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魔王転生  作者: 紫舜邏 龍王
より良い国作り
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80話 会議はステマニア国で そのニ

お待たせしてすみません。

これからもペースゆっくりで参ります。

 〜レムリア城・レムリア自室〜


「なぁ、フローラ。アメジストからのこの書類に書いてある内容なんだが、『シディア三姉妹からクレームが入った為、魔石収集は全体の半分を残して終了』というのはどういう事だ?虫妖木から生成されるんだから枯渇するなんてないんじゃない?」


「それについてゴールさんに確認したところ、どうやら魔石がシトリアモスの養分になっているらしく、全部回収されるのは困るとの事でした。」


「シトリアモス?」


「四大怪物の一体で、西区域の地下で飼われている巨大な蛾です。シディア三姉妹のお母様が造られた魔物と聞いてます。普段は卵の姿ですが、有事の際に地上に出て対応します。状況によって完全体になります。」


 このレムリアの肉体を得てからしばらく経つが、四大怪物の事は初めて聞いた。他は北区域に最強の妖怪と謳われる空亡が封印されている。名前はキス。南区域にはかなり性格に難あり、おまけに凶暴なコカトリス、名をシンシア。そして東区域の霊廟にドラゴンのゾンビが幽閉されている。これらの怪物が表に出る事は非常事態の時のみらしい。もっと早く教えてくれ…。まぁ、彼等が解き放たれるのは余程の事がないと無いらしいので、今特に気にする事はない。魔石に関しても、量的には十分なので問題ないとの事。こうして山の様にある書類に目を通していると、ドアがノックされる。それに対して返事をすると、ルチルが数名の吸血鬼達を引き連れて入室した。


「君達が観光に来ている吸血鬼達か。ようこそ。我が名はレムリア・ゼオラだ。隣がパプル・フローラ。」


「お初にお目にかかります。お会いできて光栄でございます。私はハートブラッド国所属のアドニスです。単刀直入に申しますと、一時的にこのレムリア国に宿泊させてほしいのです。」


 この吸血鬼団体の代表らしい男性が話す。この男、かなり美形だ。顔もスタイルも男ですら魅了してしまうほど美しい。魔王シーザーも美しかったが、このアドニスも負けず劣らずだ。ただ、血がベッタリとついたような色の髪の毛と、変に青白い肌だけは少し不気味に思える。そんな彼は赤い瞳をギラギラと赤くさせて私の瞳を覗こうとする。


「分かった…。宿泊施設は確認させよう。それよりも理由を聞かせてくれ。そんなに目をギラつかせて何か困り事かな?こちらの目からは切迫詰まったように見えるよ。」


 アドニスの目からはギラついた赤色が引き、美しい赤が戻った。それと同時にフッと表情が和らぐ。


「そう…ですよね。フフッ…いや、失礼しました。困っているといえばそうですし、切羽詰まっているかと問われれば、そうでもありません。今現在、ハートブラッド国に聖水が混じった雨が降っております。その為、我々吸血鬼は国を往き来出来ない状態となってます。なのでその雨が収まるまで、この国で待機させて欲しいのです。」


「ほう…聖水混じりですか…。その情報は確かですか?」


 フローラがいつもの笑顔で聞くが、和やかな雰囲気ではない。


「聖水混じりの雨…であれば、フィーラン帝国の仕業ですね?」


「その通りです。今、フィーラン帝国の皇帝ノア・ベティがステマニア国入りしております。その間、我々ハートブラッド国の吸血鬼達が攻め入らないようにと国ごと閉じ込めているのです。これには”警告“の意味も込められてます。」


「警告…?」


 全く意味が分からず、思わず口に出た言葉を聞いたフローラが補足してくれる。


「フィーラン帝国は魔国に対してかなり警戒しております。ハートブラッド国が少しでも不審な動きをすれば行動を起こすレベルでです。おそらく、レムリア様復活の魔王会議でシーザー様が動いたのを探知したのでしょう。同時期に他の魔王が動いたのも掴んでいたでしょうから、我々に対する警戒心が高まったというのもあります。変な気は起こすなよ、とそういう意味だと思います。向こうがどの程度までの情報を掴んでいるのかは分かりませんが。」


「なるほど、ステマニア国と言ったよな?という事はノア・ベティも会議に出るのか…。確か偵察部隊を送っていたな…。よし、アドニス達はとりあえず準備出来るまで客間で待っていてくれ。フローラ、少し話したい事がある。」


 アドニス達を部屋から追い出し、それをニコニコと眺めるフローラに向き直る。


「ある意味これはチャンスだ。偵察して得た情報を手土産にしてハートブラッド国に遊びに行こう。どんな街づくりをしているのか気になる。」


 それを聞いたフローラはいつものニコニコとした笑顔だが、明らかに呆れた雰囲気を出している。


「それも良いですが、ハートブラッド国と友好関係を築く等ではないんですか?本当にそれだけですか?」


「いや、確かに他の吸血鬼達も見てみたい。あいつら全員美男美女だったぞ?あれは凄い光景だった。」


「いえ…そうでもないですよ…?たまたまだと思います。全員が全員美形という訳では御座いません…。」


「それも含めて確かめに行こう。まずは偵察隊の帰り待ちだな!」


 動機が不純ではあるがこれも国の為と誤魔化し、ハートブラッド国に行く事が楽しみになったレムリアだったが、ステマニア国で行われる会議の内容はそんなレムリアに関するものだという事を彼女はまだ知らない。そしてその会議を偵察するのはレムリア国から送られた妖虫達だけではなく…。

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