53話 各々の仕事
一応、最後まで大まかなストーリーは考えてますが、まだまだ序盤の段階です。長いお話になるとは思いますが、今後もよろしくお願いします。
レムリア国地下にある大図書館。そこでは今現在、アクアがステマニア国で偵察という名の取材をしてきた内容をアクア本人と鼻高天狗二名で資料として纏めていた。
「しかし、これらの建物は立派ですな。実際に建てると景色も賑やかになる事でしょう。」
「確かに、立派だが…私はやはり和風が良いな。これはちょっと派手すぎないか?」
「あぁ、これらを参考にするのであって、まんま同じにする訳ではないのでね。そこら辺は土蜘蛛の連中と相談はしますよ。建てるのはあいつらだし。」
和気藹々と作業は進む。そんな中、部屋に入ってくる人物がいた。
「作業中に失礼しますね。実はクロコアさんに至急伝言をお願いしたいのですが…」
「お久しぶりです、フローラ様。私が承りましょう。作業もある程度終わりましたので。」
「お願いします。」
鼻高天狗の一人、アイオラが応える。
「しかし、あれですね。連絡手段の構築も視野に入れた方が良さそうですね。いちいち各区域を移動するのは面倒だし…そういう機械を作るか…」
「そういう事なら、ジェムシリカのガーゴイルを各区域に配備すれば良いのよ。」
「アメジスト様いつの間に!?」
「ここ私の縄張りなんだからそりゃ居るわよ。」
「その事も今後改善していきます。まずはクロコア様の伝言を頼みますよ。」
「は!アクアさん。一旦離れます。印刷出来る資料があれば持っていきますが。」
「あぁ、よろしくお願いします。」
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南区域砦。そこのスライム達の親分、ラリマが部下のスライム数名と話をしていた。
「今回の事で砦の改築をした方が良いと思いました。おそらく今後もこのような事が起こるでしょう。その時に対応出来るよう、砦強化の許可を得ようと思います。そして、戦法ですが、今後は″スライムは弱い″という認識を持つ人間が減る可能性があります。そうなれば今回のような戦法は取れません。最初から叩き潰す勢いでいった方が良いかもしれませんね。そして、魔獣援護組。まずは感謝を。あの子達を戦死させず、よく戻ってきてくれました。ありがとうございます。ライの件は正直残念ですが、戦っている以上仕方の無い事です。ライに関しては義足が出来ないか河童に確認します。三人共、今後もあの子達を頼みますね。」
ラリマはかなりの知能を持ったスライムだ。今回の防衛戦を分析し、今後の対策等を他のスライムに分かりやすいように説明している。
今後は砦の改築に力を入れていくだろう。その為にはスライム一丸となって頑張らなくてはならない。
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場所は変わり、大虫妖木内居住スペース。
「どう?あの三人は。口は割りそう?」
「マホ姉様…ダメ。三人共口が硬いわ。リーダーって奴もこっちに寄越してくれれば良かったのに…」
防衛戦後にこの西区域に移送された捕虜、炎扇団三名の事情聴取をスパイダーが担当していた。事情聴取といっても、内容は拷問と変わりない。
「無理そう?」
「いいえ、まだやり方は他にあるから大丈夫。あのダンサーは快楽拷問に切り替える。たぶんそれで堕ちる。なんか見てた感じ、同性愛の節があるのよね…あと、あの二刀流の剣士。奴の場合は拷問を軽くする。そして魔術士の方の拷問を重くして、それを見せつけるのよ。その剣士なんだけど、どうも魔術士の事が好きっぽいのよね。だから魔術士が痛めつけられてるのを見せたらどんな反応するかなってね。」
スパイダーは目をキラキラと輝かせて話す。とても楽しそうに話す為、姉であるマホは嬉しく思う。だが、それと同時に心配にもなる。
「スー。楽しむのは結構なんだけど、仕事なんだからそこはしっかりとね?」
「もちろん。大丈夫よ。」
その心配事とは勿論、妹の仕事の成果の事だった。
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その頃のレムリア。自室でサンダーランドへ向けて準備をしていた。準備といっても、必要最低限の旅支度ですぐに終わる。道案内は天狗が務める為、おそらくすぐに目的地には着く。心配なのは天狗のスピードについて行けるかだ。そしてもう一つ。それはサンダーランドの魔王、レッド・ブラックだ。彼は交戦的な性格だ。何かと理由をつけて喧嘩を売ってくるに違いない。場所は相手のテリトリー。周りは敵だらけだし、もし仮に決闘等になった場合、その周辺を破壊してしまうかもしれない。その事で恨まれて、自分の国に攻めて来られても困るのだ。ここは穏便に済ませなくては…
謁見の間にて、ゴブリン達の前では強気にいたレムリアは一人になって少し弱気になるのであった。