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魔王転生  作者: 紫舜邏 龍王
より良い国作り
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78話 謁見後の日常?

 謁見を終え、レムリア城を後にしたサフィアと化け狸達。その後すぐに城下町へと向かう。

 鼻高天狗から住居を割り当てられる為だ。今まで国外に出ていた為、この国では住む場所がない。そんな者達に、土蜘蛛達が勢いで建てた家を提供するのだ。少し前はディアナ率いる妖狐達が入居した。城下町は今でも拡大中なので、一軒に大人数で過ごさなくてはいけない…という事はない。


「では皆さん。先程決めた物件の地図を配ります。家には番号が書かれていますので、すぐに分かると思います。分からない事があれば巡回している天狗に聞いてください。」


「ありがとう。よし、お前達!各々の住処に迎え!以前住んでいた場所より立派ではないか!」


 こうして化け狸達がそれぞれ決めた自宅となる家へ向かうなか、サフィアに歩み寄る人影があった。


「おやおや、誰かと思えば図体と態度のデカい化け狸ちゃんじゃないの。」


「ん?…ほう、見栄えばかりに囚われた哀れな女狐さんか。久しいの。」


 その影の正体は一足先に帰国したディアナだった。サフィアの目の前まで来ると、巨大狸に対抗するかのように人型から獣の姿へと戻る。金色に輝く毛並みの美しい大狐。その尻尾は九つあり、かなりの存在感だ。バチバチと音が聞こえてくる程の睨み合い。周りの空気も張り詰める。


「相変わらず口が悪いわね。見た目に気を使うのは淑女にとって当然の事でしょう?」


「ふっ…。何が淑女だ。いくら着飾っても所詮化け物。人間でも誘惑するつもりか?」


「まったく…。貴方もお洒落くらいすれば良いのに。その考えは昔から変わらないようね。」


 それまでピリついていた雰囲気がふっと緩んだ。そして二人の笑い声が城下町に響いた。


 そしてこの光景を見ていた鼻高天狗は、そういえばこの二人は昔もこんなだったなと思い出していたのであった。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 場所は変わり、レムリア城のとある一室。


「おおー!相変わらず綺麗!」


「ご自分のお部屋なのですから、他人事のように言わなくても…。毎日掃除しておりますので、当然です。」


「ありがとう。エレスチャルさん!さぁ皆んな、ここが私の部屋だよ。」


 フェナカが一角ラビィ達を自室へと案内していた。普段彼は国のあらゆる場所へと遊びに行く事が多く、自室にいる事が少ない。しかし、それでもこの城の掃除担当エレスチャルはしっかりと職務を全うしていた。この部屋の主人がいつ帰って来ても良いように。

 

 謁見を終えた後、レムリアから一角ラビィを案内するように命令されたエレスチャルはフェナカと盛り上がっている五匹に話かける。


「盛り上がっているなか申し訳ございません。そろそろお部屋へと案内したいのですが…。」


「お部屋くれるの!?やったー!よし行こうか!」


 レムリアから一角ラビィ達五匹それぞれの部屋を割り当てるようにと言われたのだが、おそらく皆んなフェナカの部屋で過ごすだろうと予想するエレスチャル。しかし、彼女は数年後に一角ラビィ達に部屋を与えるようにと発言した意味を知る事になる。


 そしてその頃、そんなレムリアは自室にてフローラにある相談をしていた。


「新しく来た者にこの国を案内したいんだけど。戻ってきた者も最近のこの国の状態とか知らないだろ?私も書類上では確認しているが、実際にこの目で確認してないしな。」


「畏まりました。では、日程と各四天王に伝えます。少々お時間を頂きます。」


「ありがとう。それと…あの国の動きはどうなってる?イリアーノ国。あれからかなりの時間たったが、何か動きはあるか?」


「ええ、それなのですがイリアーノ国王女が出国したとの報告を先程受けたところです。方角から推測すると、ステマニア国に向かっているのではないかと。」


「なるほどね。フローラの事をこの国の魔王だと思ったんだろうな。イリアーノの王女を尾行しよう。ステマニア国にも諜報員を送って。人員は任せる。会議を盗聴出来る奴が良いな。それで今後どうするか決める。それと、ラブクルス聖教国の事もな。」


「畏まりました。適任者を選びます。」


 その時、会議中のレムリアの部屋にドアを四回ノックする音が響いた。レムリアがノックした人物に、入室する事を許可する。入ってきたのはメイド長だ。普段通りのクールな表情を浮かべているが、うさ耳がいつもよりぴょこぴょこ動いている。レムリアはここ数年で気付いたのだが、メイド長が耳をぴょこぴょこ動かしている時は決まって緊張しているのだ。表情には決して出さないのだが、そのうさ耳は正直らしい。本人にその自覚は無いらしく、以前それを指摘した時は恥ずかしさからか、頬を赤らめていた。そんなメイド長ルチルがレムリアの執務机まで歩みより、深いお辞儀をする。面を上げさせルチルの言葉を聞く。


「レムリア様、会議を遮ってしまい申し訳ございません。少し確認したい事がございました。今現在このレムリア国には観光目的としてさまざまな国から魔物が来ております。その中には吸血鬼達もいるのですが、その吸血鬼達がしばらくこの国に住まわしてくれとの申し出があります。如何致しましょうか。」


「却下です。良からぬ事をする前にお引き取り願いましょう。吸血鬼の事ですから何か企んでいるに違いありません。」


「いや、ここに呼ぼう。その話を聞きたい。観光客の話を聞くのもなかなか無いしね。」


「畏まりました。その吸血鬼達をここへ連れて参ります。」


「ちょっと待ってください、ルチルさん。半端な者を向かわせるのは危険です。私が行きます。」


「私が呼んできます。吸血鬼に魅了される目は持ち合わせていないのでご心配無く。」


「それもそうですね。であれば安心です。よろしくお願いします。」


「畏まりました。」


 部屋を出て行くルチルを見送り、フローラに話しかける。


「そうだ。温泉街の進捗も確認しておきたいな。それと、アスリオーネへのゲートでしょ。色々任せていた事多いから、定期的に確認しないとだな。」


「先程お話しした案内の前に、一度全てを確認する機会を設けますか。各関係者と日程調整します。」


「あぁ、頼む。」

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