁ」
だってそれ以外に心当たりがないからね。
まぁレベルが上がったからといって、不都合なことは何もない。
これは得したと考えて良いだろう。
「それにしても残りの寿命が四十六年と半年かぁ」
これならあと四つはスキルを取って、そのスキルレベルを十に上げることができる。
それに寿命による衰弱の危険もない。
何か便利そうなスキルを透視スキルで探して取ろうかな。
「……いや、それは止めとくか」
今のレベルは百。
それはつまりジョブチェンジができるということである。
ジョブチェンジをして新たなジョブに就けばまた新しいスキルを得ることができるかもしれない。
だからジョブチェンジをしてから新たなスキルを探して取るかどうかを決めよう。