67話 緑鳥スーフェン三度
捕らえた冒険者の書類、吸血トリオからの報告書、温泉施設建設計画書等々を確認し必要であれば、返答書を作る。そういった一通りの事務作業を終えて一息つく。魔王って意外とこういう仕事が多いんだな…。そろそろかな。部屋の外で待機しているクラックにしばらく誰も入らないように念を押す。
「ゴホンッ。スープ!」
部屋一面に緑色の閃光を放ちながら、緑鳥が現れる。
「あの…スーフェンなのですが…。」
「あ、悪い。ちょっと聞きたい事があってね。ラブクルス聖教国についてなんだけど…。」
「その国についてですか…。人族側の各国に存在する教会が建国した国で、その教会のトップに位置します。魔族に対しては容赦ないですね。必要であれば異世界より勇者召喚し魔王討伐する動きを見せたりします。何か聞きたい事は?」
「な、なるほど…。聖教国に偵察部隊出す事は可能?」
「可能ですね。但し、無事に五体満足で帰還するのであれば侵入しない事をお勧めします。勿論、手練れの魔族の場合ですよ?」
「分かった。因みに、教会みたいなのはこの国も作った方が良い?」
「断然良いです!国民からは一定の信仰を集めていますが、微々たるもの!教会等があると、効率よく信仰を集める事が出来ます!ペリドート様の力も増し、奴に対抗出来る様になります!人族が信仰している似非神に!」
「似非神?」
「ええ!元々ペリドート様は人族から信仰されていた神!しかし、その信仰を奴が奪ったのです!ペリドート様含め我々眷属が消える運命にあったのを、レムリアさんに救われたのです。魔族達がペリドート様を信仰する様にしてくれました。その節は感謝しております。」
「う、うん。私に感謝されてもな…。まぁ、良い。それだったら、神社でも建てて妖狐達に管理させようかな…。とりあえず、ありがとう!また何かあったらよろしく!」
「それは良いんですけど、そろそろ名前を覚えてもらわないと…。」
「悪いね!ただの悪ふざけ。」
頼みますよ…。と言いながら、瞬時に消えていく。
神社建設と聖教国への対応をどうするかを考える。神社の方は土蜘蛛に相談するとして、聖教国をどうするかだな…。誰を偵察に出すか…。ラピスと三姉妹に相談してみるか。そういえば、ピオニーの所に遊びに行く約束もしてるんだった…。やる事がいっぱいだ!
色々と考えていると、ドアがノックされる。
「レムリア様。よろしいでしょうか?」
「あぁ、入って良いぞクラック。」
緑髪のメイドが入室する。
「失礼します。レムリア様。ファントムから夕食の準備が出来ました。是非、試食してほしいとの事。エレス様から頂いた料理本を参考に作ったようです。」
「だ、大丈夫だよな?焼肉じゃないよな?」
「メイド長ルチルが指導していたのを見たので、おそらく問題ないかと思われます。」
「よし分かった。それじゃあ行くか!」
肉を焼く事しかしなかったメイドの成長を確認するべく、期待半分不安半分の気持ちで食堂へと向かう。
スーフェン登場回は短くなっちゃいます。