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魔王転生  作者: 紫舜邏 龍王
発展への道
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45話 人の国偵察

ひっそりと書いていきます。ザ・マイペースですがよろしくお願いします。

 日差しが気持ちいい青空の下、静かな雰囲気のカフェ。そこのテラスで3人の女子達がお茶を楽しんでいる。

 

「久々に来たけど、ここの紅茶はやはり美味しいわ。」


「紅茶なんていつぶりだろう…」


「同行を許可していただきありがとうございます!お陰でこんな良い物を堪能できます!」


 そう、その3人とはレムリア、アメジスト、アクアである。彼女達は人間達が生活するステマニア国の技術を盗…参考にする為に潜入中なのだ。そして、普段は野生的な食べ物しか食さない口に、味覚を刺激してくれる料理というのを体験しようという名目で、ティータイムをとっていた。


「アクア。お茶を楽しむのも結構なんだが、本来の目的は見失わないように。我が国の発展の為にもな!」


「もちろんです!ちゃんと記録してますので、その辺はご心配なく!」


「グリーンの方もちゃんと料理本を調達してくれてるようだから問題はないわね。」


 ステマニア国には4人で来ている。主な目的は3つ。


 1つは街の記録。


 このステマニア国の街並みを参考にしてレムリア国の街作りをしていくつもりだ。その為に、河童達を纏めるリーダー、アクアを同行させている。決してお茶会のメンバーとして連れてきたわけではない。


 2つ目は料理本の収集。


 知っての通りレムリア国で出される料理は丸焼き。この絶望的に少ないレパートリーから脱却すべく、アメジストのドールに料理本を調達してもらうのだ。担当をグリーンに指名し、今街中を歩き回ってもらっている。


 そして3つ目。ギルドの偵察。


 これについては吸血鬼トリオが普段やってくれているのだが、やはりどうしても自分の目で見たい。お茶した後に向かう予定だ。


「いやー、しかしエレス様の偽装魔法は素晴らしいですね。我々普通の人間みたいですよ!こんなに人間に近づいたのは久しぶりです。」


「魔法じゃなくて魔道具だけどね。それに偽装が高度でも、そんな話し方してたらバレる。」


「おっとすみません。」


 そう、人ではない我々がこうやって呑気にお茶していられるのは、アメジストが用意してくれた魔道具、制魔の指輪のおかげである。この指輪をはめると、魔力がかなり抑えられ、普通の人間と変わりなくなるのだ。さらに、髪の毛や瞳の色を周りの人間と同じようにする事で、目立たなくさせている。


 さすがは我が国が誇る魔法使い、アメジスト様である。偽装は完璧だ。しかし、そんなアメジストでも冒険者ギルドには近づきたがらない。ギルドには私1人で行く事になっている。


「しかし、レムリア様がそのギルドとやらに1人で行くのは反対です。やはり私も一緒に…」


「いや、アクア。君には仕事を任せている。それを遂行してくれ。私は大丈夫だから。」


「分かりました…」


 アクアは私を1人で行動させたくないらしい。それはそうである。自国の王が敵国で1人行動など許すはずもない。河童は他の種族よりは人間に対して友好的ではあるがレムリア国の国民である限り、この国の人間とは敵対関係にある。


「まぁ、確かにレムリア1人だけってのはまずいわよね。そこいらの人間には負けないとは思うけど、何かあったらフローラに怒られそうだし。絶対に大人しくしててよ?あそこの長に見つかったらやばいし。」


「ギルド長?強いの?」


「いや、色々面倒なのよ。主に私が。」


「?… とにかく、レムリア様とエレス様が一緒に行動されるのであれば安心です。私は自分の仕事に移りたいと思います。では。」


「アクアも気をつけるように。目的はあくまで街の記録だ。万が一戦闘状態になった時は撤退する事。グリーンと合流してレムリア国に帰還するように。同様にグリーンの方で問題が起きてアクアの元に来た場合は君の仕事に支障が無くても同じく帰還するように。いいね。」


「承知しました。仕事に戻ります。」


 こうしてアクアは街並みの記録をとりに店を出た。


「さて、アメジスト。我々も行こうか。」


「はぁ。あそこに行くのかぁ…。何百年ぶりだろ。」


 我々も目的の場所に向かう。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 所変わって、レムリア国南区域の砦。


 ここの砦は人間達が攻めて来た時に真っ先に接敵する国の最前線防衛ラインだ。実際はそれよりも前に防衛ラインを張っている為、最前線とは少し違うのだが、しっかりとした守りのラインはこの場所である。そして、ここを警備しているのはスライム。スライムというとあまり強くないイメージだが、ここのスライム達は野良と違い、侮ると痛い目をみる事になる。


 そんなスライム達が警戒を強めている。


「親分、天狗達からの報告です。今現在人間の集団がこの砦に侵攻中。吸血鬼トリオからの報告で全員が冒険者との事。数時間後には子供達(ラリマの子である三魔獣の事)と接敵。防衛ラインを上げて、砦の存在を悟らせるなとの事です。西区域から援軍を送るとの情報も。」


「分かった。ここにいるスライム達の半分を子供達がいるエリアへ。残り半分は砦を固めろ。分かってるな?弱いスライムを演じて敵を制圧するんだ。何人かは生かしておけ。終わった時に三姉妹に引き渡す。」


「了解!」



 風が気持ちいい青空の下、スライム達が慌ただしく動き出す。



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