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魔王転生  作者: 紫舜邏 龍王
発展への道
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51話 防衛戦.後編

 レムリア国南区域の砦。スライム達が固唾を飲んで見守るその視線の先。赤髪の男と青髪の男が睨みあっている。


「お前がここのボスか?人間じゃないだろ…?」


「ご名答。この区域を担当している者です。先程は我が子がお世話になったようで…そのお礼をと思いましてね。名を聞きましょう。」


「グリウス。お前を倒す者の名だ。そして、その礼とやらは要らん。」


「忘れるまで覚えておきましょう。嫌と言われても押し付けます。私の中でこの怒りは納まりません。」


「あまり怒ると正常な判断が出来なくなるぞ?」


「ご心配なく。それには及びません。それより、気になるのではないですか?この国の魔王について…」


「気になるのは確かだ。しかし、居るんだろ?なんとなく分かる。」


「鋭いですね。確かに居られますよ。魔王レムリア・ゼオラ様。数千年の時を経て復活してなされました。今はそちらの国に遊びに行ってらっしゃいますよ。」


「は?ステマニア国に…?……ふん。それならさっさとお前を倒して戻るのみ。」


「それは叶わぬ事です。何故ならあなたをころしますからね。」


 ラリマが動く。何処から取り出したか、大太刀を手に取り目にも止まらぬ抜刀でグリウスに斬りかかる。


 それに対応するグリウス。フランベルジュで往なし、反撃に出る。最小の動きでラリマの脇腹を狙う。ラリマは長刀を上手く使いグリウスの攻撃を逸らす。二人とも引けを取らない戦い。その攻防は数十分続いた。


 程なくして、グリウスが押し始めた。ラリマが使用しているのは刃渡りが身長並みにある太刀。その為、グリウスは懐に飛び込むようにして間合いを詰める。ラリマは普段、武器を使わない為、苦戦を強いられている。それなのに何故この大太刀を使うのか…相手の土俵に立つ為だ。ラリマの戦法はまず観察。相手の動きを覚えて、癖や攻撃タイミングを見極める。その為、最初からあまり本気を出さない。


 その内、グリウスの攻撃がラリマにヒットした。その剣先はラリマのお腹を刺している。そのまま押し込み、斬り込む。こうなっては致命傷。ほぼ助からない。勝負は決まったものだった。


「勝負ありだぜ。」


「本当はそう思ってませんよね?」


 フランベルジュによって出来た傷口はドロリと流体化している。


「やはり…お前もスライム。」


 するとラリマの全身がどろりとスライム化し、人型では無くなった。さらにそこから巨大化し、とある動物の形になっていく。それは見覚えのあるあの動物。先程グリウスが戦ったあの巨大な小動物。


「えぇ、その通りです。身体も暖まってきた事ですし、そろそろ殺し合いを始めましょうか!」


「ちっ、くそ。面倒くせぇな!」


 ラリマの姿は鼠だ。グリウスは先程の戦闘を思い出す。この姿で自分を倒す事で、礼とするというのだろう。魔物の癖にと悪態をつく。


 グリウスはフランベルジュをしっかり握り、飛び出す。衝突する瞬間、ラリマから尻尾の攻撃が繰り出された。それはライと一緒だったが、明らかにスピードが違う。陽炎で回避出来たが、グリウスの頬には切傷が出来てしまい血が流れる。しかしそれを気にしている暇はない。直ぐにラリマの右側に回り、斬り込む。ラリマはそれが分かっていたかのように、右手で防御の構えをとる。これもライの時と同様。剣の軌道を変え、足を斬りにかかる。


 しかし斬った時の衝撃ではないのがきた。

見ると、フランベルジュの一撃が受け止められていた。燃え盛るフランベルジュを素手でだ。


「何…!?俺の攻撃を素手で受け止めただと!燃えているんだぞ!」


「そんなの関係ない。私はスライムだ。」


 ラリマはフランベルジュをグルグル回す。グリウスは遠心力で飛ばされてしまった。


「くそ、一旦引くか…」


「おっと…逃げようなんて考えない事だ。」


「そもそも、あなたに逃げ場なんてありませんよ?」


「男の勝負なんすから頑張るっすよ!」


 グリウスが声のした方向に振り向くと、そこには血刀組がいた。


「お、お前ら、何処にいた!?い、いや…そんな事は後だ!協力してくれ!ここは一旦引く!」


「嫌なこった。俺達はこの国の者なんでね。」


「なんだと…」


「それと、俺達の後ろ見てみな。」


 言われた方向を見るとそこには、ボロボロになった炎扇団三名が縛られた状態で倒れていた。


「お前ら!……貴様らァア!!!」


 グリウスは激昂し、血刀組に殴りかかる。武器を取られている彼は己の肉体のみで戦うしかない。


「がふっ………」


「お前の相手はラリマ様だぜ?因みに、他の冒険者達も全滅だ。ギルドにはお前達がよく戦っていたと報告しておいてやるよ。」


「てめぇら…ゆるさねぇぞ!」


「なんとでも言え。」


ドスっ!バチュバチュ…


 鼠型のラリマはフランベルジュでグリウスにトドメを刺した。


「プレセリ!スライム、妖虫の被害状況の確認、生存者の確認、捕虜の引き渡し準備を至急!」


「了解です!」


「吸血鬼トリオ!フローラに報告を!」


 次々と指示を出すラリマ。元のスライムの姿に戻る。


「了解です。そして一つお耳に入れたい事が…」


「何だ?」


「実は………」


「そうか…ではその事も報告するように。」


「了解です。」





 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 時は戻り、レムリア城内廊下。


謁見の間に向かうレムリア、フローラ、そしてルチル。その道中にフローラからの説明を受けるレムリア。


「なるほど、その戦闘中に現れたのがゴブリンと…」


「その通りです。」


 巨大な扉を開け、中に入る。するとそこには部屋の中央で待機している六匹のゴブリンがいた。













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