スライム達の防衛戦
今回は番外編。冒険者チームvs.スライムです。
大型自動車程の大きさで、常にドロドロと流れており一定の形を保っていない流動体、色んな色を混ぜ合わせたようだが全体的に赤みがかっている体色。
そのスライムは他の個体と比べて、異質を放っていた。
「何だあのスライム…!」
「油断するな…落ち着いて対処しろ!」
冒険者達はそのスライムを囲む。ジリジリと滲み寄り距離を詰める。
(ふふふ。ヘマーティアさんの手にかかれば奴等は無力よ!)
その様子を遠くから見ていたスライム達は勝利を確信する。
(せいぜい足掻いてみろ!あーはっはっは!)
弓を所持している冒険者達が仕掛ける。得体の知れないスライムに矢を放つ。
一斉に放たれた矢は一直線にスライムに向かっていき、突き刺さる。
が、その刺さった矢はジュ〜という音と共に溶けていく。
「矢が溶けた…」
それを見た1人の冒険者がスライムに斬り掛かる。
「おりゃー!」
剣を突き刺した時、やはり溶けてしまう。引き抜くと刀身が半分しかない状態となっていた。それに唖然とする冒険者。
スライムはその隙を逃す筈もなく、冒険者に身体を伸ばし包み込む。
「がっ!やめろ…こいつ!」
「何かする気だ、あいつ…」
「早く引き剥がせ!」
冒険者達は慌てて救出しようとするが、逆に武器を溶かされ、無力化されていく。
すると、しばらくしてモゴッとスライムに人の大きさ位の突起ができる。そこからウニョ〜と素っ裸の男が出て来た。先程の冒険者だ。
「装備を全て溶かしたのか…?こいつ!」
冒険者全員が警戒を強める中、スライムが動く。冒険者全員に向かって触手状にした身体の一部を伸ばす。冒険者達は使い物にならなくなった武器で防御しようとするが、ヘマーティアにとってそんな行為は意味などない。冒険者達はあっけなく飲まれてしまった。
「よし、おまいら!待機だ!ヘマーティアさんが吐き出した時を狙うぞ!」
一匹のスライムの掛け声で、わらわらと出てくるスライム達。
「吐き出すから準備しろ!」
そして、ヘマーティアがそれぞれのスライム達の前で冒険者達を吐き出す。その姿は男女関係なく、皆素っ裸だ。
そこに襲い掛かるスライム達。彼等は肉食。ゆっくりゆっくりと獲物を溶かしていく。溶かされていく者は様々な反応を見せる。苦痛を感じる者、激痛に悶える者、逆に何も感じない者、死を極端に恐れ始める者、快楽に溺れる者。
そうしてこのスライム達は丸裸になった人間の反応を楽しみながら、自らの腹を満たしていく。
後に残るのは人骨のみだった。